【感想・ネタバレ】挑発する少女小説のレビュー

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Posted by ブクログ 2023年09月03日

本大好きだった少女時代。その当時の自分では表現し得なかった違和感、すっきり解説してくれた。
特に長靴下のピッピは、なんだこの悲しい感じ…と当時から思っていたが、その意味もすっきり。

これを読んでからもう一度あの頃の本を読み返したい。

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Posted by ブクログ 2023年06月15日

中学生の娘が「若草物語」のジョーを知らない、と言ったので驚いたが、私が子供の頃に読んだこれらの本は、今ではすっかり読まれていないんだなぁ。でも面白いものはやっぱり面白いし、この本片手に片っ端から再読したい!

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Posted by ブクログ 2023年05月04日

小公女、若草物語、ハイジ、アン、あしながおじさん、などの名作の魅力を語る。
現代の視点で読み解くことは茶々を入れることでなく、新たな魅力を見出す。また作品の骨格は現代の視点に晒されても動じない。
作品や主人公の比較も楽しく、どれも読み返したい。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年06月01日

子どもの頃はそうと意識して読んでいたわけではありませんが、いわゆる少女小説と言われるジャンルの小説は、小学生の頃の愛読書でした。
19世紀後半から20世紀前半に書かれて、作者も多くは女性です。
”少女小説は、広い意味での児童文学に含まれますが、文学史的には「家庭小説」と呼ばれるジャンルに属します。家...続きを読む庭小説は、家庭を主な活動の場とし、将来的にも家庭人となることを期待された少女のためのジャンルとして発展しました。”

小学生の私にとっては家庭人となるための知識ではなく、遠い外国の知らない世界を見せてくれるのがこれらの作品でした。
もちろん少女小説以外にも「宝島」や「トム・ソーヤ」なんかも読みましたし、民話や童話なども読みましたけど。

なんでこんなに少女小説が好きだったのか考えてみると、主人公たちが伸び伸びと活動しているのがうらやましいというか、眩しかったんだと思います。
だから実は『小公女』はあまり好きではなかったな。
ちょっといい子過ぎて。
あと、校長先生の掌返しが怖かった。

帯の裏側にポイントが書いてあります。(なんと親切設計だこと)

”あの名作にはいったい何が書かれていたのか――!?
魔法使いと決別すること@バーネット『小公女』
男の子になりたいと思うこと@オルコット『若草物語』
資本主義社会で生きること@シュピーリ『ハイジ』
女の子らしさを肯定すること@モンゴメリ『赤毛のアン』
自分の部屋を持つこと@ウェブスター『あしながおじさん』
健康を取り戻すこと@バーネット『秘密の花園』
制約を乗りこえること@ワイルダー『大草原の小さな家』シリーズ
冒険に踏み出すこと@ケストナー『ふたりのロッテ』
常識を逸脱すること@リンドグレーン『長くつ下のピッピ』”

これらの作品に書かれているのは、自分の居場所をつくること、守ること。
自分らしく生きること。
子どもの頃は気づきませんでしたが、そういうことです。
「ピッピ」以外は全部完訳版や一般向けの文庫本で読みなおしましたが、大人が読んでも十分に楽しめました。

この本を読んで、子どもの頃にはわからなかった、深いメッセージの意味を知り、また読み返してみたいと思いました。
特に、ケストナーの『ふたりのロッテ』。
ナチスに強く抵抗していたことは知っていましたが、両親の離婚により別れ別れになった双子のロッテとルイーゼの物語は、戦勝国の勝手により分断された祖国ドイツの物語である、とは気づきませんでした。
子どもにとって親は独裁的な権力者。

著者は、少女小説には父親の影が巧妙に遠ざけられていると言います。
それは、少女が自由に活躍するためには、家父長的な父親が邪魔だからだ、と。
唯一父が健在の『大草原の小さな家』は、自由人の父親が定住派の母親の希望通り、町に住むことで家庭内権力闘争に負けたということになるのだそうです。
少女が飛び立つための大きな障害が父親という存在(または家父長制という家システム)。

