・総合診療医:総合的な診療能力を有する医師。なんでも診る医者。
必要な時は専門医に紹介したり、在宅医療や、患者の家族の相談やアフターケアを行う。
・「必要なのは、安心して自分や大切な家族を診てもらえる医師なんですよね。
その場所、その土地、その地域に必要な医療があるというのは否めないことだと思
...続きを読むうんです」
・「私生活が充実していなければ、島の患者を診ることなんかできないよ」
・「総合医にとって一番大切なのは、まず自分の限界を知ること。
そして適切なタイミングで専門医に患者を紹介することなんだ。
あとは、その地域の医療ニーズ。この島の人口の40%は60歳以上の高齢者なんだよ。
つまり、高齢者に起こりやすい症状の知識や処置法を優先して習得しておけば、
それだけこの病院だけで治療を終えることが可能になる。
そうなれば本土の病院に行くこともないし、患者の精神的な負担や医療コストも抑えられる」
・「先生はなんでこの島で総合医をずっと続けているんですか?」
「そうね~。農家はおいしい野菜を作る。漁師なら新鮮な魚を獲る。
食堂ならおいしい食事を出して、職人ならいいものを作る。
それで人から『ありがとう』って言われたら嬉しい…それと一緒かな。
私はこの島の人たちにいつも、自分が医者になった時の初心を思い出させてもらってる」
・HELLP症候群:溶血と肝機能異常。検査では、ASTとALTが3桁。血小板減少も伴う。
胃痛。母体は出血が止まりにくく、胎盤早期剥離などを起こしやすい。緊急にお産をしないと母子ともに危険。
・「すぐに帝王切開をするべきです。もしも今、早剥でも起これば、赤ちゃんは助けられないかもしれません」
「帝王切開はできない」「でも今なら産科医はイチロー先生と僕がいるじゃないですか」
「ないんだよ!…この病院には輸血製剤がないんです」
・「イチロー先生、本当にこれでいいんですか?オレたちは久松さんに何もしないで、ただヘリを待ってるだけですか?
だったらなんで…なんでオレはこの島に来たんだよ!」
・「医師を全員招集してAB型の職員に声をかけてください。ゴロー先生、一緒に二人を助けましょう。
帝王切開です」「…はい!」
・「また会えますよ。まだ帰ってこれないってことは、いつかまた帰ってくるってことですから」