【感想・ネタバレ】EMPOWERED 普通のチームが並外れた製品を生み出すプロダクトリーダーシップのレビュー

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Posted by ブクログ

機能開発チームとエンパワードチームの対比からエンパワーされていることの重要性を説き、いかにエンパワーしていくか、そのうえでいかに目標を定めプロダクトを成長させていくか詳細に解説されている。
ここではBig Techを目覚ましい成功に導いたOKRが、なぜ多くの組織では機能不全を起こしているのかといった点にも触れており目標設定にうまくいかなさを感じている向きにはこの節だけでも読んでもらいたい。

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2023年06月13日

Posted by ブクログ

EMPOWERED 普通のチームが並外れた製品を生み出すプロダクトリーダシップ
マーティ・ケーガン クリス・ジョーンズ 著
2021年 6月の本 
 
 EMPOWERED:エンパワーされた、という意味。『「力を与えられた」という状態。力を与えられるのは誰か。それは人と組織だ。つまりは、プロダクト関係者が活力を得た状態を目指すことが理想の状態ということだ』と、まえがき に記載されている。

 こちらの本は会社での『輪読会』というイベントがあり、良本をみんなで読み解釈を共有し合うことでメンバー全員の知の探索を進化させるという営みが面白そう!として参加した際の教材でした。 すごく重厚で内容も具体的で具体的で、確かに一人で読んでいたら挫折してしまったかもしれない、というぐらい濃い本でした。 みんなで読み終わった後に、改めましてもう一度速読で読み返して、さらに内容への理解が深まりました。 Think clearlyに記載のあった 「二度読んだ時の読書効果は、一度しか読まないときの倍どころではない。もっとずっと高くなる。私の経験から言えば、ほぼ10倍にふくれあがる。」の件は本当にそうだと改めて思いました。

 輪読会には、こちらのEMPOWERED の「まえがき」も執筆されました及川卓也さんもご参加いただいており、非常に有益なアドバイスもいただきながらの会となりまして、勉強になりました。 私個人としてはプロダクトマネージャー(PdM)というキャリアでは直接はなくて、いわゆる法人営業のソリューション業界を歩んで来たものですが、輪読会においては、プロダクトマネジメントを進めるプロダクトマネージャーやその関連の皆さんの素晴らしいディスカッションも聞くことが出来、勉強になりました。 私が勤務しているNTTコミュニケーションズ は 「人と世界の可能性をひらくコミュニケーションを創造する」という言葉を企業理念にかかげている会社であって、プロダクトマネジメントは非常に重要なことだと考えているので、こうした勉強会が社内で勝手に立ち上がって多くのメンバーが学んでいることは素晴らしいことだと自社の事ながらすごく感動しています。 また、そうした社内勉強会に、日本でのプロダクトマネジメントをまさにけん引されている及川卓也さんという方が参加いただけて共に学ぶことが出来る、という環境を与えてくれている自社にはほんとすごい会社だと思っています。

 輪読会の際の自分の担当の範囲は「ビジネスコラボレーション」という章でして、PdMを目指される皆さんとは少し距離をおいたビジネス側にいる立場的にこの章を選び、発表しました。 発表の際に 「リーダーは適切な質問が表に出るような環境を作り上げることが期待されます」 という表現があったので、以前読んだ 『教えないスキル』も紹介しました。

 ほとんど読書レビュにはなっていなくて、輪読会感想文になってしまっておりますが、以下ではいくつか引用です。
 (だいぶ減らしたつもりなんですが随分と多くなってしまった)

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P55 優れたコーチングとは何よりも、従業員が自らのポテンシャルを引き出せるように支援するという目的を持った、継続的な対話なのだ。

P57 あなたがマネジャーであれば、最も多くの時間とエネルギーをチームのコーチングに割くべきである。 つまり、チームの評価、コーチングプランの作成、チームメンバーの向上と成長の積極的な支援といった仕事に、心血を注がなければならない。