私常々思っていたのですが、どうして朝ドラの主人公の父親はろくでなしが多いのだろう、と。
いい人であっても、家長としては役立たずとか、いい人ですらなかったり、とか。
それは、しっかり者の父親が健在であっては朝ドラのヒロインが活躍できない、ということなのですね。
腑に落ちました。

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Posted by ブクログ 2022年01月18日

何気なく読んでいた少女小説の深層。名作にこんな読み方もある。楽しくかつ衝撃的な一冊。

少女小説は読者を挑発しているという。名作小説の秘められた意味。

筆者自身の要約。
シンデレラ物語を脱構築する『小公女』
異性愛至上主義に抵抗する『若草物語』
出稼ぎ少女に希望を与える『ハイジ』
生存をかけた就活...続きを読む小説だった『赤毛のアン』
社会変革への意思を秘めた『あしながおじさん』
肉体労働を通じて少女が少年を救う『秘密の花園』
父母の抑圧をラストで破る『大草原の小さな家』シリーズ
正攻法の冒険小説だった『ふたりのロッテ』
世界一強い女の子の孤独を描いた『長くつ下のピッピ』

筆者の毒舌な評論は本書に限らず面白いことはもちろん。その中でも本書の素材がどれも名作なのでより心に染みる。

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Posted by ブクログ 2021年09月18日

懐かしくも、新しい視点に目から鱗! それぞれを読み返したくなった! ローラはTVドラマ版しか観てなかったので印象のギャップに衝撃。

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Posted by ブクログ 2021年08月14日

代表的な少女小説9作に、新しい視点から読み解く優れもの。私も全部読んだことのある物語ばかりで、そのまま主人公の少女達の幸せを願ってワクワクしながら応援していたが、目から鱗の解釈で今更ながら主人公とその背景を新たに思った。
特に「大草原の…」のローラにはそうだったのかと目のつけどころに感心した。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年07月30日

かつて夢中になった少女小説の数々、セーラやアンや、ジョーは生活を共にした気がするほど身近だし、メアリは大人になってから再読して一緒に庭の手入れをした気がしてるし、ジュディーは一緒に夏休みを過ごした!
読み終えて、手元に『ふたりのロッテ』があったので何十年かぶりに再々読。ハイジはどうしてもあのブランコ...続きを読むの姿が浮かんでくるけど子どもの頃読んだ本のアルプスの山並みが忘れられないし!
こうやって思い返してみると、そうか、あの頃の私たちはまんまと彼女たちの挑発に乗ってここまで来たのだろうね。
みんなにあの頃出会えて幸せでした。

とはいえ、冷静な大人の目で見て解説してくださった斎藤さん、他の本も読んだことあるけれどこれほど身近に感じたこと無い。ありがとうございました。

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Posted by ブクログ 2021年07月04日

ああ「みなしご」、なんと魅惑的な響き。ここにとり上げられている少女小説は、もちろん夢中で読んだクチである。その頃感じていた「そうそう!」な気持ちと、「えええ??」な気持ちの両方を切ってもらえて、大変満足する。ツッコミも痛快。面白かった。『ハイジ』や『秘密の花園』の歩けて治って大団円…にモヤモヤしてい...続きを読むたのも思い出した。そこも、「歩くことが正しいことか」とちゃんと言及してくれるので、斎藤美奈子は信用出来る!と思ってしまうのだった。

家庭小説だったはずなのに、逸脱し、自由を求めて闘っていたよね。
ビバ、わきまえない少女たち。

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Posted by ブクログ 2021年07月03日

面白くて一気読み。自分はこういうのを読みたいんだとつくづく思った。かつて熱心に読んだ少女小説。フェミ的にはどうなのよという内容が多く、まあ、あれは若気の至りというか通過儀礼というか、本気であれこれ言うものじゃないかなと思いつつ、一方では、ノスタルジーにとどまらない愛着を感じる作品がいくつもあって、ず...続きを読むっとモヤモヤしていたように思う。

