【感想・ネタバレ】ここまでできる自衛隊 国際法・憲法・自衛隊法ではこうなっているのレビュー

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Posted by ブクログ

「法的根拠から考えて、自衛隊にできること」
これ大事ね。とても大事ね。あと、索引があるのが後で助かる。

第四章はあっさりなのでなくても良かったかもだけど。

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2021年02月12日

Posted by ブクログ

冷戦終結後の世界は米国一極が続くかと思いきや、中国台頭と共に米国の緩やかな凋落が始まり、再びの帝国主義時代に向かっていると聞く。
日本が自国防衛を考える時、自衛隊に何ができて何ができないのかを冷静に検討しておくことは死活的に重要である。
本書は主に国内法の観点からこの問題を考えるには知る限り最良の手引きとなるだろう。
法制面で言えば現憲法の枠内で何ができるのかできないのか延いては憲法改正の必要があるのか否か、軍法の未整備の問題、と言った諸問題についても書いて頂けることを期待する。

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2020年10月27日

Posted by ブクログ

前回読んだ防衛実務国際法が不完全燃焼に終わってしまったため、ちゃんと初心者用の本を読んでみた。

本書は、様々なケースで自衛隊に何ができるのか、根拠を引用して簡潔に解説している。ひとつひとつの想定される事態について、国内法と国際法どちらもちゃんと根拠を示しているところが、大変有用。章末のまとめも簡潔で非常にわかりやすい。