P89 キャリアのゴールにかかわらず、テックリードの真のポテンシャルは、技術への理解と、顧客が苦しんでいる問題への認識を組み合わせられる能力から生まれる。(中略) 最後に私の発見を一言で伝えよう。 テックリードに顧客またはビジネスの文脈についてコーチングする時間は、1分残さず最も価値ある時間の使い方の1つだ。

P117 エンパワーされたプロダクトチームをつくり上げるには、解決すべき問題のオーナーシップをプロダクトチームに渡し、チームが最適と考える方法で問題を解決できるようにする必要があることをおわかりだろう。

P124 プロダクトマネジャーにとって最優先となる貢献事項と職責は、エンジニアが構築を依頼されているサービスが、本当に構築するだけの価値があるかどうか、必要な結果を生むかどうかを確認することである。
 つまり、デザイナーやエンジニアと協力して、価値、ユーザビリティー、実現可能性、事業実現性を備えたソリューションを編み出すことだ。それがプロダクトディスカバリーであり、毎日4時間専念すべき仕事である。

P145 私が最初に主張したいのは、「顧客」という言葉について具体的に定義し、その定義を守るということだ。
P146 私は、「顧客」という言葉を神聖な存在に近い扱いとすることを好んでいる。この考え方によって、プロダクト担当者が、会社の行動や判断に顧客が必然的に果たす役割を理解できるようになると信じている。
P147 有能なプロダクト担当者の仕事は、顧客に代わってイノベーションを起こすことであって、顧客へのアンケートやインタビューを鵜呑みにすることではない。

P151 エンパワーされたプロダクトチームでは、約束したタイミングで出荷するだけでは十分ではない。出荷したものは機能しなければならない。―顧客やビジネスの問題を解決しなければならないのだ。 これははるかに難しい。

P223 忘れないでほしい。私たちが賢いプロダクト担当者を採用しているのは、作業を指示するためではない。顧客に愛されビジネスがうまくいく形で、難しい問題を解決してもらうためだ。

P244 プロダクトビジョンは、会社がつくろうとしている未来を語る。どのような形で、顧客の生活を向上させようとしているのだろうか。 その目標にどのように達するかは説明しない。

P303 悪い戦略は、良い戦略を練り上げるためのハードワークを自ら避けた結果なのである。なぜ避けるのかと言えば、考えるのは大変で、選ぶのは難しいからだ。しかし相反する要求や両立しえない価値観の中から選択をすることこそリーダーの仕事であり、それを放棄するとなれば、悪い戦略しか生まれない。

P314 (良い戦略は)「戦略マネジメント」ツールだとか、マトリクスやチャートといったものも無用だ。必要なのは目の前の状況に潜む1つか2つの決定的な要素―すなわち、こちらの打つ手の効果が一気に高まるようなポイントを見極め、そこに狙いを絞り、手持ちのリソースと行動を集中すること、これに尽きる。

P342 最も優れたチーム目標は、リーダーとチーム間の議論の行き来から生まれる。

P372 私は、自分でデザインするのをやめて、優れたデザインが生まれる場所をデザインしなければならないことに気づきました。自らをマネジメントできるようなチームをデザインする必要があったのです。(中略)
 私は、そのとき以来ずっと、「個人の集団」を「チーム」に変えられるように心がけています。チームは、どんな個人も奇跡を起こせないようなときに、奇跡を起こせるのです。

P411 フォーカスとインサイトに基づく真のプロダクト戦略の重要性。 プロダクト戦略は、各プロダクトチームにどの問題を解決してもらうかを示す。リーダーたちは、インパクトの大きい少数のインサイトに基づいて戦略を組み立ててから、ほとんどの組織に対して問題を解決するように依頼した。

P426 エンパワーされたプロダクトチームにおけるチームの役割は、顧客に愛され、かつビジネスになるプロダクトを開発して顧客に奉仕することである。

P437 リーダーは、あらゆる質問に答えることは期待されませんが、適切な質問ができること、そしてもっと重要な点として、適切な質問が表に出るような環境をつくりあげることが期待されます。