そこにズバリと斬り込む斎藤美奈子さん。さすがの切れ味で、ずっと愛されてきた少女小説には、それだけの魅力や意味があるのだと説いて、私のモヤモヤを吹き飛ばしてくれる。「赤毛のアン」に「若草物語」「秘密の花園」「小公女」などなど、少女小説はどれも良妻賢母教育のツールではあったけれど、その表向きの顔とは別の、強いメッセージを発してきたのだと美奈子姐さんは言う。

そのメッセージとは「女の子よ、くじけるな」ということ。世の中には、女であるがゆえのつらいこと苦しいことがいろいろあるけれど、それに負けるな、くじけずに生きていけ。長く読まれる少女小説には、そういう励ましが埋め込まれていると喝破されて、もう目から鱗がバラバラ落ちた。そうだ、そうだよ。主人公たちが結局「家庭婦人」におさまろうがなんだろうが、自分で自分の道を切り開いていくところに爽快さがあったんだよね。時代時代で求めていくものは変わるけど、その気概が伝わるから、読み継がれてきたのだ。

取り上げられる少女小説は九作。知ってはいるけれど、はて読んだかしら?というものもあるが、ストーリーを紹介しながら論じられるので、どれも興味深く読めた。「長くつ下のピッピ」とか、へぇ~そういうお話だったのかと思ったり。大好きで何度も読み返した「赤毛のアン」についての章が面白いのは当然として(「赤毛のアン」には、「女の子らしさの肯定」があるという分析には、確かに!と膝を打った)、さほど好きではなかった「小公女」や「あしながおじさん」についても、なるほどなあと思うところが随所にあった。

著者の著作では、「はじめに」「まえがき」がとても面白くためになる。本書でも、少女小説の「お約束ごと」を整理したくだりに、言われてみればその通りと納得。ヒロインは「おてんば」で「みなしご」で「友情が恋愛を凌駕」していて「少女から卒業」していく。こういう俯瞰的な視点のあることが、著者の切れ味の元なんだろう。

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Posted by ブクログ 2024年03月24日

斎藤美奈子に外れ無し、ということに気づいてから積読本をどんどん消費中。
これもまた楽しめた。
ほとんどの本を読んでいるか、ドラマ映画で見ているか、なので、他の書評本とはまたちょっと違った感慨がある。

なぜあんなに少女小説に夢中になったのか、その謎は、作者によって父親が消されて、主人公たちの楔が無く...続きを読むなったことによるのだね。「みなしご」という設定は、家父長制からの脱却でもあるのだ。

次の積読もまた読もう!ってどんだけ斎藤さんの本を放っておいたんだ笑

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Posted by ブクログ 2024年02月01日

好きだわ〜斎藤美奈子さん

はい、少女小説を斬ります
まずは美奈子さんの言う少女小説のお約束ごとから
①主人公はみな「おてんば」な少女である。
②主人公の多くは「みなしご」である。
③友情が恋愛を凌駕する世界である。
④少女期からの「卒業」が仕込まれている。

そんな約束ごとを踏まえた9作品を今も読...続きを読むむ価値があるのか、あるとしたらポイントはどこなのか
そんな視点を美奈子さんの爽快すぎる語り口で解説してくれたのが本書です

で、選ばれた9作品がこちら
・バーネット『小公女』(1905)
・オルコット『若草物語』(1868)
・シュピーリ『ハイジ』(1880)
・モンゴメリ『赤毛のアン』(1908)
・ウェブスター『あしながおじさん』(1912)
・バーネット『秘密の花園』(1911)
・ワイルダー『大草原の小さな家』(1932)
・ケストナー『ふたりのロッテ』(1949)
・リンドグレーン『長くつ下のピッピ』(1945)

