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10年ぶりに再会した幼なじみは、あの低い声で私の名を呼んだ。止まっていた二人の時間が、花の香りと共にゆっくりと動き出す—— 10年前、意気揚々と故郷を飛び出し東京へ向かった澪。大学生活を経て就職した広告代理店では働くほどに心が削られ、とうとう身体を壊し、敗北感を抱えて故郷に戻ってきた。幼なじみの遼太と偶然再会した澪は、彼がこの10年、彼の亡き祖母・薫の花屋をずっと一人で守っていたことを知る。あれほど可愛がってもらっていながら、薫が亡くなって以来一度も手を合わせに来たことがない澪は、偶然にも翌日が薫の命日だったことに気づいて、花を供えるために遼太のもとを訪れた。薫や遼太と過ごした懐かしい日々を語り合う二人。疲れ切った澪にかけた遼太の言葉に救われた澪は、遼太に店の手伝いを申し出る。かつて広告の仕事で培ったスキルを活かし、SNSでの発信を通じて、静かだった店に新しい風を吹き込んでいく澪。花と土、そして遼太の不器用な優しさに触れるうちに、彼女の凍てついていた心は少しずつ解きほぐされていく。そんな折、東京の元同僚から再就職の誘いが届き……