P455 会社がプロダクトチームの水準を上げたければ、会社がプロダクトに対する考え方を変えねばいけません。
 プロダクト組織を、単なるテクノジー組織の一部(あるいは、もっと悪い場合はIT部門の一部)と見なすかわりに、組織そのものとして見る必要があるのです。

P464 本書を読んだ次世代のリーダーが、部下と会社が求めるリーダーになるためにやるべき仕事を理解してくれることを大いに期待している。(中略) 最後に、皆さんがご自身の才能とエネルギーを永遠に発揮し続けることを願っている。
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以上

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2022年01月10日

Posted by ブクログ

これはプロダクトチームのメンバーとなる人の必読書。
勉強になった。

 最善を尽くしたにもかかわらず、あるチームメンバーについて、成功への道筋がイメージできなくなることがある。この段階に達したら、決然と行動するのが重要である。
 多くのマネジャーにとっては、この原則が最も実践しづらい。コーチングとは人を育てることなので、必然的に問題点を成長の機会として見ることになる。それ以上に、部下に仕事ができていないと伝えるのは、精神的に最もきつい会話の1つだ。いっそのこと、目を背けてサボったほうが気が楽だろう。
 しかしそうすると、マネジャーも、チームも、本人も傷つく。まず、マネジャーは他の人を犠牲にして、この人に必要以上の時間を割いている可能性が高い。次に、他のチームメンバーにはハードワークを求めながら、その人には凡庸であることを許すというシグナルを出してしまっている。それは信頼を損ない、モチベーションを失わせるための確実な道のりだ。最後に、パフォーマンスに問題のある本人が、もっと成功できる可能性のある他の職場に移るチャンスを与えられていない。

■プロダクト担当者らしい行動
 傾聴し、協力し、共同学習し、啓蒙し、鼓舞し、手柄を渡し、責めを引き受け、責任を取り、知りえないことを知り、知らないことを認め、謙虚さを示し、会社全体にわたってさまざまな関係を築き、個人レベルで顧客を知り、リーダーシップを発揮することをいう。

■マネジャーのアンチパターン
・マネジャーが無関心
・マネジャーがマイクロマネジメントに回帰する
・マネジャーが話してばかりで相手の話を聞かない
・マネジャーが厳しいフィードバックをしない
・マネジャーが不安定か、あるいは能力不足である
・マネジャーが損切りをしない

 つまり、デザイナーやエンジニアと協力して、価値、ユーザビリティー、実現可能性、事業実現性を備えたソリューションを編み出すことだ。それがプロダクトディスカバリーであり、毎日4時間専念すべき仕事である。

■プロダクトチームの4大リスク
1.顧客はこのプロダクトを買うか、あるいは選ぶか?(価値のリスク)
2.ユーザーはこのプロダクトの使い方がわかるか?(ユーザビリティーのリスク)
3.私たちはこのプロダクトを製造・構築できるか?(実現可能性のリスク)
4.ステークホルダーはソリューションを支持するか?(事業実現性のリスク)
5.私たちはこのプロダクトを製造・構築するべきか?(倫理的リスク)

■私が気に入っている面接の質問
1.実行力―どのくらいうまくものごとをやり遂げ、言われなくても正しいことを実行し、複数の目標を同時に追求できるか。
2.創造力―その場にいる人の中で、あなたが一番多くのアイデア、または最も優れたアイデアを提案できたケースはどの程度頻繁にあるか。
3.戦略―現在取り組んでいる内容を俯瞰的に、より広いマーケットやビジョンのコンテキストでとらえ、それを他の人たちに対して明確に提示することが、どのくらいうまくできるか。
4.成長―プロセスの賢い使い方やチームマネジメントなどを通じて取り組みの成果を倍増させる能力に、どのくらい優れているか。