どれも名作中の名作
でもたぶん『あしながおじさん』以外は読んだことない(映像作品では見たことあるよ)
なぜならわい少女じゃなかったから

でも本作を読んでみて、原作読んでみたいな〜って思いました
それはとりも直さず美奈子さんの書評が素晴らしかったという証明になるのでわ?と思われます

そうそう、最初の命題ね明大中野ね
「今も読む価値があるのか?」ってやつよ

美奈子さんが導き出した答えについては本書を読んで頂くとして、わいの意見としては結局美奈子さんに一票なのです

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Posted by ブクログ 2023年01月24日

取り上げられている少女小説は、どれも小学生から中学生の間に読んだ。
こんな意味があったのかと興味深い。改めて読み直してみたい。

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Posted by ブクログ 2022年10月13日

戦後でなく、今の時代に合わせた少女小説はどんな狙いの元に書かれるのか?考えてしまった。
紹介された小説の少女たちは、子だくさんの包容力強い母になっていたよなあと振り返った。

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Posted by ブクログ 2022年07月23日

子供の頃に、日曜夜の「世界名作劇場」を毎週見ていたので懐かしかった。
あの頃は「このアニメの主人公は元気でカッコいいな」くらいの感覚しか持っていなかったが、アニメを見ていた当時の少年達は影響を受けているじゃないだろうか。自分の場合、例えば、同じクラスで主人公と似たような雰囲気の女の子を探した、甘酸っ...続きを読むぱい思い出がある。

この本では9冊の作品が論評されている。舞台は、南北戦争後や、西部開拓の終わったころのアメリカ、インド統治時代の英国など、激動の時代であり、少女の家族構成は複雑である。そのような時代に、従前の「お手本」とされた生き方ではなく、当時からすれば型破りの、新しい生き方を選ぶ少女を描いたわけである。それぞれの筆者が世間に投げ掛けた社会派小説だったことが分かった。

自分の身近でも、新しい働き方・生き方を模索している、現代の「赤毛のアン」は沢山いるじゃないだろうか。実際に、彼女たちは声を発して小さな行動を起こしているのだが、オッサン社会では見向きもされていないこともある。小学生の頃の繰り返しではないが、「それぞれの小説の主人公との共通点が無いか」という視点は大事だと思う。1人1人が何に悩んでいるのか、ちゃんと同僚や部下に興味を持って接したいと改めて感じた。

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Posted by ブクログ 2022年06月12日

少女小説の楽しさ、そこに込められたメッセージ、時代背景を鮮やかに解説してくれて、現代の私が読んで感じた違和感はすっきり解消。こんな風に本を読み込んで人に語れるって、ホントにすごいことだと思う。

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Posted by ブクログ 2022年04月10日

斎藤美奈子さんの扱われるテーマにはいつも感心してしまう。テーマそのものと、斎藤さんが評されるという安心感で、読む前から期待が高まり、決して裏切られない。
どの作品も(子供向けの版でしか読んでないのもあるが)私の読書の原点だ。これらの作品が本を読む楽しさ、欧米への憧れをもたらした。1冊だけ全く読んでい...続きを読むないのが「赤毛のアン」。どうしてそんなことになったのか…
大人になって読み返したものもあるが、また読み返してみたい。
子供の時に読んだ子供版も読んでみたいなぁ。偕成社だったかなぁ、2種類シリーズがあり(2社だったのかなぁ)、つい何年か前まで実家に置いてあったのだが、とうとう処分した。
大人の視点で、現在の視点で、少女小説を読み直すという趣旨のはずが、私ときたら幼少期を思い出し、懐かしさにしみじみしてしまっている…

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Posted by ブクログ 2022年01月10日

中学生の頃に『赤毛のアン』シリーズ全巻の他には『若草物語』ぐらいしか読んでない男子であるが、題名しか知らなかった各作品の解題が面白く読めたのは、百年以上も前の小説でありながらいまどきのフェミニズム評論で明快すぎるほど分析できているという点に尽きるかと…。