本書を読んでいて感じたが、随所で2015年の平和安全法制の改正が出てきており、いかに安倍政権時で自衛隊の行動基準が広がったかが窺い知れる。

正直、ボクは3章以外はあまり必要ないと感じたが、そうした基礎知識も含めて初学者向きの良書であると思う。

以下、備考
・【p.52】武力行使の新三要件〔2014年安倍政権時に閣議決定〕
・【p.55】政府見解は、交戦権と自衛行動権は異なる。
・【p.76〜】自衛隊の任務(自衛隊法3条)。主たる任務は国防(同1項前半)。従たる任務は、①公共の秩序(治安出動、海上警備行動、対領空侵犯措置、災害派遣等: 同1項後半)、②3条2項の従たる任務(重要影響事態での米軍支援、PKO)。その他、付随的業務(自衛隊法8章「雑則」)
・【p.108】1970年代には専守防衛に敵基地攻撃は認められていなかったが、2003年以降は両者は矛盾しない存在に〔情勢変化による政府見解の変化と思うが、法律的にそんな柔軟な解釈でいいの?〕
・【p.110〜】「武力攻撃事態」の定義は、「武力攻撃が発生した事態又は武力攻撃が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至った事態」(事態対処法第2条2号)。「武力攻撃の発生」とは、政府見解によると、「相手が武力攻撃に着手したとき」。一方、同定義後者の段階では、自衛権に基づく武力行使はできず。
・自衛隊法76条によると、内閣総理大臣は同事態において防衛出動を命令可能
・上記事態の前に「武力攻撃予測事態」あり
・【p.117〜】「存立危機事態」とは、2015年の平和安全法制により新たに設けられたもので、従来認めらていなかった集団的自衛権の限定的な行使を可能とするもの。具体例は、①MD任務中の米艦艇への武力攻撃、②邦人輸送中の米艦艇への武力攻撃、③ホルムズ海峡への機雷設置による封鎖等
・【p.121〜】「事態対処法」によると、①武力攻撃事態等または存立危機事態に至ったとき、政府は同事態対処に関する基本的な方針(対処基本方針)を定める、②一定の手続きを経て、対処基本方針を閣議決定し、これを国会に提出して承認を得る、③国会の承認に基づき、総理大臣が防衛出動等を命じる。ただし、②は緊急の場合、事後承認も可(防衛白書に細部チャートあり) 
・【p.124〜】「重要影響事態」は、存立危機事態と同じく2015年に、従来「周辺事態」と呼ばれたものの一部を改めたもの。同事態において、自衛隊は米軍等に対する後方支援や捜索救助活動、船舶検査活動等を実施可能も、武力行使は不可
・【p.127〜】グレーゾーン事態の定義なし。〔対処要領もなし?〕
・【p.131〜】政府見解によると、「武力の行使」とは「軍隊等による、国家又は国家に準ずる組織間で生ずる武力を用いた争いの一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為」とされる。「武器の使用」とは異なる。「武力の行使」は自衛権行使の場合を除き違憲となるため、両者は区別
・【p.146〜】警戒監視活動の根拠は防衛省設置法第4条18号の「調査研究」。同規定は便利なるも、武器使用に関する規定なし。情勢緊迫化の中での監視活動には、自衛隊法95条「武器等防護のための武器使用」(防護対象の武器等の破壊を防ぐために特定の自衛官が武器使用する規定)に基づく防護任務が付与
・【p.156〜】海賊対処行動の根拠は自衛隊法第82条の2。従来、海自は82条の海上警備行動により海賊対処をしていたため日本関係船舶のみ防護対象だったが、2009年の「海賊対処法」で他国船も防護可能に。国際法上海賊はどの国でも管轄権を行使できる「普遍的管轄権」が認められていることが根拠
・【p.169〜】災害派遣の根拠は自衛隊法第83条「災害派遣」。災害派遣の3要件(公共性、緊急性、非代替性)
・【p.183〜】対領空侵犯措置の根拠は自衛隊法84条。防空識別圏(ADIZ)
・【p.193〜】領海内の潜水艦の潜航に対する自衛隊の「海上警備行動」の根拠は自衛隊法82条。国連海洋法条約によると、領海内で無害でない通航をしてきた場合、沿岸国には「保護権」有。しかし、軍艦を初めとする公船には「管轄権免除」があるため、基本的に沿岸国ができる措置は領海外への退去のみ。「海上警備行動」は警察官職務執行法第7条が援用。武器使用のハードルは高い。
・【p.203〜】各条項にある「内閣総理大臣の承認」とは、閣議決定(内閣法第6条)。しかし、これでは時間がかかるので、一部の事項については省略可。
・【p.208〜】ミサイル防衛の際、相手国が意図的の場合の迎撃根拠は自衛隊法第88条「防衛出動時の武力行使」。意図がわからない場合は、国際法上の「緊急避難」として、自衛隊法第82条の3「弾道ミサイル等に対する破壊措置」が根拠(緊急対処要領に従い、予め防衛大臣が破壊措置命令を発出)
・【p.227〜】武装漁民の上陸等に対する「治安出動」には、①自衛隊法78条に基づく「命令による治安出動」(閣議決定は簡略化)と②自衛隊法81条に基づく「(都道府県知事からの)要請による治安出動」有。「治安出動」で派遣された自衛官には警察官職務執行法の規定が準用。ただし、武器使用に関しては、治安出動独自の規定が自衛隊法90条にある。
・【p.234〜】自衛隊と共にする米艦艇を守る根拠は自衛隊95条の2「合衆国軍隊等の部隊の武器等の防護のための武器使用」。同項は95条「自衛隊の武器等の防護のための武器の使用」を準用するため、武器使用には一定の要件有。要件はp.238〜
・【p.250〜】客観的に見て日本を攻撃するための行動が開始されたと判断可能ならば、島嶼部に向かう中国軍の艦隊や航空機を洋上で迎撃するのは合法な自衛権の行使。
・事態が緊迫化する中で、防衛出動が命じられることが予期された際には、自衛隊の展開予定地域は、自衛隊法77条の2に基づき、内閣総理大臣の承認を得たうえで、防衛大臣は「防御施設構築の措置」を命じることが可能。同陣地構築を妨害する工作員等がいれば、92条の4に基づき、自身や仲間を守るために武器使用が許される。
・【p.256〜】武力攻撃等に際して日本国民の安全を確保し、影響を最小限に抑えるための措置を「国民保護措置」という。同措置は、国・都道府県・市町村が連携して実施。具体的には①国民の避難、②救援、③武力攻撃災害派遣への対処
・上記事態において、自衛隊は武力攻撃への対応が主たる任務になるため、国民保護措置は「主たる任務の遂行と両立可能な範囲で」実施。こうした場合の自衛隊派遣を「国民保護等派遣」といい、自衛隊法77条の4に基づき、都道府県知事または事態対策本部の対策本部長(総理大臣)からの要請があった場合、総理大臣の承認を得て防衛大臣が命令。ちなみに、既に防衛出動が下命されている場合には、わざわざ国民保護等派遣を命じる必要なし。
・【p.264〜】日本周辺で武力紛争が発生する重要影響事態においては自衛隊は活動中の他国軍に対して①後方支援活動、②捜索救助活動、③船舶検査活動、④その他の重要影響事態に対応するための必要ない措置を実施可能(自衛隊法84条の5)
・重要影響事態には、後方支援活動を①日米安保の目的の達成に寄与する活動をする米軍、②国連憲章の目的に寄与する外国軍、③それに類する組織に実施可能。想定される国は米軍の他、「物品役務相互提供協定(ACSA)」を締結してる豪、英、カナダ、仏等
・同条は、自衛隊の活動が「武力の一体化」に見えることを防ぐための措置あり。
・【p.239〜】自衛隊法84条の3「在外邦人等の保護措置」は、2015年の平和安全法制で新設。保護措置の実施には、①外務大臣から防衛大臣への措置実施の要請、②当該保護措置を実施する現場において、その国の当局が公共の安全と秩序を維持し、戦闘行為が実施されてないこと、③当該措置の実施についてその国の同意があること、④自衛隊の部隊とその国の当局との間で連携・協力が見込まれることが要件。防衛大臣は内閣総理大臣の承認を得て措置実施を命令可能。ちなみに、②、③の要件が満たされてれば、自衛隊法94条の5(任務遂行のための武器使用」「自己保存のための武器使用」が認められる。
・【p.312】2015年の平和安全法制の一環である国際平和協力法の改正で、PKOに参加する自衛隊による「駆け付け警護」が厳しい要件のもと実施可能に

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2023年09月11日

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