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これは児童文学ではありません
50年前に児童文学として初読し、今回ひょんな事からこの本に再会しました。今、時代小説の熱狂的ファンなのはこの本がきっかけだったと感じます。すばらしい時代小説です。感動しました。
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司書に課された必読書の中でなかなか手が出せないでいましたが、外出先での待ち時間に読むために文庫本を、と持って出かけたのがよかった。
長崎の眼鏡橋、皇居の二重橋を見たとき、架けた人たちのことまで考えが及ぶことはありませんでしたが、また見る機会があれば、また見る目が変わりそうです。
高学年からおすすめ。
Posted by ブクログ
自分の意思と関係なく命を救われた三五郎、
救われず死んでいった弟子たち、
生きるために人斬りをしてきた徳之島の仁、
理不尽に父親を殺されたこじきの子どもたち、吉とお里。
あまりに悲惨な運命が重なり合いながら、肥後国での橋造りが始まります。
希望なのか罪滅ぼしなのか分からない。故郷で白い目で見られながらも、自分の技術を受け継ごうとする三五郎の職人魂が美しい。
果たして三五郎の命をかけた橋は完成するのか…。 時代小説とはいえ、歴史あるものすべてが、いかに多くの人々の涙や魂で造られているのか思い知らされました。
児童書侮ることなかれでした。
Posted by ブクログ
実在の人物に架空の人物を織り交ぜた時代小説。
江戸時代は、百姓や下々の命を何とも思わない武士に支配されている事がよくえがかれていました。
それにしても岩永さんが居たから、これだけの橋が伝えられてきたんですよね。
生きていてくれて良かった。
作者も書いている通り、ちょっとしたことで運命が変わること、あるんですよね~。
命は大事にしなくては!
Posted by ブクログ
実際にあった出来事を基にした創作。
理不尽さに腹が立ちつつ、そういった時代が本当にあったのだと思うとやりきれない思いがする。
三五郎が周囲の目に苦しみながらも自分の技術を伝えなければ‥と思うところが職人の強さだなあと思った。
最後はきちんと幸せな状態になってよかったが、実際はどうだったのか…。江戸時代は穏やかなイメージがあるがこういう一面があることも知っておかなければならないと思った。
Posted by ブクログ
江戸時代末期、熊本の緑川に美しいアーチ型の霊台橋が築かれた。
その石橋づくりに,岩永三五郎ら石工たちが力をつくした。しかし、橋を完成させた後、三五郎の他の石工たちは、藩の命令によて殺されたのだ。
三五郎を殺す命令をうけた侍は、橋をかけただけの石工に罪はなく、殺せないと、三五郎を生かした。変わりに乞食を殺して・・・。
三五郎は、仲間の石工が亡くなったのに自分だけが生かされたこと、乞食が身代わりになったばかりに、その乞食の子どもたち姉弟がみなしごになってしまったことに心を痛めながら、里に帰る。
つらい出来事とたたかいながらも、命をかけてその技術を弟子たちに伝えた名職人・岩永三五郎の物語。
骨太な時代小説。
Posted by ブクログ
教科書「一つの花」でおなじみの今西さんの作品。
江戸時代後期に石造りのめがね橋を架けるために尽力した人々のドラマ。
主人公、岩永三五郎の職人としての気持ち、薩摩に呼ばれた後に❮永送り❯されてしまった同僚たちの家族への贖罪の気持ちへの、揺れる感情が苦しい。
人斬りの徳之島の仁(なんという名前、なんという人生、しかも子供時代の作者に身近な大人がモデルになったという)、宇吉、里と吉、みんなの思うままにならぬ、それでも生き抜く強さに感心させられた。
橋をつくるために奔走する、庄屋や、総庄屋、その上の役人たち、それぞれの胸のうち。
九州の山のなかで、こっそり京の大商人に通じながら、ロウやハゼの密造、密売で儲ける豪商がなんだか怖い。
作者のあとがきにも、心が揺さぶられた。
たまたま、生き残ったという戦中の体験が、三五郎のなかに生きているのだろう。
現在では、三五郎の手による、これらの素晴らしい橋は、人の手によって失くなってしまった、とサラリと締められる一文。
悲しい、寂しいことです。