【感想・ネタバレ】言葉を離れるのレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2023年01月25日

横尾忠則さんの半自伝のようなエッセイ集で、考え方や死生観に物の見方までが分かる。受動的でありながら縁と運にも恵まれて躍進していく姿が痛快。絵を描くことに主題や思索、感性まで無くそうとしているという話が興味深かった。いい加減に生きてきたと説明しているが、考えることがやめられず大真面目に遊んできたように...続きを読む思えた。

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Posted by ブクログ 2021年07月26日

今の自分の考え方は観念的で横尾に対して逆行的だが、最後の、作品を見るとき、作者は答えではなく問いを投げかければいいので、それほど考える必要はない。考える必要があるのはそれを見る者。という言葉に少し救われた。

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Posted by ブクログ 2021年01月17日

横尾忠則さんの半生、思考のエッセンスがギュッと詰まったエッセイ。横尾忠則さんが語る波乱万丈な半生はまるで何か見えない力(それこそ運命や宿命と言いたくなる程の)に導かれ、突き動かされてきたようで、この人は芸術家になるべくしてなったのだと強く思いました。また綴られる横尾さんの絵画に対する揺るぎない信念、...続きを読む肉体を通した経験は目からウロコが落ちる思いでした。言葉は観念的であるが故に嘘をつけるけが、絵画は肉体であるが故に嘘をつけない。考えて見れば文学、文芸は嘘の言葉と戯れることに妙がある芸術だ。逆に絵画は言葉を必要としない。読んでなるほどなあと唸ってしまいました。読みながら、情報過多にある現代は言葉のノイズが多すぎるなと感じました。そして何か1つの絵を見る時、ふと心が静かになる瞬間があるのは、絵には何の言葉も存在しないせいなのかもしれないと思いました。「映画の手がかり」で横尾さんの夢想する映画をぜひスクリーンで見てみたいと思いました。表紙のマグリットの絵もインパクトがあって好きです。横尾さんの書かれた小説も読んでみたい。

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Posted by ブクログ 2022年10月29日

かの画家の、雑誌に連載された読書について、というよりむしろ半生についてのエッセイ

運命に従い、全て肯定する様な生きた方
その道程や交友関係や作品は凄まじいけど

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Posted by ブクログ 2022年09月26日

横尾忠則、交友関係がアツ過ぎる…。練りに練られた文章って感じじゃないのが内容と照らし合わせて考えた時すごくいいなとおもった。

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Posted by ブクログ 2022年04月08日

画家の横尾忠則によるエッセイ。
まず、最初に彼があまり読書をしないということに驚いた。自身の哲学を持っているように思ったからだ。
感覚的な芸術家ゆえか、言葉を信用していないところがあり、言葉にすることですべてが嘘になってしまうとすら考えている。
とにかく、言葉に対して否定的な価値観を持っていることが...続きを読むよく分かった。
コピーなんていうのは嘘八百だと一刀両断している。
確かにコピーというのは往々にして商業的な宣伝である。
けれど、クリエイターを否定する彼の考えには賛成できない。
彼の考える芸術やアートとは対極にあるものであったとしても、同じクリエイターに対する敬意というものがないと感じた。
また、私は読書することはとても大切なことだと思っている。
本を読むことで様々な価値観を得たり、自身で体験するのが難しいことなどを追体験できたり、人間性を高めたりするのにとても重要な行為だと思うからである。
彼のような天賦の才を与えられた人には、言葉はあまり近くにない方がいいのかもしれないけれど。
とはいえ、芸術鑑賞や自然の中にいるときには、「言葉を離れる」ことはとても大切だと思う。
全体的には、やはり感覚だけでなく、哲学的な思考を持った人だと思った。
フレーズに書き留めた箇所は、そういった彼の考えがよく表れていると思う。

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Posted by ブクログ 2022年09月06日

横尾忠則(1936年~)氏は、著名なグラフィックデザイナー、版画家、画家、作家。ニューヨーク近代美術館(MoMA)で現存のデザイナーで初めての個展開催、パリはじめ世界各地のビエンナーレでの受賞、ベルギー国立20世紀バレエ団のミラノスカラ座公演での舞台美術担当など海外でも活躍し、毎日芸術賞、紫綬褒章、...続きを読む紺綬褒章、旭日小綬章、朝日賞、高松宮殿下記念世界文化賞等を受賞・受章。また、初の小説集『ぶるうらんど』で泉鏡花文学賞(2008年)、本エッセイ集で講談社エッセイ賞を受賞(2016年)。
本書は、月刊誌「ユリイカ」に「夢遊する読書」と題して2011~14年に連載(途中2年ほど連載休止)されたエッセイ18篇と、語り下ろしの1篇をまとめて2015年に出版され、2020年に文庫化されたもの。
内容は、連載のタイトルの通り、横尾氏の読書との関わりが通底するテーマとはなっているが、むしろ、横尾氏の半生を振り返った自伝的エッセイ集として読めるものである。
私は、ノンフィクションやエッセイが好きで、各種のノンフィクション賞、エッセイ賞を受賞した作品を多数読んできており、本書も、その流れで手に取ったもので、横尾氏のグラフィックデザイナー・画家としての実績等については、不覚にもほとんど知らなかったし、普通の会社員である私にとって、芸術家の世界・生活というのは最も想像し難いものの一つであったが、本書を読んで、ある意味驚きの連続であった。
特に、(若い頃の)「来るもの拒まず」という著者の姿勢がもたらした、幅広い分野での活躍と、様々な著名人との交流(登場するのは、三島由紀夫、ジョン・レノンとオノ・ヨーコ、寺山修司、モーリス・ペジャール、ジャンニ・ヴェルサーチ、黒澤明ら限りがない)、そして、それらから派生した数々のエピソードは凄まじい。
また、美術(芸術)に興味のある、或いはその道を志す人にとっては、横尾氏のキャリアや考え方は一つの参考になるものなのであろう。横尾氏のいう芸術とは、ひと言で言うなら「極めて肉体的なものであり、言葉で表せないもの」ということになろうか。
更に、もう一つの読みどころは、自己肯定感の強い横尾氏が、70代後半になって、話したり聞いたりすることに不自由を感じるようになり(連載の17篇までと18篇の間が2年空いたのはそのため)、自らの老化・死を否応なく意識するようになって綴った、最後段の生死観の部分であろう。結論的な見解が述べられているわけではないが、波乱万丈の人生を送ってきた芸術家が、どのような思考プロセスを辿るのかは興味深い。
世界的なグラフィックデザイナー・画家が半生を振り返った、興味深い自伝的エッセイ集である。
(2022年9月了)

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