【感想・ネタバレ】葬儀屋の次の仕事のレビュー

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Posted by ブクログ

翻訳出版を12年待った待望の一冊。アガサ・クリスティーが「幻想性と現実感の混在する味わい」と述べているように、第五章あたりから本格的に顔を見せ始めるパリノード家の面々はまさに「お伽話」のようなキャラクターたちである一方、解説でも「本作品の白眉」とある追いかけシーンは、小説でもこういう世界を堪能できるのか、と思わせるほどの迫力のあるシーン。
真相はパリノード家の「お伽話」キャラに隠れるような感じで存在していましたが、マーティン・ファイドー「シャーロック・ホームズの世界」(求龍堂)にもあるように、コナン・ドイルが創造したあるトリックを「素晴らしくも奇天烈に発展させて用い」ています。(実は、最近たまたまこれを読んだら、そのように書かれていました(汗)。ファイドーは作品名等も記載していましたが、それは割愛。)本作のタイトルに納得、とだけ記しておきます。

ただ、キャンピオン・シリーズのこれまでの作品を読まずに、いきなり本作を読むことは、ややハードルが高いと思われるので、少なくとも創元推理文庫の短編集「キャンピオン氏の事件簿1〜3」を読んでからでもいいような気もします。
個人的には、この後の長編『霧の中の虎』(ハヤカワ・ミステリ)や『殺人者の街角』(論創社)などで実質的な主役を張ると言われている、長編初登場のチャーリー・ルーク(ここでは署長)の人となりが分かっただけでも収穫でした。先に挙げた短編集にも顔を見せますが、アリンガムはできるだけ出版順に読んだ方がより楽しめる気がしたので、この後の長編は未読でした。これから読むのが楽しみです。

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2018年04月27日

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