みなとさんのレビュー一覧
レビュアー
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家庭での介護疲れによる虐待や無理心中、殺人、施設の中での同様の事件や事故、自殺ほう助や安楽死の問題は年々増えてきているように感じます。
介護する側、される側共に、どうにも身動きの取れない状況があり、福祉サービスで改善されれば幸運ですが、現実はそうではないようです。
また日本では安楽死や尊厳死に対する理解も低いままです。
この作品では介護士Kが果たして事件の中心人物なのかどうか、最後まで微妙な立ち位置にいましたが、あとがきで著者が「罪と罰」のラスコーリニコフを意識して執筆したと書いているのを読んで納得しました。
中学時代、読書感想文を書いたものですが、社会に出る以前の、人生経験皆無の、底...続きを読む -
咲さんと加藤先生の会話、それに目頭を押さえ「ひょっとして……」とつぶやいた野口教授、ほのぼのしました。
読後感として、鬼頭先生、藤吉先生をはじめ、この作品はメイン以外の登場人物も個性豊かに強く描かれ、どの人物も存在感濃厚なため、全体としてスケールの大きな、そして緻密なストーリーになったのだと思います。
臨場感溢れる表情も見事に描かれていて、盛り上がりのすごい作品でした。
エピソードでは、なんとも気難しかった国立先生も復帰できてやれやれ。
朝田君にはなんとしてでもチームに残ってほしかったので、ラストは少しがっかりしたのですが、仕方ないです。
つむじ風のような青年でした。 -
楽しく、懐かしく読みました。
パタリロ、私の思春期を本当に楽しくにぎやかに彩ってくれた作品。
就職し、もう魔夜峰央もパタリロも卒業しなくちゃと、実家を離れるさい、買っていたパタリロの単行本数十冊すべて処分しましたが(もったいなかった)、魔夜先生とパタリロを忘れたことはありません。
今振り返ると魔夜先生の作風、作品は鮮明で、画期的。
独り暮らしを始めてからは、書店のマンガコーナーに行くと気になるもの全部欲しくなるので、書店も我慢。
今はこうして電子書籍ができて、書店へ行かずにゆっくり選べます。
そして今回、「翔んで埼玉」、もう初めから魔夜峰央ワールド全開、大満足でした。 -
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ヨーナ・リンナシリーズはどれを取っても最高なのですが、私には「鏡の男」は群を抜いての傑作でした。
横道に逸れる事なく一直線に、スピーディーに緊張感ある筋が展開され、これがどこまで続くのだろうという、怖いような、ゾクゾクするようなとてつもない大きなパワーがありました。後半からラストの臨場感はすごかったです。
犯人は誰か。わかってしまうと筆者らしい展開ですが、そこにたどり着くまでの経緯がすさまじい。
精神医学の深みも考えさせられます。
終わりかたにもゾクリとさせられました。いつもいつも読み手をうならせる上手な終わりかたで、さらにヨーナシリーズにやみつきになります。
サーガ、生きててよかった。...続きを読む -
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オルラが読みたくて購入しました。
精神疾患で亡くなったと言われる著者ですが、孤高の精神の持ち主であり、深さ、奥行きがあります。
「一滴の水の中に溶けて廻っている、このささいな泥土の上にいる人間」、肉体の機能不全から疲れきっている人間よりはるかに高等な、無色透明な来るべき存在がいるとし、
同時代のツルゲーネフについては、
「ポーやホフマンのように超自然の中にずかずか入り込んで行かなかった。ごくわずかに漠然とした、ごくわずかな不安を抱かせるような単純な話を語るだけ」と肯定的な意見も述べています。
学生時代になんとなく読み、なんとなく忘れられなかった著者を再読しています。
今...続きを読む