あらすじ
100年人生のカギ――それは健康でいられる社会を構築することだ。
いかに病状を表面化させずに長生きするか?
そのために医療は何ができるのか?
「ストリート・メディカル」という方法によって医療を再定義し、誰もがよりよい人生を獲得できる世界を創るための若き現役医師の挑戦。
本書は、2011年から医師とクリエーターという異色のコンビが始めた「広告医学プロジェクト」を活写。その活動を通じて得られた知見と具体化されつつある事例を紹介することで、新しい医療と社会のあり方を提示するもの。
著者の武部氏は、2013年にiPS細胞から血管構造をもつ機能的なヒト臓器を世界で初めて創り出すことに成功、その研究成果は国際的に高く評価され、米スタンフォード大学、シンシナティ小児病院など米国でも活躍している。2018年春には、最年少で横浜市立大学教授に就任し話題を呼んだが、さらに2019年には東京医科歯科大学から教授として招聘され話題になった今、最も注目される日本人医師のひとり。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
ストリート・メディカル
人を診る医療へ
見える塩や病児服の例などいろんな事例が
たくさん書いてあって、新発見だったな。
患者だけでなく、その家族をケアする視点
セカンドオピニオンやサードオピニオンについて
1回の検査で3人の医師が診るって
カルテのクラウド化が進めばできる時代が来るか?
みたいな話がチラッと出ていて、
そんなこと考えたこともなかったけど、
技術革新が進めば、そういう未来もあるのかな。
Posted by ブクログ
ナッジの考え方を使って治療に行かないように健康をより親しみやすいものにしていく。登りたくなる階段、見える塩の量、ゾウさんのMRI、色付きの糖尿病注射など、病気と付き合っていく上で親しみやすさがある世界となるように、色々な工夫があることを教えてくれる。
Posted by ブクログ
治療では、遅すぎる
対処療法ではなく、行動変容、未然防止で。
コロナがまさにそうだ。日頃からマスク、手洗い、十分な睡眠、色んなことを普通にして、そしてワクチンで、もしもの時に備える。
そこには、ヒトそれぞれの良心や主義、性格が影響する。
よりよい人生へ、クリエイティブの力でアップデートする。
そのとおりだ。
Posted by ブクログ
著者の講演を聞いたけどめっちゃ賢い人。
病視点ではなく患者視点で考えるストリートメディカルの考え方が面白い。実用化して普及させるのが大変やけどナッジを応用した斬新なアイデアがこれからもっと出てきそう。医療の場を「病める場」から「生きる場」に変えるという提言。
Posted by ブクログ
◾️概要
ストリートメディカルとは何か知るため、読みました。IoTの登場とともに、社会からの要請は、モノづくりからコトづくりに力点が移っています。薬や手術だけではない、あらゆる媒体が新時代の医療の武器となります。この拡張される領域をストリートメディカルと呼びます。
◾️所感
この概念、著者の試みに多大な感銘を受けた。こういう考え方が浸透してほしい。
Posted by ブクログ
『病を診る医療』から『人を診る医療』へ。
医療とテクノロジー、ナッジの取り組みにとても興味があったので既に社会実装されている取り組みの多さに驚きつつ、新鮮味を持ちながら楽しむことができました。
西洋医学だけではなく、ホリスティックに様々な医療やセラピーを組み合わせることに加えて、さらには新しい技術や発想も医療に掛け合わせることの意義を腹落ち感をもって学ぶことができました。
【本書からの主な学び】
① 次世代の医療は『病を診る医療』から『人を診る高次元の医療体系』へ。
→ 患者の生命の危機のみならず、人々の生活や人生をも対象とした新たな医療への変貌。
② 人と人との接点となる生活の場での接点『タッチポイント』のすべてが、実践の対象となり得る。薬だけではない、あらゆる媒体が新時代の医療の武器となる。
→ 新しい医療とは、学問と実践領域の大幅な拡張である。
③ POCを目指す研究において、最も重要なことは、『仮説』の設計。この仮設設計が、いかに緻密に練られたものであって、かつ、正しかった場合に重要な課題解決につながるか、という点が全てであると言っても過言ではない。
Posted by ブクログ
丸善で平積みされてて目に留まり、購入。
この本は病気ではなく、人を見るというコンセプトの元、ストリートメディカルという概念を提唱してくる。本を開いてすぐに目に飛び込む事例を示した写真で、まず惹きつけられた。
医療の世界に関わってるが、正直このようなやり方が出てきてることを知らず、本文を読んでてとても刺激的だった。 この分野へのアプローチも、やりがいがありそうだと個人的に思えた。
Posted by ブクログ
『ブックスマートだらけの日本の医療に一石を投じる一冊』
まずは日本人に馴染みのない「ブックスマート」という言葉について説明しないといけないと思う。
ブックスマートとは、単語の意味通り、「読書によって身に付けた賢さ」のことを指す。
一見、褒め言葉に思えるかもしれないがそうでもない。
実はこの言葉、英語圏では、本を読んでばかりで実際には成果が出せていない人を揶揄する意味で使われることもあるらしい。
つまり、能書きばかりで社会の役に立っていない専門家や学者先生みたいな人に対しての批判的な言葉ということだ。
逆の意味で、もう一つ言葉がある。
それが「ストリートスマート」だ。
こちらは、実践で身に付けた「現実的に役立つ賢さ」を意味する。
この前提知識がないと、本書でいう「ストリート・メディカル」という造語の意味がわからない。人間は、まったく知らない言葉には興味も湧かないので、それはつまり本書が多くの人の手に届かないことになってしまう。それではあまりにも残念すぎる。
今の専門家だらけの日本には、残念ながらブックスマートだらけである。多くの専門家が向いている方向は、サービス依頼者ではない。隣の専門家にどう評価されるかという事ばかり気にかけている。
正直、しょーもないと思ってしまう。見栄やプライドで人は救えない。ましてや、知識だけで人を助けることなんて出来ない。そんなに現実は甘くないからだ。
「ストリート・メディカル」という考え方が気になる方は読んでみた方がいい。絶対に損はしない。本書には、かなり多くの興味深い事例が紹介されていてそれを知るだけでも希望が湧いてくる。
これからの医療をなんとかしたい、大切なあの人を守りたい、人間らしさで癒したい、そんなこれからの未来を創る医療従事者にぜひ読んでもらいたい一冊。
Posted by ブクログ
治療から予防というキーワードはヘルスケアの領域では以前から言われていることですが、
お医者さんや製薬業界にとってはまだまだ様子見の人も多いはず。
著者のことは知りませんでしたが、お医者さんの中でもイノベーター的存在の方なのでしょう。
医者として研究をつづけながらも、デザイン思考に近い考え方をベースに、
予防分野でもご自身のできる取り組みを色々とされている方のようです。
著者は、「ストリートメディカル」という言葉を使われていましたが、
サイエンスだけでなく様々な分野の知見を掛け合わせ、
患者さんのためになるソリューションを見いだしていく営み、
そんな風に自分なりには解釈しました。
治療以外の分野のソリューションが幅広く紹介されている書籍は、
そんなにたくさんある訳ではないと思いますので、
この領域に興味のある方は、読んでみると面白いのではないかと思います。