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Posted by ブクログ 2021年11月01日

あい変わらす着目点が優れている。古く保守的と思われながらも読まれ続けられている少女小説を現在の視点で読み解き、新たな魅力を引き出している。ただ、少女小説の定義を20世紀初頭までに描かれた十代の少女を主人公にした家庭小説としたのは、いささか疑問がある。現在も描かれつつある「少女小説」と断絶してしまう。...続きを読むそうなるとケストナーの「ふたりのロッテ」やリンドグレーンの「長くつ下のピッピ」は該当しないはず。「ピッピ」に至っては、ファンタジー系は扱わないと言いながら反少女小説として本書を閉めるためだけにリアリズム小説に無理やりねじ込んだとしか思えなかった。とはいえ軽快な文章力で読みやすく、あらためて取りあげている作品を読み返し、あるいは読みたくなる、指南書になっている。なお斉藤美奈子にいつも「毒」を求めるのは間違っている。

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Posted by ブクログ 2021年09月15日

世界中でヒットし、今も読み継がれている、10代の少女が主人公のリアリズム小説9作品の解説。日本でも60年代のジュニア小説、80年代のコバルト文庫、2000年代のケータイ小説など多くが生まれたが、この9作品のように長生きはしていない。何故か。

ひとつは、時代や文化の隔たりを超えて、少女に訴えかける普...続きを読む遍性を持っていたこと。
ひとつは、海外ものだったために古さがバレなかったし、異国のお話はオシャレに感じたりさえしたから。

特徴は四つ。
(1)主人公はみな「おてんば」な少女。ジェンダー規範を大なり小なり逸脱。良妻賢母教育のツールとして作られたのに、読者の支持を得て大人社会の陰謀を「出し抜いていた」。
(2)主人公の多くは「みなしご」。19世紀の時代を反映しているからだとも言えるが、親を失った子供は自力で人生を切り開かざるを得ない。そこからドラマが生まれる。
(3)友情が恋愛を凌駕する世界。しばしば物語には「女の子らしい女の子」か登場。主人公の個性を引き立てる役にもなるが、主人公は男の子よりも友情を優先する。
(4)少女期からの「卒業」が仕込まれている。「おてんば」は成長とともに失われてゆく。
別言すると、どれほどハメを外しても将来は約束されているから読者は安心して読めたのか。
或いは一見「保守的」に見える結末も裏には意外な事情が隠されているのか。
或いは、読者には「誤読する権利」があるので、多様な読み方ができるテキストでもあったから、とも言えるかも。

以上が本文に入る前の斎藤美奈子女史の「はじめに」の概要である。コレで「小公女」「若草物語」「ハイジ」「赤毛のアン」「あしながおじさん」「秘密の花園」「大草原の小さな家シリーズ」「ふたりのロッテ」「長くつ下のピッピ」の重要な部分はもうわかった。もう読まなくてもいいんじゃないか。私もそう思いました。

でも、本文を読んだらとっても面白くて置くこと能わざるを経験します。そりゃそうでしょ。原作やアニメで、あんなにも親しんできた物語を女史が案内するんですよ!なんか町山智浩さんの映画評につながるところが、女史の文学評にはある気がする。文体が読みやすいわりには構成がしっかりしていて、新しい視点がある。そして、反権力という点で一本芯が通っている!そういう意味では丸谷才一や吉田健一とは違う。
‥‥それはともかく、やはり1番面白かったのは、(4)の部分です。特に、女史が想像したり紹介したりする「その後の物語」には共感しきりです。

何度も言いますが、私は一貫して「頑張る女の子」推しです。決して「男の子」ではない。
何故なんだろう。
女の子には、男の子よりも「未来」がある気がするから。
元男の子だった私の叶えなかった夢を叶えてくれそうな気がするから。
元男の子の勝手な思い込みなのかな。
でも、こんなこと、市井のいち老人が言っても女の子は誰ひとりとして「責任」なんか感じたりしないでしょ。
でも男の子は、そんなこと聞くと何故か一定数「責任」を感じるんです。そこんところが、違いかな。

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Posted by ブクログ 2021年08月12日

子供のころ読んだいわゆる少女向きの小説はわたくしの「読書趣味」の原点であるし、いまだにその「少女小説」たちを読み返したい。でも、この年齢になってもそんなのは恥ずかしいのではないかと思ってもいるので、「ああ、それでもいいんだ」と認めてもらったようなのが、この斎藤美奈子さんの「少女小説」考察「あの名作に...続きを読むは何が書かれていたのかー!?」です。

