【感想・ネタバレ】星と脚光 新人俳優のマネジメントレポートのレビュー

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年11月05日

 新刊コーナーで表紙とタイトルに惹かれて購入。
 主人公は表紙の男性ではなく、タレントを支えるマネージャー。役者側ではなく、彼らを売り込む側の人間の話なのでまた違った視点が楽しめた。

「芸能界は事件がいっぱい!」と帯に書かれていたが、コミカルな短編集というわけではなく、主人公のマネージャーとマコト...続きを読むが二人三脚で仕事をしていく様子を主軸に、それぞれの都合や思惑が交差する話となっている。
 マネジメントレポートとあるので、役者の仕事や芸能界の裏側の話を挟みつつ、主人公とマコトを中心とした、仕事を通してのヒューマンドラマといった内容だった。

 主人公は序盤から、誰かを照らす人になりたかったと彼女の仕事を始めた原点を語っている。後半で照明に関する話題でダブルミーニングでタイトル回収した場面が印象深かった。星は役者、フットライトの和名の脚光は主人公が果たしたかった使命を指すのではないかと考えた。

 序盤からマコトが突拍子のない行動やいくら経験がないとはいえマナーのなっていない言動に違和感を覚えた。よくある天才キャラでこれから大成していくかと思えばクライマックスの舞台本番でもまさかの行動。主人公の視点しかないから彼の思考がすべて汲み取れるわけではないけど露骨に奇を衒っているような印象を受けた。最初は曇りのない夢にまっすぐなキャラだったのに突然人格が変わってしまって、重い過去があるとはいえ二面性では済まない変様だった。マコトが胸の内を吐露するシーンも、セリフだと長すぎるので視点切り替えが望ましいように思えた。先程綴った通りマネジメントレポートなので主人公の視点だけに絞ったのかもしれないが、それが仇となったように感じる。
 主人公はそれに対して、マコトが以前話した引きこもりだったことや姉のことを覚えていて、かつそれらを引っ張り出してマコトの行動すべてが復讐のためではないことを彼自身に説いたことには大変驚いた。タレントをモノのように扱っていたかつての事務所で必死だった主人公の過去と、絶体絶命の状況ですら余裕を持って一人の人として向き合った鮮やかな成長録である。

 途中まで一気読みできるほどの勢いはなかったが、終盤で印象がガラリと変わる。伏線回収が丁寧で、あれやこれやを最後には綺麗に一つにまとめあげるのが読んでいてスッキリした。

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