【感想・ネタバレ】日本人のための大麻の教科書 「古くて新しい農作物」の再発見のレビュー

あらすじ

私たちは、米より先に大麻をつくっていた。
1.名称 2.歴史 3.農 4.衣 5.宗教 6.文化 7.食 8.薬 9.模様 10.法
10のキーワードから解き明かす、とある植物の数奇な物語

〈特別寄稿〉
宮台真司/亀石倫子/松本俊彦/佐久間裕美子/新垣実/リーバイ・ストラウス ジャパン

大麻。この植物は、日本では「違法な薬物」というイメージが強い一方、海外では医療品・嗜好品・新素材として再評価・解禁され、「グリーンラッシュ」と呼ばれるほどの経済効果をもたらしている。
しかし、日本において大麻は「稲作より早くから栽培され、衣食住に用いられてきた農作物」だったという事実は、あまり知られていない。ほんの70年ほど前まで、大麻は日本人にとって非常に身近な存在だったのである。

本書では、「名称」「歴史」「農」「衣」「宗教」「文化」「食」「薬」「模様」「法」といった10の切り口から大麻を捉え直し、その本質を探っていく。また、各界で大麻に関する情報発信を行っている識者の方々からの寄稿も掲載する。

【内容例】
・日本人は稲作をはじめるはるか昔、12,000年前から大麻を生活に用いていた
・日本の大麻は「繊維型」で、吸引されることなく、主に布や蚊帳や釣り糸、花火の助燃剤などに用いられていた
・戦後、GHQによって日本の大麻は「違法な薬物」として取り締まられた
・「へそくり」とは、元々は大麻の糸のこと
・相撲の「横綱」は、大麻製
・多くの七味唐辛子には「大麻の種子」が入っている
・『鬼滅の刃』の禰豆子が着ている着物は「大麻の葉の模様」

【目次】
第1章 名称
・「大麻=違法な薬物」ではない 他

第2章 歴史
・稲作より古い、日本人との関わり 他

第3章 農
・大麻農業とは? 他

第4章 衣
・生活の一部だった大麻布づくり 他

第5章 宗教
・神道における大麻 他

特別寄稿1 佐久間裕美子さん[ライター] 日本でも大麻は「エッセンシャル」な存在となるか
特別寄稿2 松本俊彦さん[精神科医] 大麻の取り締まりは健康問題であり、政治問題
特別寄稿3 リーバイ・ストラウス ジャパン株式会社 ヘンプを用いたSDGsへの取り組み

第6章 文化
・生活文化、伝統文化と大麻 他

第7章 食
・人類は1万年以上前から、「大麻の種子」を食べていた? 他

第8章 薬
・漢方薬としての歴史 他

第9章 模様
・麻の葉模様の誕生 他

第10章 法
・アメリカの紆余曲折 他

特別寄稿4 亀石倫子さん[弁護士] 大麻は司法こそ取り組むべき問題
特別寄稿5 新垣実さん[日本臨床カンナビノイド学会 理事長] 日本におけるカンナビノイドの可能性
特別寄稿6 宮台真司さん[社会学者] 解放と統治──大麻の二面性と向き合う

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

この著書のサブタイトルである「古くて新しい農作物」ってまさに的を得ていると思った。
大麻なんて稲作よりもっと古い古来の農作物で
今現代のこの国では違法とされている嗜好品としての立ち位置では決してなく
普通の日常生活に当たり前に身近にあった、それが日本の産業としての大麻という存在であったのに。
戦前は国の発令で大麻を皆さん育てましょう!と言ってたのに戦後GHQの指示で大麻が違法対象になり
何故か海外から入ってきた嗜好品である大麻と一緒くたになってるって本当不思議な話。
そして嗜好品の方は海外では医療として使われてる云々はもちろんよーくわかるけど
今の今国の法律で一部の農家だけしか栽培できないという規制がされてるからこそ
今の法律の壁の方が高すぎる。
嗜好品じゃないってばっていう板挟みというかなんというか。
なんかダークな印象の方がずっと強すぎて、これはひっくり返すのに時間と忍耐が必要なのでは?と思ってしまう。
吸いたいとか嗜好品として使いたいわけではないが、もし医療として必要な人がいるのであれば使ってもいいんじゃないか?と思うけど。
その辺も法律の壁が遥かに高いから、簡単ではないのは確かかなって思った。

0
2023年08月12日

Posted by ブクログ

恥ずかしながら、題名の『大麻』をまさにドラッグのことと判断して手にとりました。
そして、最初のページから頭ふっとばされました。
自分がまさに本書で指摘されている、間違った認識の日本人の典型だったことに、恥ずかしいやら悲しいやら…。
お正月には必ず最寄りの神社でお札を購入しますが、その際の伊勢神宮のお札が『神宮大麻』とあるのを、なぜタイマ?というか神聖な場所で「タイマ」と発声してよいのかと毎年悩んでいて、仕方なく「伊勢神宮のを…」とゴニョゴニョお願いしていましたが、20年来の疑問が解消しました、猛省します。
来年からは「ジングウタイマください!」とはっきりと発声します!

