【感想・ネタバレ】K-POPはなぜ世界を熱くするのかのレビュー

あらすじ

BTSからBLACKPINK、NiziUまで、
Z世代を中心に世界を熱狂させるK-POP。
そのわけは、音楽でも、パフォーマンスでもなく、
5つの “バリアフリー”にあった。

お金:ライブに行くまではすべて無料
時間:いつからでも後追い可能
距離:どんなに遠くからでもリアルタイムで参加
言語:どんな言語にも翻訳されるコンテンツ
制約:ファンがどんどんシェアして広めていく

K-POPはどうしてこんなにも世界中の人々を惹きつけているんだろう?
どんなふうに作られていて、どんな仕掛けによって広まっているんだろう?
世界中のファンが参加できる生配信アプリ「V LIVE」、予告のスケジュールを教えてくれる「ティザー表」、
推しだけを1曲分堪能できる「ファンカム」、ファンが自腹で駅に出す「サポート広告」……ファンを虜にする多彩すぎる仕組みの数々。
K-POPのクリエイターたちが語るリアルな声とともに、プロモーションの視点から世界的なムーブメントを体系的にまとめた初の書籍。
K-POPのすべてがこの一冊でわかる。

“K-POPの作り手”たちに韓国で直接インタビュー
音楽プロデューサー、ブランド戦略責任者、A&R、アートディレクター、MV監督、ボーカルトレーナー、振付師、スタイリスト……

「出会う人はみな、私の同世代か、年下の大学生だった。そんな若者たちがメジャーシーンで制作に携わり、 世界をリードしている。
「若さ」は単に年齢的なことだけではなく、これまで積み上げてきたものを手放す勇気、
良いと思ったものはすぐ吸収するハングリー精神、そういった感覚のことでもある。
彼ら彼女らの「若さ」はどこからやってくるのだろうか。
K-POPの制作現場から放たれる熱いエネルギーにもきっと「うねり」の正体はある。」(はじめにより)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

15年くらいのブランクで私には浦島状態だった今のK-POPを取り巻く状況が、つぶさに把握できた。著者の田中さんは音楽評論家ではなく、デザイナー。私よりずっと若い著者が、90年代にまで遡ってこれだけ俯瞰的にえがいているのがすごい。

新しいものをバンバン取り入れていく韓国の貪欲な姿勢に圧倒される。こりゃクールジャパンとかいって虚勢を張ってる間にどんどん追い越されるわ。ファンダムを形成しているファン達が、下手すりゃ高校生くらいの若いうちから、推しを応援するために企業顔負けのビジネスの手法を駆使してるんだから。

K-POPというジャンルによって音楽業界はおろかデザイン、ファッション、IT、広告業界まで様々な業界が大きく変容し成長し、韓国全体を盛り上げているのがよく分かる。
K-POP自体に興味なくても、クリエイティブ業界に携わっている人は読んでみると面白いと思う。この題名では読者を限定してしまいそうでもったいない。

ボーカルトレーナーさんの、「みんな幼い年齢でアイドルになってしまって、自分でメンタルをコントロールする術を知らずに傷ついている。一般の人は社会に出て失敗を通して学んでいくのに、 彼らはアイドルになったその瞬間からただの一度も失敗が許されない。」というコメントが切ないなぁ。

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2021年04月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

アフターデジタルのイベントでの推奨本。
日本においては席巻感を感じるkpopの戦略・動きについて認識すべく読書。
韓国における文化的な意味づけ各種プロモーションの考え方の違いについて学べて面白い。

メモ
・z世代に親和性高いいつでも誰でもお金をかけずにネットさえあればハマれるバリアフリー環境。ファンになると体験を求めシェアする。自身が発信者に。
・韓国政府が文化政策としてkpopを支援している
・フリーミアム的なコンテンツの流通。デジタル流通。
・韓国特有の兵役という重要論点

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2021年07月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

K-popのグラフィックに影響を受けて渡韓してデザイナーとして働いている著者がK-popファンとおなじ目線で現在のK-popブームを分析しているからこそ、共感できる部分が多く感じた。

K-popがなぜこんなにも今世界を熱くしているのか、韓国の国民性や政策、バックグラウンド、根付いている音楽文化とさまざまな観点から解説している。一冊を通して読んで、個人的には巻頭で最初に触れられているような韓国人のせっかちな性格である「パリパリ精神」が一番大きな理由のように感じた。
せっかちで飽きっぽいからこそ、飽きられないようにクオリティが高いものを創り出す文化、そういったものをできるだけ早く作れるようなパッケージ化する手法、クオリティを上げるためにはなんでもいいところをとりこむ精神、そういったものが今のK-pop人気の根幹を支えているように思う。

そういった意味では日本のアイドルは対照的であったと思う。
私が学生時代であった平成は男性アイドルではジャニーズ、EXILE系列、女性アイドルはハロプロ、秋元康プロデュースの48・坂道系列がテレビ出演するような人気アイドルのほとんどを占めており、コンセプトも似通ったものが多く、デビューしてからコンセプトが変わるということもほとんどない。

K-popアイドル文化にはこうした日本のアイドル文化から輸入して応用することにより発展したものもある(練習生制度、ソングキャンプ、Teaser)が、今日ではK-popから日本へ逆輸入される文化も多い。
日本産K-popアイドルや多国籍グループもうまれている。
筆者が巻末で書いてあるとおり、K-popなのかJ-popなのかというような細かい話は置いておいて、これからはK-pop文化を上手く取り入れて、アジア全体で一体となって音楽文化を盛り上げていくような動きになると良いなと思う。

また、筆者が触れているように韓国アイドルたちは幼い時から練習生としてひたすらアイドルになるための修行に励み、あまり社会経験がないまま若い年齢でデビューしているのにも関わらず、
多くの人気や影響力をもつためたった一度のミスも許されないプレッシャーの中活動していることは気にとめて置かなければならない。
日本でのオーディション番組でも、過度の誹謗中傷や伏字界隈などが問題になった。
アイドルたちは聖人君主ではない1人の人間であるし、上記のようなバックグラウンドもあることを忘れずにいたい。

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2024年12月02日

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