【感想・ネタバレ】NHK「100分de名著」ブックス バートランド・ラッセル 幸福論 競争、疲れ、ねたみから解き放たれるためにのレビュー

あらすじ

世界の叡智であるラッセル自身が体現した「幸福の獲得法」をわかりやすく解説。

ラッセルはいう。「幸福な人とは、客観的な生き方をし、自由な愛情と広い興味を持っている人である。それゆえに自分がほかの多くの人びとの興味と愛情の対象にされるという事実を通して、幸福をつかみとる人である」。そういう人になるためには何をすべきなのか。ひきこもり・フリーターの経験を持つ哲学者が、日本人の内面にあわせて哲学的エッセイ『幸福論』をわかりやすく解説する。著者は原書の魅力を「ラッセル自らが幸福になるために実践したことを論理的・理性的に綴っていること」と「個人の幸福がひいては社会の幸福の基盤である平和につながることを示したこと」にあるという。数学者でもあったラッセルの合理性とリアリティが、読む者に確かな納得と、不幸を克服するための具体的な実践法を与えるのだと。書下ろしのブックス特別章では、ラッセルの幸福を希求する態度の現代的な意味と、貧困や人種問題、コロナ禍といった今日的「不幸」に対して彼の叡智が有効であることを詳述、いまを生きる私たちに響く解説を展開する。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

今の自分の大体の悩みの解決法がこの本、ラッセルの『幸福論』に集約されていたし、自分が考えていたことと同じことが述べられており、背中をそっと押してくれたような気がした。哲学の始まりは古代に戦争する必要がなくなりヒマになったからだといわれているが、そのことから哲学者といえば頭の中で考えに考えて、幸福とは何か、生きるとはどういうことかなどどいったことの結論を出すものだと思っていたし、そういう哲学者が大半を占めると思う。それが悪いことではないのだが、ラッセルの場合は自身の境遇から幸福について体験をもとに体系づけられており説得力が十分にあった。また彼のその経験は決してその時代のみに当てはまるものでなく普遍性を帯びているから現代にも応用できる。特に戦争が起きる理由として人種や宗教などがあげられるが、今生きているすべての人間が、数々の素晴らしい文化や、芸術等を生み出してきた人類の孫であり、知の結集である、そのことだけを鑑みれば争う必要などないというラッセルの考えにはハッとさせられた。『人類皆家族』と似た感じ?また、頭で考えるだけじゃなくて、行動に移せというメッセージにも自分含めた現代の若者への警鐘と感じた。インターネットの発達した現代、SNSには暗いニュースや偏った内容の記事などを目にしやすく、一般人の批判コメントも散見される。自分の場合、受験勉強の手立てとなる先生や塾など自身の怠惰で見つけることができず、YOUTUBE でただひたすらに勉強法を探してはそれをすべて取り入れパンクし、自分に絶望するだけの日々であった。今思えばラッセルのいうようにすべてを受け入れるなんてはなはだ不可能であった。話を戻すが、ネットの情報だけで勝手に社会に絶望し、社会に出もしないで将来の日本を不安視していた、頭でっかちな若者がたくさんいると思う、自分含め。ただ今日この本を読むことで、社会も出ずに物事をただ悲観的に見ていた自分を改める、良い機会になった。積極的に行動し、そこで得られる学びや友人、楽しさを大事にすることが幸福な人生を歩む第一歩なのである。収入や学歴をだけで得られる幸福はたかが知れている、自分の能力を最大限生かして周りに還元することで喜んでもらうことが本来の幸せかもしれない。競争社会から少し離れて、自分の生きがい、やりがいは何なのか考えたうえで職業を決めるべきだとも思った。ただ、働く人すべてが自分のやりたいことを仕事にしているわけではないので、仕事以外にも、趣味や友人、恋人などいくつか心のよりどころを持っておくことが何よりも大切だと思った。

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2025年04月11日

Posted by ブクログ

「幸福論」を読んだ後に100名著を見て、さらに復習として読んだ。それでも難しいというか、深い議題「幸福」だと思う。
そんな中、とてもかみ砕いて、わかりやすく小川さんが解説してくれている。

