「っ……、最悪……」 「え？　どうしました？」 「いや、なんでもないです。着いたら教えてください」 午前二時。タクシーの後部座席で、高梨一哉は頭を抱えていた。 二十年来の親友・伊神久志に、友人として持つべきものではない感覚を覚えたからだ。 いつもどおりに飲みに行って、たわいもない話をして、またなと言って帰るはずだった。 それなのに、ピタリと身体をくっつけてくる伊神に、妙な感覚を感じた。 「あいつ以外なら誰でも……」 伊神以外だったら、本当に誰でも良かった。 たとえ男が好きでも関係ないと思っていた。 それなのに……。 ※前半は高梨一哉視点。後半は伊神久志視点。同じ物語を含めたお話を両方の視点で楽しむことが出来ます。 攻め視点と受け視点の両方をお楽しみください。 以前販売していたものを、加筆修正いたしました。 ※本作は東紗鋳樹の個人誌作品の電子書籍版となります。

黙れ、この変態が！って俺、会社の社長にご主人様として雇われています。 新入社員としてイベント企画の会社『モンド』に勤務する｜深見啓二《ふかみ　けいじ》は、週末になると勤務先の社長である桐生司《きりゅう　つかさ》のご主人様へと変身する。 とはいっても、深見はゲイでもなければサディストでもない。 週末のご主人様は、深見のバイトなのだ。 興味本位で桐生の提案に乗ってしまい、雇われご主人様をはじめてみたけれど、続けているうちにだんだん楽しくなってきて……。 ※こちらの本は、ショコラの新人賞に応募したものを加筆修正しております。 ※本作は東　紗鋳樹の個人誌作品の電子書籍版となります。