 しかし、多くの企業にとっては、問い自体が変化している。
 いまや、私に寄せられる問いは、「プロダクトチームが分散し、一部または全体がリモートワークに従事しているという前提で、自分たちが継続的なイノベーションを起こす可能性を最大限に高めるために、ベストプラクティス(最良の方法)をどのように活用するか」に変質している。

■トポロジーとデザイン
 ほとんどの企業は、職能横断型プロダクトチーム、少なくともエクスペリエンスチームには、専任のプロダクトデザイナーが必要であることを理解しているこれは、優れたプロダクトをつくるために、プロダクトデザインがどれほど決定的に重要かという認識を示している。
 ただし、デザイン部門のリーダーが、「社内エージェンシーモデル」という別の形を好む場合もある。…
 …
 社内デザインエージェンシーモデルでは、重要な意思決定が行われるときに、デザイナーは通常その場にいない。したがって、デザイナーは―そして最終的にはユーザーが―そのツケを払うことになるのだ。
 デザインは社内サービスとして運営するには、あまりに重要だ。デザインマネジャーは、プロダクトマネジャーやテックリードと同様に、プロダクトチームの中でも特に優秀なメンバーが務めなければならない。


 スタートアップ企業の創業者やCEOの多くは、有能なエンジニアリング組織と協力して仕事をしたことがありません。そのため、テクノロジーの役割や、エンジニアがプロダクトマネジャーやプロダクトデザイナーのパートナーとして果たすべき貢献について、根本的に誤解していることが珍しくありません。

■チームに答えを導かせるほうが優れている理由
・最も適切なソリューションを判断するのに適した人々は、問題に最も近く、必要なスキルを備えた人々―つまり、プロダクトチームである。
・会社としては、求められるアウトカムを達成するために、チームに責任を持ってもらいたい。
・構築すべき機能を会社からチームに指示してしまったら、その機能が必要な結果をもたらさなかった場合に、チームの説明責任を問えない。
・解決すべき問題と、その問題を最適と思える形で解決するための余地をプロダクトチームに与えれば、チームは問題に対し、はるかに高いオーナーシップを感じるようになる。
・チームが考えついた初めてのソリューションによって求められるアウトカムが生まれなかった場合、チームは、そのソリューションを引き続き繰り返すか、別のアプローチを試すかして、求められるアウトカムを生み出すソリューションを見つけなければならない。

■実在の急成長企業の事例からの最重要ポイント
1.トポロジー、プロダクト戦略、チームの戦略から、四半期中に発生する問題や障害の臨機応変なマネジメントまで、プロダクトリーダーが果たすべき重要な役割。
2.フォーカスとインサイトに基づく真のプロダクト戦略の重要性。
3.チームの目標を積極的にマネジメントする重要性。
4.エンパワーされたチームと伝道師のチームの価値。
5.知ることができる情報とできない情報に関する制約。
6.一部しか功を奏さないとわかっていても複数の方法に賭ける、というリスクマネジメント要素。
7.インサイトを行動に変える際にチームトポロジーが与えるインパクト。
8.リーダーとプロダクトチームに必要なギブアンドテイク。
9.すべてのプロダクトチーム間のおける広範囲の戦略コンテキストの共有の重要性。
10.不確かなことは面倒で、うまくいく保証はない。しかし賢いリーダーはたいてい、うまくやる方法を見つける。それは、チームを信頼し、不確かさを受け入れ、リスクを適切に管理するからである。

■エバンジェリズム10のテクニック
1.プロトタイプを見せよう。
2.ペイン(痛み、悩み)を共有しよう。
3.ビジョンを共有しよう。
4.学びを共有しよう。
5.貢献してくれる人々の名前を気前よく共有しよう。
6.素晴らしいデモをする方法を学ぼう。
7.自己学習をしよう。
8.心の底からときめきを感じよう。
9.熱意を表に出すやり方を学ぼう。
10.プロダクトチームと時間を過ごそう。

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2021年09月20日

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