【感想・ネタバレ】美味しんぼ 24のレビュー

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Posted by ブクログ

カレーの真髄を探る一冊だった。
雄山という人物の大きさがわかる。士郎もかなり頑張ったようだが、やはり一歩届かないか。カレー勝負、面白かった。
久しぶりに栃波さん登場、これからも時々は出番があるのだろうか。
究極のメニュー二人と世界味めぐりの二人の今後の関係も気になるところだ。

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2022年08月13日

Posted by ブクログ

海原雄山は聞く
『これは本物のカレーか』

マイダス王の店主は言う
『はい。混じりッけなしの本物のカレーです』

雄山はいう
『ほほう。では聞く。本物のカレーとはなんなのだ』

店主は言う
『え。うちのカレー粉は私が自分でスパイスを調合したものです』

雄山はいう
『ふうむ。カレー粉か。では、そもそもカレー粉とは何なのだ。
インドでもカレー粉はあるのか。
この店のカレーが本物と言ったからには答えて貰うぞ。
まず第一にカレーとは何か』

店主は言う
『えっ』

雄山はいう
『カレーの定義だ。
辛ければカレーなのか。
色が黄色であればカレーなのか。
スパイスを調合したと言ったが、
これを欠いたらカレーでなくなるというスパイスはなんだ』

店主は言う
『そんなこと言われても』

雄山はいう
『では、この店は何を根拠にスパイスを調合しているんだ』

店主は言う
『それは私の好みで』

雄山はいう
『カレーの定義も出来ない癖に
自分の好みとはおかしいではないか』

雄山は続けて聞く
『第二の質問だ。カレー粉とは何なのだ。
カレー粉はイギリス人の発明で、
インド人はカレー粉を使わないという説もあるぞ
・・・
第三の質問。
カレーはこうして米と食べるのが正しいのか。
インドではチャパティとかナンとかいった
パンの種類がいくつかある。
そんなものと一緒に食べるのが正しいのではないか』

といった具合に カレーについて 質問する。
切っ先は するどい・・・・
この 『カレーの定義』 なるものが 面白い。

カレーは 確かに インドで始まり・・・・
そして 日本では 日本的なカレーが 花開いた。
そういうなかで カレー を考えるのは 楽しい。
カレー屋の店主が たじたじなのは やむをえない。
そこまで、考えて カレーを作っていない。
おいしいカレーを お客さんに喜んでもらえばいいわけだ。

私にとっては 海原雄山の カレーとはなにか?
が とても気になる。 
それが 私の『美味しんぼ現象』 である。

マイダス王の店主は 山岡に相談する。

日本のカレーの状況を さらりと 勉強して・・・
インド料理研究家のアロラさんに会う。

アロラさんは言う
『あら、インドにはカレー粉はありませんよ。
・・・
ガラン・マササというものはありますけど
・・・
唐辛子、ターメリック、ブラックペーパー、
ガルダモン、クミン、コリアンダー、ジンジャー、シナモン。
そんなスパイスを調合したものです。
・・・
ガラン・マラサはカレー粉と違います』

インドには ガランマサラはあっても カレー粉がない!!

そして アロラさんの ナスカレーをいただく
山岡は言う
『(日本のカレー屋でたべたカレー)さっき食べたものは
香りの一つ一つ存在が渾然として別れずに
全体として一つの色調に溶け込んでいた。
しかしこのカレーの風味は、香りの一つ一つが
その姿をクッキリと別々に現しながら調和している』

そして 山岡たちは インド史の 辛島教授をたずねる。

辛島教授は言う
『カレーというのは日本語で本当はカリだね。
昔から言われているのはタミル語でソースを意味する
カリが語源で、それをポルトガル人が使ったとされる。
・・・
ところが実際にタミル語の辞書を見るとそんな言葉はない。
そこで私は新説を立てることにした。
タミル語で野菜という意味をあらわすカリという言葉があった。

これを私は料理、特にスープの具と解釈することにした。
スープをかけたごはんのことをポルトガル人はなにか?
と質問した。
インド人はスープの中身のことを聞かれたと思って。
カリと答えたわけだ。

従って、スパイスを混ぜ合わせた粉を
カリと呼ぶのは本来インド語ではない。

スパイスを混ぜ合わせた物を総称する語はインドにない。

今ではインド人も英国から逆輸入した形で
スパイスを混ぜ合わせた粉をカリと呼ぶ。
あるいはマサラという語を使う。
ガランは辛いという意味だよ』

カレーの 謎とき が実にうまいなぁ。
感心するよ。

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2016年03月22日

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