あらすじ
芸者出身の妻の側から幻想文学の巨匠を描く! 幻想妖美小説の祖・泉鏡花の生涯を描く野心作。――17歳で金沢から上京、尾崎紅葉門下生となった泉鏡花は、神楽坂の芸者・桃太郎との出会う。この出会いは、新進作家・泉鏡花の前途に大きな影響を与え、独自の文学世界を築かせる。絶対的権力をもつ師の尾崎紅葉が、この恋に猛反対した件は、のちに「婦系図」のお蔦と主税に投影される。だが、桃太郎は結局、鏡花の妻となり、苦難の鏡花を側面から支え続けた。耽美小説の祖にして幻想美の天才である泉鏡花の、原点と生涯を精密に描く、力作評伝。
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Posted by ブクログ
芸者から泉鏡花の妻となったすずさんの目から鏡花の半生を辿った評伝。湯島詣や婦系図や白鷺や薬草取や春昼など、鏡花の作品をところどころに登場させ、物語ともリンクさせながら、これは本当にあったことなのかそれとも幻想なのか、さながら鏡花を読んでいるような気分にもなれます、ちょっとだけ。
すずさんと鏡花の夫婦仲が好きな私にはまさにもってこいな小説でした。紅葉に引き離された時は切なかったよう……なんでもっと早く読めなかったのか、これ去年読んでたら演習はもっともっと身が入っただろうになー。すずさん可愛いし健気だし、時には江戸っ子的な気風のいいところを見せてくれるし。
しかし先にも書いたようにすずさんが鏡花の登場人物の口ぶりで喋っていたり、このエピソード本当にあったのかやーと思うこともあったので、全てが本当のようには思えない、線引きが難しい。
けど逗子時代・不遇時代ことを研究したかったので、この本のおかげでますます興味持てました。もっと鏡太郎のこと知らないとねー。