「優柔不断は心身を疲れさせる」不幸の原因=心配
は自分もすぐにでも直していきたい項目。
「幸福の秘訣」
あなたの興味をできるかぎり幅広くせよ。そして、あなたの興味を惹く人や物に対する反応を敵意あるものではなく、できるかぎり友好的なものにせよ。

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2025年11月02日

Posted by ブクログ

飄々とした雰囲気で、世評を気にせず、4回も結婚して、人生を満喫した感じのするラッセル。
彼のように生きられたら幸せだろうなあと心から感じました。

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2025年05月07日

Posted by ブクログ

私の友人の中で随一のダウナー系、Fは今日も悩んでいます。
以前に何かアドバイスが出来ればと『孤独の愉しみ方』『心筋トレ~』を読んでみたのですがFには響かないと判断し、私の肥やしとなったのみでした。
この灼熱の太陽の下で今度は「幸せに暮らしたいだけなのに」とお嘆きなので「今すぐに抹茶かき氷をたらふく食べさせてくれたら幸せだわい!!」と口走りそうになるのを堪え、今回はささっと読める100分de名著、その名も『幸福論』に教えを乞う事にしました。

著者のバートランド・ラッセルさんはイギリスの哲学者で、後世は平和活動、反戦活動に尽力されていました。(解雇されても投獄されてもやめなかった胆力の持ち主)
なので、幸福になるには社会と繋がる事も大事だと述べています。
また、ラッセルさんはケンブリッジ大学で数学も研究しており『数学原理』という世界的に有名な著書も発表されています。なので、考え方が非常に合理的で本来の『幸福論』は論理的に書かれており三大幸福論の本の中でも読みやすいらしいです。

100分de名著は初めて読みましたが、本当に分かりやすく書かれているのと、著者の人物背景が詳しく書かれてあり興味深く読めるのですが、やはり原本を読まないと全ては理解出来なさそうです。
どちらかと言えば原本を理解しやすくする為の予習本といった印象を受けました。

ですが、今は読む本が渋滞していて時間の無い私、有難く100分で吸収させて頂きますぞ!!(自分の肥やしにしようとしている)

まずはラッセルさんの特徴である行動する哲学を表している1文をご紹介します。
「幸福は、きわめてまれな場合を除いて、幸運な事情が働いただけで、熟した果実のようにぼとりと口の中に落ちてくるようなものではない。だからこそ、私は本書を「幸福の獲得」と呼んだのだ。」
(第十六章 努力とあきらめ)
ラッセルさんは自分が幸福になれた理由として、次の三点を挙げています。
①自分がいちばん望んでいるものが何であるかを発見して、徐々にこれらのものを数多く獲得したこと。
② 望んでいるもののいくつかを、本質的に獲得不可能なものとして上手に捨ててしまったこと。
③ 自分の欠点に無関心になることを学び、だんだん外界の事物に集中するようになったこと。

本書は第1部「不幸の原因」第2部「幸福をもたらすもの」の二部構成になっています。
第一部の結論を言ってしまうと、不幸の最大の原因は「自己没頭」であると氏は述べます。 自分の内にこもってしまうことです。

これは…まさに友人の事では…!!今回はお助けになる予感!!

自己没頭の三つのタイプとして「罪びと」「ナルシシスト」「誇大妄想」が挙げられています。
罪人とは実際に罪を犯した人ではなく、なんて自分は駄目なんだ、と罪の意識にとりつかれた人のことです。 ナルシシストとは、自分自身を賛美し、人からも賛美されたいと願う習慣を持つ人。
これは多かれ少なかれ誰もがもっているものだと思いますが、度が過ぎた場合には不幸の原因になります。と解説の小川さんは仰っています。
SNSを例に挙げ、わかりやすく説明もされていました。
誇大妄想は、魅力的であることよりも権力をもつことを望み、愛されるより恐れられる事を望む人を指し、例としてナポレオンやアレクサンダー大王が挙げられています。
この2人を不幸な人と言っちゃうラッセルさん…強すぎません…?

