【感想・ネタバレ】マイケル・ジェンセンとアメリカ中産階級の解体のレビュー

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Posted by ブクログ 2021年09月08日

副題の「エージェンシー理論の光と影」に惹かれて購入したものの、良い意味でも悪い意味でも裏切られた。

【本書の概要】
本書は、アメリカ経済の「組織化」の変遷を、主に3人の思想家(学者・事業家)の人生とともに読み解くノンフィクション。
1人目は、「所有と経営の分離」のバーリ。この時代は、大企業が力を持...続きを読むち、雇用の安定など社会基盤の供給者として期待された「組織の時代」。
2人目は、「エージェンシー理論」の提唱者ジェンセン。金融界が力を持ち、金融市場が流動化が進み、株主をはじめとした市場が力を持つ取引の時代へと移る。
3人目が、リンクトインの共同創業者でもあるホフマン。リーマン・ショックで、金融界に対する不信感が高まると同時に、インターネットの流行により、シリコンバレーから誕生したビック・テックが力を持つネットワークの時代。

【面白かった点】
こういった時代区分は、アメリカ経済の変遷を捉えるうえで、とても有用だと思う。
終章では、再び権力が集中する巨大IT企業に対抗するには、市民が利益集団を作り、組織化していくことが「唯一の現実的な防衛策」であると主張する。また、それまでの章で語られていたストーリーは、多元主義という基本思想から捉え直すこともできることが述べられていて、興味深い指摘だった。

【イマイチだった点】
ただ、全体として、主題が分かりにくく、焦点がぼやけていて、少し読み進めるが退屈になってしまった。
また、日本語のタイトルでは、「中産階級」をキーワードとして焦点を当てているが(原題では副題の一部)、本文の内容とのズレを若干感じた。

いずれにせよ、いろいろな論点が詰め込まれているので、多様な問題意識から読み解ける本であることは間違いないと思う。

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