取り上げてある「少女小説」は
『小公女』『若草物語』『ハイジ』『赤毛のアン』『あしながおじさん』『秘密の花園』『大草原の小さな家』『二人のロッテ』『長くつ下のピッピ』

はい全部読んでおります(という自慢?はさておき)わたしが魅力に取りつかれていたのは「こんなわけもあったのか」という示唆ですっきりしました。深く読む、一歩引いて見る、諧謔的な、皮肉な見方をしてみる、その小説の時代を見てみる、これこそ読書究極の魅力ですね。

9章のタイトルは
魔法使いと決別すること   バーネット『小公女』
男の子になりたいと思うこと  オルコット『若草物語』
資本主義で生きること  シュピール『ハイジ』
女の子らしさを肯定すること  モンゴメリ『赤毛のアン』
自分の部屋を持つこと  ウェブスター『あしながおじさん』
健康を取り戻すこと  バーネット『秘密の花園』
制約を乗り越えること  ワイルダー『大草原の小さな家』
冒険に踏み出すこと  ケストナー『二人のロッテ』
常識を逸脱すること  リンドグレーン『長くつ下のピッピ』

ちょっと意表をつかれますし、何が何だかわからないでしょうけどね。

そして結論はこのように結んであります。

シンデレラ物語を脱構築する 『小公女』
異性愛至上主義に抵抗する 『若草物語』
出稼ぎ少女に希望を与える 『ハイジ』
生存をかけた就活小説だった 『赤毛のアン』
初回改革の意思を秘めた 『あしながおじさん』
肉体労働を通じて少女が少年を救う 『秘密の花園』
父母の抑圧をラストで破る 『大草原の小さな家』
正攻法の冒険小説だった 『二人のロッテ』
世界一強い女の子の孤独を描いた 『長くつ下のピッピ』

なんて現代的!考察を読むとおもしろくわかります。いつもながら斎藤さんの読み解きはユニーク、なかなかのもの。そうです、大人にも読み耐えられる小説たちだったのですね。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年03月28日

さすがの斉藤美奈子さん。ばっさばっさした書かれ方に吹き出してしまうことしばしば。
ストーリー・オブ・マイライフを観なくちゃだなぁと改めて思う。

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Posted by ブクログ 2023年03月02日

『小公女』『若草物語』『ハイジ』『赤毛のアン』『あしながおじさん』『秘密の花園』「大草原の小さな家」シリーズ、『ふたりのロッテ』『長くつ下のピッピ』の九つの作品をとりあげ、それらが長く少女たちに愛されつづけてきた理由について論じている本です。

これらの作品は「家庭小説」と呼ばれ、家庭を主な活動の場...続きを読むとする良妻賢母を育成するための装置としての機能を果たしてきたとされています。しかし、それらの作品が多くの少女たちの心をとらえ、長く読み継がれてきたことには、そうした「家庭小説」としての機能とは異なる魅力があったからではないかというのが、本書の考察の出発点となっています。

『秘密の花園』について、「コリンの物語をメリーの側から描き直せば」という項が立てられていることにとくに顕著なのですが、著者自身の立場から、作品の登場人物たちのあるべき未来像についての想像がしばしば語られています。「家庭小説」というジャンルの規範を乗り越えるような展開をあえて語ることで、これらの作品のうちに秘められていたはずのポテンシャルを示すことが、著者のねらいなのかもしれません。

ただ、そうした読みかたが可能であるということは、「家庭小説」というジャンルを規定していたジェンダー的な規範性が作品そのものに内在しているのではなく、むしろ作品を頒布しそれを受容する文化的環境のうちに存在するということを示しているのではないかとも考えられます。本書では、作品そのもののうちに秘められた魅力を再評価するという基本的な枠組みのなかで議論が展開されているのですが、文芸批評家である著者がそうしたスタンスをとることはそれなりに理解できるものの、その議論のゆくえを追求するとけっきょく「作品」という制約を脱していくほかないのではないかという気がします。

