【感想・ネタバレ】マックス・ヴェーバー 主体的人間の悲喜劇のレビュー

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Posted by ブクログ

ウェーバーの全集を丁寧に読み解いたうえで彼の生涯をたどっている。これまでのウェーバー像は読み解く立場によって大いに左右されてきたことがよくわかる。

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2020年10月28日

Posted by ブクログ

本書は、「知的巨人」マックス・ヴェーバーの「人格形成物語」を描く試みであり、ヴェーバーの個別作品の解説ではなく、「伝記論的転回」として、それらの作品が生み出された人格的・歴史的文脈を描いている。
本書により、主体性を追求しつつ、攻撃的で、熱心なドイツナショナリストであり、自分及び自分側中心(プロテスタンティズム・ドイツ・西洋など)の状況認識をしがちであったといったヴェーバーの様々な側面が理解できた。
正直、これまでウェーバーは「学問の価値中立」を提唱した知的に謙抑的な人物だと思い込んでいたが、ヴェーバーは決して「世事を超越して知的に精進した求道者」ではなく、ポーランドへの蔑視をはじめ、バイアスにまみれた存在であったということがよくわかった。しかし、だからといってヴェーバーの業績が無価値ということになるわけではなく、そういう背景があるということを押さえた上でヴェーバーの著作を読み、その限界も含めて理解する必要があるのだと感じた。

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2020年10月11日

Posted by ブクログ

ヒットラーとの類似が秀逸。ポーランド人入植への反対だけでなく、6項目に渡り記載あり。日本第三世代のウェーバーと記載している。

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2020年09月28日

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副題の「主体的人間」には、確立された自己というだけではなく、自分勝手という意味も含まれる。ヴェーバーにおける2つの側面をともに把握しよう、という意図から著された評伝。社会ダーウィニズムへの関心や、周囲とのイザコザ、自己矛盾など、これまで十分には目を向けられてはこなかった側面に光を当てている。

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2020年06月17日

Posted by ブクログ

著者が云うところの、ヴェーバー研究の"伝記論的転回"を踏まえて著された評伝である。評伝、特に思想家や学者についてのそれは、代表作を中心に、その内容や受容のされ方、後代への影響を論じるというものが多いが、本書は、ドイツ「マックス・ヴェーバー全集」に依拠して書簡や講義その他の資料を駆使し、ヴェーバーの人物像を浮き彫りにしている。

学生時代に「プロ倫」や「支配の社会学」、「職業としての政治」などは必読書とされていたので読んだが、どちらかと言うと、近代主義的評価からヴェーバーのイメージを持っていたし、書斎で沈思黙考する学者という印象を持っていた。本書では論争、論難、決闘をも厭わない姿や、ドイツナショナリストの立場から、ポーランド、ロシア、ユダヤ人に対して、どのような見解を持っていたかなどが取り上げられており、今まで、本当に一面的な印象やイメージしか持っていなかったか、思いを新たにしたところである。

日本ではヴェーバー研究、ヴェーバー受容には相当の厚みがあり、そうした中で、本書のスタイルには好き嫌いが分かれそうだが、貫かれた問題意識の下に書かれた本書は、一般読者として大変興味深く読めた。

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2020年05月23日

Posted by ブクログ

副題に「主体的人間の悲喜劇」とある本書は、著者が提唱するヴェーバーの「伝記的論的転回」によって、新たなヴェーバー像を描き、「人間の「主体性」(ドイツ語ではSouveräntiät)の追求こそ、ヴェーバーの人生を貫くテーマだった」(p.230)ことを示している。もともとこの「主体性」なる用語・概念は戦前期日本の西欧からの自立、戦後は国家や集団からの自立という意味で安藤英治(1921-88)が使用した用語であり、その意味で本書もヴェーバーの伝記的研究の先駆者としての安藤へのオマージュであると述べられている。

では、主体性を追求していったヴェーバーは、立派な人間であったのか。答えは否であろう。良く言えば、「独立自尊」悪く言えば「傍若無人」なナマの人間、ヴェーバーは近くにいたら敬遠したくなる人物であったに違いない。しかし、その一方でヴェーバー・クライスと呼ばれる自宅のサロンでの個人的接触等を通して、広範な感銘と畏敬の念を多くの人々に呼び起こしたこともまた事実である。

最終章のアドルフ・ヒトラーとの対比ではヴェーバーとヒトラーとの共通点と相違点を考える上での主要論点が8つ列挙されており、素直に読めば、どうもかなりの共通基盤をもつと言わざるを得ないようだ。つまり、当時のドイツ国民がなぜヴェーバーやヒトラーに惹かれたのか。そこに重要な問題が存在しているように思われる。

本書はヴェーバーの「伝記論的転回」を、読者にわかりやすく示そうとしており、今までの漠然としたヴェーバーのイメージをかなり変えたという意味で魅力的である。一方、多分これからそうした伝記的な基礎を前提として、ヴェーバーのテクストに今一度立ち戻っていく必要があるのだろう。

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2020年06月14日

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