本来はここからより詳しく不幸の原因を「競走、退屈、疲れ、ねたみ」に分けて解説してあり、割愛しますが退屈に関する所が特に興味深いものでした。
退屈の反対は快楽ではなく興奮であり「多すぎる興奮に慣れっこになった人は、コショウを病的にほしがる人に似ている」と比喩しています。幸福になるためには、ある程度退屈に耐える力を養う必要があるみたいです。

第2部では、幸福を獲得する方法が具体的に書かれています。仕事、趣味、努力と諦めのバランス、等、ラッセルさんの実体験から得られたであろう色々な方法が提示されており、現代日本では難しいだろうと思う事もありますが、概ねは意識してやってみる価値はありそうなものばかりでした。

凄いな100分de名著。『戦争は女の顔をしていない』も確かこのシリーズで出ていた気がするのですが、あの長さをどうやってこの薄さにまとめてあるのか気になりますね。

時間に追われてストレスが溜まりやすく、お疲れ気味の現代人にも通じる内容なので、さくっと読めますし気になられた方はこの100分de名著をどうぞ。

悩むのが趣味(本人も認めてました)の友人にも、本作は響きそうなので勧めようと思います。
あれ、でもラッセルさんは趣味を持てと仰っていたな。
悩むのが趣味なら、悩んでいれば良いのでは…?(友人にどつかれそうですね)
本書でダメなら、最終手段『自省録』と『夜と霧』を投げつけようと思います。『夜と霧』は下手な自己啓発本を読むより効く。

余談なのですが、ゆーき本さんに今日は満月だよと教えて頂いたので、アイス片手に月見と洒落こみました。綺麗で暑いのも忘れて暫く見入っていたのですが、友人Fにも月を見上げて癒されようよ、と連絡しましたが未読なのでこんちくしょう!と思いました。

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2024年07月22日

Posted by ブクログ

幸せを感じにくい自分を思い返して、そもそも幸福とは何かを学ぶ為に手に取る。退屈を愉しむ、というのは自分の中で腑に落ちた。趣味もある。ただ、何かと趣味が競争化する時代に疲れている自分がいる。

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2024年01月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

p.77
いつ訪れるかわからない死という偶然に完敗するのではなく、わずかでも抵抗ができるのであればなぜやらないのだとラッセルはいっている。

分かりやすくサクッと読めました。
さすが行動する哲学者。背中を押してくれるような気持ちになりました。

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2022年04月27日

Posted by ブクログ

ラッセルの幸福論を簡潔にかついまの現代日本の状況を踏まえて解説している。

非常にプラクティカルというか、市井に生きる自分たちでも考えやすい・取り入れやすい考えが多い。
以下、印象に残った点とそれを踏まえた感想や、したい行動を。

・不幸の原因は競争、退屈、ねたみ、疲れ そして自己没頭

→ねたみ=自分と他者を比較する / 他人にどう思われるか気にしすぎてしまう は、意味ないとわかっていてもやってしまいがちで、これをうまく手放せたらいいなと思う。そして、とくに外出が少ない最近は自己没頭(自分の内に籠りすぎる)しやすい環境でもある。外から色々な刺激・インプットを受けるの大事。

・仕事を通して幸福につなげるには「技術の行使」と「建設性」を以て仕事をすることにより楽しみを見つけていくこと、また仕事の目的と人生の目的が合致していること

→その時々で人生の目的と仕事の目的を言語化して、合致しているか確認する / 昇進とか賞賛とかではなく、技術を行使して人の役に立つことを喜びに、その時々で自分のベストを尽くしながらさらに向上させていく / 建設性= 物理的なものづくりに限らず、何か成果物に向かって進めている状態(単なる仕事のための仕事をしてないか?)。

・色々なことに興味をもち、趣味をもつこと。
→これは本当にそう。自分でいえばピアノやダンス。自然に触れることももっと増やしたいなー

・社会が幸福じゃないと自分も幸福じゃない
→ラッセルが平和活動に尽力した理由。自分にも、自分なりの目線で「社会を幸福にする」ためにできることがあるのではないか?仕事もそこに近づけていけたらいい。

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2021年05月22日

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