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Posted by ブクログ 2023年01月15日

どの少女小説も頃夢中になって読みました。「若草物語」と「パレアナ」が特に好きでした。 保守的な大人になっています。今読めば突っ込みどころ満載なのでしょうが、やはり主人公の前向きな姿は憧れでありずっと大好きなままです。斉藤さんの辛辣な文章にも
少女小説への愛は溢れています。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年12月13日

少女小説やその主人公を通して作者が伝えようとしたメッセージや、少女小説の主人公には孤児が多い理由など、翻訳された小説の一部を引用した考察が面白かった。
子どもの頃に読んだ小説はもう一度違った視点で読みたくなるし、その頃は興味が持てずまだ読んだことのない小説も、斎藤さんの解釈を読むと面白そうで興味がわ...続きを読むいてくる。
ただ気になったのは男性蔑視と捉えられかねないような表現が所々に見られたことで、それだけは残念だった。

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Posted by ブクログ 2022年08月16日

少女小説大好きなので待ってました!の一冊。私はそれほどジェンダーに関心が高くないのですが、記述には納得がいきます。楽しく読んでいた頃とはまた違う視点で物語を俯瞰するのもいいなと思います。

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Posted by ブクログ 2022年04月23日

子供心に、名作だから正しいことを言ってるに違いないと信じていた。この反応は刷り込みのようで、大人になって同じ作品を読んでも、不思議と子どもの頃よろしく思考停止してしまったりする。
それを著者はリアリズム的な目線で名作をぶった斬る。ファンに悪いんじゃないの?と心配になるぐらい、真っ当な指摘だ。
正直な...続きを読むところ今更児童文学を読むのはおっくうではあるが、俯瞰した目線で読み直せるのなら、子どもの頃より得るものは多い筈だ。紹介されている本を一冊もまともに読んだ事がないのだから、この際読んでみようかなと思った。

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Posted by ブクログ 2022年03月19日

小公女、若草物語、ハイジから長靴下のピッピまで、受け継がれていく物語を、作者の視点で分析し直す一冊。

なぜこれらの小説が今でもずっと受け入れられて来たのか、という視点で読むと、なるほど、という部分がある。

しかし(これは個人的な好みなので万人に当てはまるものではないのだけれど)、ちょっとバイアス...続きを読むがかかりすぎではなかろうか。男性主人公を何がなんでも悪役か貶したいように見えて、気分良く読めない。
あしながおじさんだって邪な気持ちばかりで援助するほど暇ではないだろうし、秘密の花園のコリンの立ち直りなどもっと素直に祝福してやればいい部分ではないだろうか。どうしてそんなにひねくれた分析をするのだろうと思ってしまった。この人は、例えば「はてしない物語」のバスチアンにも同じような言葉を吐くのだろうか? 

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Posted by ブクログ 2021年11月27日

読んだことない本もあったが、なるほどなと思って読む。

私がかつてこの本が好きだった理由はなんだろうか、と思いながら読む。

若草物語は完全にジョー派だった。
秘密の花園では、まんまとコリンに主役渡してそれで感動してたなー、
あしながおじさんは恋愛ものとしてみてたかもなー、とか。残念。

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Posted by ブクログ 2021年09月21日

子供の頃から馴染んだ少女小説。『小公女』 『若草物語』『ハイジ』 『赤毛のアン』 『あしながおじさん』 『秘密の花園』 『大草原の小さな家』『ふたりのロッテ』 『長くつ下のピッピ』 の9作品についての、著者による斬新な新解釈。
子供の頃は疑問に思わなかったことも、(本書を読み)大人になってからでは、...続きを読む違った視点で読めると思う。結構、どの少女たちも、可愛く儚いだけではなく、一癖二癖ある。『ハイジ』を資本主義の視点から読み解いたところが面白かった。2008年に明らかになったモンゴメリの死因についてはショックでした。

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