感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
どうせこの親父の善行が後から顕らかになって、家族みんなで泣くんだろうな…という期待をしっかりと裏切る面白い作品でした。
随分前に朝日ジャーナルだったかポストだったか現代だったかで内館さんのエッセイを楽しみにしていた時期があって、そういえば大相撲の関係の記事だったかななどと考えながらの読書でした。その頃もずいぶんと男前な内容でしたがこの作品もさもありなん。このくらいの気持ちを持って老いを迎えないと面白くないななどと感じました。
Posted by ブクログ
人生100年時代の痛快終活小説との紹介通り、パワフルでファッション大好きの78歳忍ハナが夫の死後、どうせ死ぬ日々を過ごしていく痛快な物語。実母とダブることも多く、見た目に手を抜かないハナの姿に身につまされることも多い。周囲の登場人物もドラマを見ているように生き生きと、それぞれの性格が立っていて、夢中で読み進めた。夫の死後、転機を迎えるが、読後感もよく、明るい気持ちになれる。
もう年だとか、どうせ死ぬとか言っている方に読んでもらいたい。
Posted by ブクログ
夫が急死して妾と隠し子の存在が分かり、掛け軸が遺言に出てきたところでこの話知ってると思ったら…何年か前にNHKのドラマで見たことを思い出した。ハナさんは三田佳子で。他のキャストもネットで見て納得。小説が先だったのかドラマの書き下ろしだったのかは分からないけど殆ど小説内容をドラマ化されていたと思う。ハナさんの心の中は小説を読んだ方がよく分かり、笑える。年代的には自分より先のハナさんだけれど『品格のある衰退』のことを考えるきっかけになった。
Posted by ブクログ
そこそこ、それなりに仲良し夫婦の日々のお話なのかと読んでいましたが、ん?んん??と展開があり、なかなか楽しく読ませてもらえました。
私自身、もう人生の半分にさしかかっており、悩み多き日々を過ごしてますが、読後、私は元気をもらえました!
あと、普通に家族仲が良く、支えあえる環境に羨ましさも感じました。
追記
現実に、父親の隠し子騒動があり、この本を思い出しました。(母は既に他界しています)
隠し子に罪はない、それは分かっているけれど、母の気持ちを思うと、我が家の過去の日々を思うと到底許される気にはならない。
いろんな立場の気持ちに共感できました、ほんとにこんなふうに思うんですね、リアルでした…
Posted by ブクログ
終活なんて一切しない。それより今を楽しまなきゃ。78歳の忍ハナは、実年齢より上に見られたことで「人は中身よりまず外見を磨かねば」と若くいることに価値を見出している。
仲のいい夫と経営してきた酒屋は息子夫婦に譲っているが、問題は息子の嫁である。自分に手をかけず、貧乏くさくて人前に出せたものではない。それだけが不満の幸せな老後だ。ところが夫が倒れたことから、思いがけない裏を知ることになる―。
78歳という人間の見た世界を垣間見えるのが、私にとっても新鮮で楽しかった。
子供・嫁・同級生
宇宙人とでもいうような価値観の違い、老けこんだ同級生たち、人間は中身という言葉を免罪符にした彼らの会話…子供・孫自慢のオンパレード…
主人公の旦那が倒れたことで、ハナの身に起きる怒涛の展開。
人間何が起こるか本当に分からない。人間の表と裏の部分。まさかまさかの展開に引き込まれた。
岩太郎がなぜハナを頼るのかとか。
薫の一貫しない行動とか。
岩造の気持ちがほとんどハナにも読者にも分からないのでモヤモヤすることは多い。
岩造も、万一のために本妻側の連絡先とか教えたりするかな??そこはもう隠し通せよ、と思わなくもない。
ツッコミどころは多々あるけれど、幸せとは自分の気持ち次第である、ということなのかな。
Posted by ブクログ
良い。
78歳の実感がこもっている。まだその歳ではないが。
年寄りの愚痴集かと思いきやまさかの夫の不倫発覚。
60代は元気だが、80歳近くになると、思うように体が動かないようになるらしい。でも、出来ること、やりたいことを無理せずやるということか。
Posted by ブクログ
岩造とは妙に気が合ったのだ。旅でも食事でもおしゃべりでも、夫とするのが一番楽しく、一番休まる。
「衰退」を意識して以来、呼吸が楽になった気がする。求めていた空気とは、実は「衰退を受け入れること(「若さ」や「若返り」ではなく)」だったのではないか。
「衰退」は「老衰(小汚いジジババ)」ではない。
先のない年代に大切なのは、偽装(磨きをかけて、だますこと)だ。
偽装すれば、年よりくさいことを自分に許せなくなる。似合わないからだ。
鈍くなること、くどくなること、愚痴になること、全部自分に許せなくなる。
淋しがること、同情を引きたがること、ケチになることもだ。
孫自慢に病気自慢に元気自慢も、許せるわけがない。
私は残りの人生、先のない人生に向かい「やってやる!」とつぶやいた。