【感想・ネタバレ】朔が満ちるのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

読みやすかった。最初は重すぎて断念しそうになった。壮絶な過去に立ち向かって、乗り越えて幸せになれたことに感動した。支え合える人がいるのは幸せなこと。人は1人じゃ生きていけなくて、誰しもが誰かの大切な人として生きていると思った。暴力を振るった相手の面倒を死ぬまでみるなんておかしいが、罪悪感や依存の感情からきてしまうのかなと思った。親の言うとおり、旦那の言うとおりで生きてきてしまった母は優しすぎたんだと思う。自分の生きたいように、自分の人生を生きるべき。罪のない子どもを巻き込んだことはおかしい。産んだからには最優先に考えるべき。
自分ももし周りからみておかしい状況でも、それが正しいと信じてしまったら抜け出せないのではと考えてしまった。周りからおかしいとかかわいそうとか逃げればいいと思われても自分が後悔のない道を選んでいれば、満足なのかもしれない。母も父に囚われる人生で満足だったのかも。

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2023年09月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

内容はとても重いが、窪さんの文章はとても読みやすい。だからこそ読むの気力が必要な小説だった。

親からの暴力や育児放棄から生き延びて大人になった人を「DVサバイバー」と呼ぶらしい。この本の主人公は小学生の頃より父親からの暴力を受けながら育ち、家族と自分を守るため、ついには父親に手をかけるとこまで追い付けられてしまった男性。

今はカメラマンの助手として、東京で普通に暮らしているが、その生活のそこここに当時受けた心身の傷が影を落として彼を苦しめている。そんな彼の住処に流れいついた女性、その人もまた、ぬぐい切れない過去を持っているのだった。

重くて読むのがとてもしんどい物語だった。DVで苦しむシーン、大人になっても記憶に苦しむシーン、彼らはただ生き抜いただけなのに思い出が辛かったり苦しかったり罪悪感を覚えたり…そんなシーン全てが、読んでいる俺までもツラくさせる。

これがフィクションだと割り切れないほど、現実にはもっともっとひどい仕打ちを子供にするクソ親がいる。ニュースをみるのも辛くなるようなカス親が世の中にはいる。俺にはどうしようもないけど、そういう連中はとっとといなくなれ、ビニル袋を減らそうとするより、こういうクソカスを減らすことこそ、政治がするべき業務じゃないのか?

読んでいる間、ずっと妻や娘の名前をつぶやいていた。俺は彼女らに暴力などふるわなかったし、これからも絶対ふるわないが、どなってしまったこともあれば、感情をぶつけてしまったこともある…、クソカスな親になってしまう要素はもっているんだと自覚する。自覚することから抑制が始まる。飲酒をやめて理性を維持できれば抑制は続けられるはず。痴呆(あえてこの単語にする)など病で抑制ができなくなったときは、正直死んでしまいたいと思っている。

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2022年01月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

場面転換、弘前と東京の地点ごとに生まれる感情・関係性との結びつきも興味深く。

後半につれて全体の構成を意識させられる作品となっており、梓との出会いから、幼少期の暴力的な描写、そして弘前での決別…その全てが各々一つの枠として進んでいるのに、どこか複雑に絡まっている要素がある。空間と感情の絡ませ方に脱帽しました。

エピローグについては、少し凡庸な感じはしました。というより、窪さんなので、エピローグを作るということは…?と深読みを余儀なくされるため、最後まではハラハラさせられる。その結果なので、胸を撫で下ろす感覚に近い。

なんといってもキャラがとても良い。伯母・吉田さん・駐在さん…様々な大人が関わり合いを持ちながら、各々の考え方を広げさせられる。改めて正しい・正しくないで割り切れるものなど、この世にはないのだと。

史也の境遇には共感させられる生い立ちの自分でしたが、妬み・恨みは感じたことがなく。同じように暴力が蔓延する家庭の中で育った人間でも、受け取るものは違う。それは、単純にDV一つとっても具体性の違いなのか、わたしと小鳥とすずと、なのか・・・。

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2022年06月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

いわゆる虐待サバイバーとされる人が主人公。
「俺たちはサバイブしたのか?」
と問う主人公の言葉は重い。

酔って暴れる父親、別れない母親、暴力が始まると目が見えなくなる妹、そして主人公。
主人公は薪を割るための斧で父親を殺そうとしたことがある。
けれどそれは周りの大人たちによって「犯罪」とはならない
本当は法によって裁かれるべき人間なのに、今もまだ殺意はあるのに、と思いながら主人公は生きている。

同じように実の親を許せないと思いながら生きている女性と出会うことで物語は動く。
建築物を撮るカメラマンをしている主人公は仕事で自分の地元である青森に行かなければならなくなる。
そこにその女性とともに行く。

1度会って欲しいという周りの言葉。
まだ心に残る殺意。
許すべきか?いや、そんなの無理だ。

虐待の描写があるので読むのは辛いシーンもあります。

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2022年03月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

DVの父親殺人未遂を13歳で起こした青年の再生サバイブ物語。

捨て子だった梓、メンヘラの水希と青年の周りの子供時代に虐待を受けた女子の話も心苦しかったです。
サバイブしそこなった水希への後悔や父を殺しそこなった上に罪に問われない苦悩はとてもかるものではなかったですが、自分の出自を梓に支えられながら見つめなおせたことで、過去からの脅迫感に苛まれることがなくなったことは良かったです。
コロナ前に週刊連載を読みかけていたので気になっていた久しぶりの著者の作品ですが、すっきりしました。

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2022年05月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

好きな作家の本。
虐待を受けていた主人公の暗らく壮絶な子供時代
13歳のときついに斧で父の頭を割るが父は死なず・・・
駆けつけた駐在さんの助けもあり事故として処理されたが、それからも父親への殺意と罪悪感が消えず葛藤しながら生きていく。

全体的に暗く重たい話だし、
結婚して絶対幸せになってやるという脅迫観念みたいな気持ちや
親になる恐怖とかは読んでて結構つらい
伯母、妹、駐在さん、上司、彼女に助けられながらトラウマと向き合い、最後は明るく終わったのは救いかな

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2022年03月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

毒々しい感じの表紙
父親からの暴力にたえる母と息子
目が見えないと叫ぶ妹
斧を振り上げ父を殺そうとする息子

ここまでは、あっと言う間に読み進み
さぁどうなるのか?と思ったら…

丁寧に描かれてハッピーエンドだった。

すごく良い終わり方だったけど
そんなにうまくいくかなぁとか
思ってしまう私は歪んでるのか?

私も末っ子だからか?
妹が目が見えないフリをしてたのは
すぐに分かった
末っ子はある意味、上手に生きていけるんよね

お母さんの行動が、いちいちムカついた
暴力をふるう父が最悪なのは
もちろんだけど、とめたり逃げたり
守ったりできんもんかなぁ?
しかも原因はお前だろ?

こういう人っておるよね
私には理解できないタイプ

梓の行動がリアルでよかった
伯母さんと梓は似た系だよね

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2022年01月10日

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