検索結果
-
5.0俳優、エッセイスト、俳人、放浪藝の研究者、ラジオパーソナリティなどなど。 鬼才の藝と生き方を、ラジオ「あしたのこころだ」の筋書作家が描き出す。 俳号は変哲(へんてつ)、昭和ヒトケタの戦中派。蒲田で育った少年期、ハモニカ吹かせりゃ名人で、お医者ごっこもお手のもの。 早稲田大学でオチケンを創設し、新劇役者を志す。 映画や舞台に大忙しで、不惑を過ぎてはこの国の放浪藝を探求し、ラジオじゃ「あしたのこころだ」と叫びつづけて40年。 俳優、エッセイスト、俳人、ラジオのパーソナリティと多彩な才能を発揮した“異能の人”小沢昭一について、ラジオ番組「小沢昭一的こころ」の筋書作家をつとめた著者が記した一冊。 向島、下諏訪温泉、蒲田、亀戸天神など、小沢昭一が愛した馴染みの場所を訪ね、その足跡をたどる。 盟友の加藤武、劇評家の矢野誠一と著者による鼎談を巻末に収録した決定版。
-
4.0「鵺王」。陸軍少将でありながら「ホトトギス」の俳人であった亡父の俳号だ。 自らも年老い、父に思いを馳せる演出家・充彦のもとに、四十歳年下の女から一本の電話が入る。いい加減、子どもを認知してほしい――。作家としても一線で活躍を続ける充彦だが、私生活は修羅の連続だった。最初の結婚が破談になった折、女優・弥勒黒美とのありもしない醜聞で放送局を退職に追い込まれた。愛人を同い年の演出家に奪われ、その娘しぐれを奪い返し、彼女との間に子を為した。心休まる時のない人生だったが、因縁の女優・黒美と句会で再会したことで、充彦の晩年に思わぬ変化が訪れる。女や父、芝居に小説を語り合い、和解したかに思ったのも束の間、黒美から充彦に宛て軍用トランクが送られてくる。中にあったのは父の字で〈尼港事件〉と書かれた封筒だった――。戦時下の外地で、父は高浜虚子の師事を仰いでいたのだろうか。時空を超え、忌まわしき過去の扉が開いてゆく。久世光彦を髣髴とさせる官能と怪奇、幻想。醜聞の果てに男が見た真実とは。