【感想・ネタバレ】暁の宇品 陸軍船舶司令官たちのヒロシマのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

この本は、日本陸軍最大の輸送基地「宇品」の歴史や、日本陸軍の補給組織についての歴史を、「船舶の神」とまで謳われながら陸軍を罷免されてしまった、元第1船舶輸送司令官の田尻昌次と、船舶参謀として太平洋戦争の船舶作戦を立案した篠原優、そして原爆投下後、原爆負傷者の救護活動を指揮した佐伯文郎の3人の歴史から紐解いていく一冊である。本稿では、この3人から特に田尻昌次について触れたい。
 田尻は、没落していく生家の再興を頼まれ医師を志すも、金銭的問題から教師として働いた。そして家族を養うお金を稼ぐために陸軍士官学校を受験、見事合格。
 そして陸軍という世界に入った田尻は、ここでも陸軍幼年学校出身でないことなどから厳しい経験をする。しかし田尻は、その自叙伝にも田尻が書いた通り、「私個人の実力を養成し、個性を磨き、他に遜色なき人格を修養」し、そして、茨の道を、陸軍大学進学という形で切り拓いた。
 その後の田尻の歩みは、日本陸軍自体の船舶輸送の近代化の歴史そのものとなっていく。田尻は、近代的上陸戦の実用に耐えうる輸送艇の開発や、海軍との連携、そして部隊の改革などを行い、第一次上海事変の七了口上陸作戦などを成功させ、日本の上陸作戦技術を世界のトップレベルにまで引き上げた。しかしその後田尻は、輸送を知り尽くしているがために南進論に反対、意見具申を各省庁に行った。しかしこのことが越権行為と捉えられ、陸軍を追われてしまう。この後陸軍の船舶輸送は、ガダルカナルに代表されるように、悲惨な末路を遂げる。
 私は、田尻のこの臥薪嘗胆の日々や栄光の日々、そして軍を追われる時の無念さを、この小説を読みながら追体験しているような感覚に襲われた。そしてまた、軽視されがちであった日本軍の輸送にこれほどまでに深く関わった軍人がいたことを知ることができ、今後も日本史を学んでいく中で異なる焦点にスポットを当てる重要性をこの本を読むことで学ぶことができた。

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2024年04月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 1969年広島生まれ、ノンフィクション作家、堀川惠子さん。「チンチン電車と女学生」の次に読んだのは「暁の宇品 」、2021.7発行。明治27年、日清戦争を機に、東京の大本営が広島に。広島城に明治天皇、人力車で数分の距離に国内の要人のすべてが。その広島で最も繁忙を極めた場所が宇品。その50年後、人類初の原爆が広島に。米国の計画、第1段階、広島、八幡、横浜、東京・・・17の都市。第2段階は、京都、広島、横浜、小倉。広島は重要な軍隊の乗船基地。宇品は(呉ではなく)日本軍最大の輸送基地。

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2022年08月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

おもしろくてすごく勉強になる本だった。まず写真がすごい。戦争するというのがどんなことなのか具体的にイメージできる。なのでいかに無茶なことをしていたかというのもよく分かる。後半から端々で『日本軍兵士』を思い出しながら読んだ。宇品に行く時は,この本のことを思い出そうと思う。

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2022年06月30日

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