【感想・ネタバレ】本当に君は総理大臣になれないのかのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

(感想)立憲民主の議員って良いイメージ無かったけどこんなに日本のこと良く考えている人がいるのかと驚いた。本を手に取ったきっかけはテレ東のYouTubeに出演してるのを見て興味を持ったから。実際、自分は政治にそこまで詳しくないから日本改革原案の草稿について内容の是非を判断できる立場にないけど論点の明確化とどういう順でメスを入れていく必要があるのかについては理解できた。
政治の論点についてよりも小川淳也という1人の政治家についての人生哲学みたいな内容の方が多くウェイトを占めている。フリーの記者が書いてるからマンセーにはなっていないし何より読みやすい。

(以下メモ)
・持続可能性(サスティナブル)って何か胡散臭いというかエコビジネスで一儲けしてやろうみたいな企業の魂胆が見え透いていてウンザリするなと思っていたけど、しっかり考える必要がある(そして猶予はもう無い)なと考えなおす機会になった。

・官僚主導から政治家主導のトップダウン型への移行については選挙屋さんの政治家に難しい法律とか考えられる人がどのくらいいるの?と思った。全員小川淳也さんみたいに東大出身のエリートじゃないと思うしそれこそ世襲の議員とかって俺はそこまで能力があるとは思えない。

・低成長時代の文化論←この本で1番面白いと思った。江戸時代においては好景気でド派手な元禄文化から質素倹約を中心とした生活の中に喜びや美しいものを見つける感性を大事にする文化への移行があった。高度経済成長そしてバブルから世界恐慌、デフレ(失われた30年)そして令和の時代へ日本の文化も移行していくと価値観を転換することさえ出来れば、かつての勝ち組志向型社会(皆が高級時計をつけることを目指す社会)から生活重視型社会(生活に本当に必要のものを大事にする)に移行できるという考え方。実際、日本のこれからを考えたときにどんどん国が貧しくなり贅沢な暮らしをしていた過去の時代と今を比べて悲観するよりこういう価値観の転換1つで「生きやすさ」みたいな所は全然違ってくるんじゃないかなと思った。でもこういう感性って今の10代20代にしか刺さらなくて逃げ切り可能な50~の人たちからしたら何言ってんだって感じなんだろうか、、、

・官僚という職業のイメージもより解像度が上がった気がする。高校時代の国語教員が元厚労省の官僚でブラックな現実をよく話してもらっていたけど、小川淳也が総務省にいた時は残業月に300時間?ってどう考えてもおかしいよな…そりゃ東大卒の学生は政治家にアゴで使われて給料も渋い(優秀な学生からしたら)キャリア官僚なんて目指す気になれんだろうなと思った。自民党の下請け業者みたいなことになってるとまで言ってたのはさすがに笑った(笑えん現実なのだが)

・MMT(現代貨幣理論)については俺は未だに懐疑的なんだけど、ほとんどの国民がまず何のことなのか理解出来てないだろうからもっと積極的に発信して知ってもらうことからはじめる必要がある、なんでわざわざこんな当たり前のことを書くかと言うと、ついこの前、イギリスのトラス首相が実験的にMMTを実践して44日で退陣に追い込まれたから。
でも、所得の再分配としてのMMT理論はちょっと理解できた。
まず一定額のお金を国民に直接配る(所謂バラマキ)→当然通貨の価値は下がる→この時、通貨の価値が下がって困るのはその時点で預貯金を持っている層(つまり中間層以上)→中間層以上の預貯金の価値を棄損することで物価を安定的に引き上げ、所得の再分配効果も望める。(こんな上手くいくもんかねとは思うが…)
でも炭素課税は個人的にアリかな

・エレファントカーブってはじめて聞いたかも、先進国中間層の所得だけが伸びていない曲線のこと
使いたくなる横文字(笑)

・あと、社会保障改革国民会議の設置って面白いなと思った。宮台真司のいう日本人特有の「任せてブー垂れる社会」のままじゃいつまで経っても前に進まないだろうからこそ、国民がダイレクトに政治に関われる機会を設けるのはいいアイデアだと思った。手前らで考えてやってみろよと、もう文句は言わせねぇぞと、

・あと映画見ずに本だけ読んでるからかタイトルがこれの必要あった?とは少し思った。

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2022年10月28日

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