【感想・ネタバレ】ディズニーと動物 ――王国の魔法をとくのレビュー

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Posted by ブクログ


ウォルトディズニーと聞いて、思い浮かぶのはミッキーマウスだが、オズワルドや、ダンボ、バンビなどのディズニー作品を、実際に観た生徒は少ない。

そんな著者の経験から、ウォルトディズニーがなぜアニメーションを通じて表現をしようとしたのかを、時代背景とともに考察し、ディズニー以後の世界がどう変わっていったかを書いた本である。


ディズニーの作品を単純にエンターテイメントとして消費していた私にとって、戦争と結びつくディズニーは想像できなかった。

また、ディズニーが動物を忠実に描くことで生じる「不自然な矛盾」、
すなわち、音楽と動物の動きを連動させることで、音楽以外の「ノイズ」を消し去ったり、グロテスクな描写を含めた野生的な森を描くのではなく、見栄えが良くなるために「形を整える」ことで、フレームの中へ閉じ込めたことを始めたのも、ディズニーからであることは知らなかった。


今では、ミッキーマウスはディズニーであることのトレードマークであり、映画作品においては、いわゆる1つの「信頼の証」のようになっている。

わかりやすいテーマ性、勧善懲悪の物語。そして、切り取られた自然。


素直に楽しむことは良いことであるが、この本の最後でも書かれているとおり、
『人間と動物という関係性の中で、安易な解釈をしないで、物語を通じて「問い直す」ことが、逆に人間とは何かを問い直すきっかけとなる』という言葉は、ディズニー映画に足を運ぶ際には、頭の片隅においておくべきであると感じた。


ドッグイヤーだらけになる程、読み応えのある一冊でした。

しかしながら、20世紀の哲学史に関して、ある程度知識があった方が、もっと楽しめるのではないかとも感じましたので、勉強し直してきます。

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2021年04月11日

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