滝川一廣の作品一覧
「滝川一廣」の「「こころ」の本質とは何か ――統合失調症・自閉症・不登校のふしぎ シリーズ・人間学〈5〉」「“心もとなさ”からはじまる心理臨床」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「滝川一廣」の「「こころ」の本質とは何か ――統合失調症・自閉症・不登校のふしぎ シリーズ・人間学〈5〉」「“心もとなさ”からはじまる心理臨床」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
ビジネス・実用
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Posted by ブクログ
小浜逸郎氏が主宰する「人間学アカデミー」という講座で、精神科医の著者が人間の「こころ」の本質に迫るべく、特に統合失調症、発達障害(特に自閉症)、不登校に絞って講演した内容を、加筆修正しつつまとめた一冊。
講演が元なだけに、表現は口語調でわかりやすい。
だからといって内容が浅いかといえば全くそんなことはなく、それらの病態を非常に平易な言葉で、且つより実態に即した表現で噛み砕いて説明、さらには一般の人々が陥りがちな間違った認識や偏見を正しく導き、また身近にそのような問題を抱えて苦しむ当事者をもつ人々にも寄り添うような、当事者とその周囲の人々への深い愛情すら感じさせる、非常に示唆に富む内容だ。
精神医学の歴史というかその変遷のなかで、どのように統合失調症や自閉症が受け止められてきたのか、それが今またどのように変わりつつあるのか、社会の中での在り方も考え合わせながら、その病気の本質を読み解いていく。そしてつまりは、それにこそ、人間の「こころ」の本質が隠れているのだ、と。
たとえば精神医学や心理学系の勉強をしたい人、教職を目指す人、また今実際に教育現場にいる先生方や保護者達、そして家族や周囲に精神疾患に苦しむ人を持つ方たちにはもちろんだが、統合失調症や自閉症について、あまりよく知らない人にも是非読んで欲しい。
彼らは決していわゆる「健常者」とは切り離された特別な人々ではなく、人間という生体が存在する中で、あくまで個々のばらつきの中のひとり、それぞれの人間の個体差の中に存在するひとりでしかないのだ。
私たちと連続する繋がりの中のひとりなのだ。
実は、引用登録しようと、これはと思う箇所に付箋を貼っていったら、10ページと置かずに付箋を貼り付けまくる派目に陥ってしまった。
それくらい、著者の言葉には説得力があり、こころの病に苦しむ人々への愛情があり、周囲の人々を救うものだ。
本作を読んで、「救われた」と感じる人は多いはず。
Posted by ブクログ
精神病・精神障害は「異常」な状態ではない。むしろこころの「本質」から発生するものだ……という観点に立って、統合失調症・自閉症・不登校といったこころの「ふしぎ」に迫っていく。
近年、フロイトの流れをくむ「心」の側からのアプローチをとる精神医学は肩身が狭そうだ。より実証を求める「脳」の側からの精神医学ばかりがクローズアップされている印象を受ける。
しかし、「ふつうの子」がこんなに「とんでもないこと」をしでかして! というとき、やれゲーム脳が原因だの、環境ホルモンの影響がどうだの言い出すのは、一面的すぎるのではないか。「正常」「異常」という分け方よりも、むしろ人間はそのように不合理なものであって、しかも成長過程にあるのならばなおさらだ、というとらえ方でないと見えないものがあるのではないか。そう説明されると、著者のアプローチは、なるほど魅力的なものに思えてくる。
とくに「自閉症」をどう理解するかという問題で、このアプローチは生きてくる。人間の精神発達の構造を 1)「認識」の発達 2)「関係」の発達 の2軸に分け、2)が「遅れる」ことが「自閉症」の本質である、と説明していくのだが、これは「自閉症候群」(アスペルガー症候群、高機能自閉症など)を統合して理解するために非常に納得のいくモデルだと感じた。足の速い子もいれば、遅い子もいる。同様に、「関係」の発達にも、早い子・遅い子がいる。自閉症は「病気」ではない、とはよく言われるが、この本で初めて「腑に落ちる」説明をしてもらったと思う。
この本は、他人の学説をずらーっと並べて紹介するだけの「入門書」ではない。実際に臨床に携わってきた医師が、どのように「こころの本質」を理解しようとしてきたかが見える本になっている。
たしかに、ただ「病」の原因を探すというだけでは見えてこないものがありそうだ。社会との関係・こころの発達のしくみなどを併せて考えていくことで、初めて得られる理解がある。部分からではない、こころの「全体像」から本質に迫る、非常に興味深い試みなのである。