0
2021年11月07日

Posted by ブクログ

北米での大麻ビジネスは知っていたが、日本でも農作物としての大麻は稲作より早くから栽培され、日本人の衣食住を支えてきたものとは本書を読むまで知らなかった。
衣類、漁業網、神社のお札等、大麻は生活に根ざしていることが分かった。
一方、大麻取締法は農作物としての大麻保護を目的としておらず、世間の偏見を招いている。
農作物としての大麻を守る動きを日本もしていくべきだと感じた。

0
2021年07月04日

Posted by ブクログ

日本においてはすっかり、違法薬物のイメージが定着してしまった「大麻」について、日本での起源から取り締まり対象になるまでの歴史、その間どのように人々の間に定着していたかを、宗教、衣食、文化、あるいは医薬、デザインとしての模様等々の観点から記すことで、あらためて大麻について真面目にかつ、真剣に考えてほしい、と提言している本。

確かに現代においては、大麻=違法薬物と思っている人がほ富んだと思うが、本書を読むと、そもそも日本では米よりも先に栽培されていたこと、それは、海外の大麻と異なり、向精神作用物質をほとんど含まないこと、各地の地名や人名にに「麻」の文字が広く使われていること、海外原産のものを使用して、一時期は医薬品として市販されていたこと、屋根葺きの材料として、あるいは葉の文様が今に至るまで使われていること等々、いかに大麻が古来から人々の間に広く、かつ深く浸透していたかが分かった。

もちろん、だからと言って大麻を解禁すべきという事にはならないと思うが、現代においては品種改良されて向精神作用物質をほとんど含まないものが出来ていたり、同作用のほとんどないCBDが市販されるようになって至り、加えててんかん薬としての治験が開始される予定もあると本書で紹介されていることから、嗜好用は別として、医療、衣料、食(作用物質を含まない種として)等の用途については、取り締まりの対象外とする議論が公になっても良いのでは、と感じた。

一方、ちょっと残念に思ったのは、大麻解禁反対派の意見が載っていないところ。それらの意見も踏まえたうえでの、大麻議論をもっと広く、深く議論しましょう、という事であれば、本書の説得力もより増すようにも感じた。

0
2021年07月02日

Posted by ブクログ

日本人に向けて、大麻についての正しい知識が解説された一冊(著者は栃木県にある大麻博物館)。衣服や、食、薬として使われていた大麻の歴史~宗教における大麻の役割などなど、さまざまな側面から大麻について語られる。畳や蚊帳、漢方、七味唐辛子など私たちが普段使っている物の中にも大麻が使われている(いた)など、トリビア的なものも多い。医療用に承認されているCBD(快眠・リラックス効果があるとよく聞く)に関しては、ドン・キホーテなどでも売っていて、格闘家の方の中にも使っている人も多いのでちょっと興味はある。

0
2021年05月30日

Posted by ブクログ

「大麻」という言葉が持つネガティブなイメージを払拭しようと、様々な事例で果敢に立ち向かう著者の姿が浮かんだ。

0
2024年12月16日

Posted by ブクログ

「大麻」なんて言葉はニュースで芸能人が大麻所持で〜ぐらいにしか聞かない日本。しかし本来日本は大麻と深いつながりがある、ということを解説してくれる本。

海外では嗜好用大麻も解禁されてきているほど身近な存在になってきているのに、日本では「ダメ、絶対」以外ないですもんね。CBDなんかについてはちょこちょこ聞くようになってきましたが、なんか健康に良いもの?程度の認識しかないと思います。

この本を読んでそのまま大麻吸わせろー!なんていうことにはなりませんが、一部歴史を知るだけでもこの先なんらかの時の情報になるかもしれません。

0
2022年06月23日

Posted by ブクログ

ねずこちゃんの着物や横綱に大麻が使われているのは知らなかった。

吸う大麻として使用していないのにGHQに禁止され大麻農家が打撃を受け1960年以降に吸う大麻の文化が入ってきてから日本にとっての大麻が誤解されて今に至るのが悲しいことだと思った。

大麻=薬物で名前を言うのも憚れるような雰囲気は自国の文化を知らないことと同義なので今後変わるといいなと思った。

また日本にあるのは繊維型の大麻であることも初めて知った。
医療や文化や他国の大麻の扱いを取り上げる本だと娯楽としてもタバコほど害がないので推奨として論じるものが多いけど健康な影響や幼児の誤飲、火事やイメージ払拭のための宣伝費などについて触れてる本も読みたいと思った。偏りを感じる。


※最初の投稿で「ねずこ」を漢字で投稿したところ「ね」しか反映されずそれ以降の文字はないものとされ何度繰り返してもダメだったのでひらがな表記とした。問い合わせ中

0
2022年05月23日

「雑学・エンタメ」ランキング