【感想・ネタバレ】夏の呼吸のレビュー

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Posted by ブクログ

効能:疲れた大人への栄養補給または等身大を生きる人への応援歌
瑞々しい少年の生命感が、疲れに作用し、心の冷え性に効果を発揮します。
合わせて「雨傘」を読むことで、宿題を抱えたままの大人の皆さんの明日を晴らすことでしょう。

SNSでは文字数制限もあって薬の説明ぽくしてましたが。
感じたことはここにぎゅっと詰めています。

「夏の呼吸」。毎年当たり前のようにあった夏休みが少しずつ終わり、永遠だと思ってた生活が変わり、眼の前に落としてた視線が少し遠くを見渡すようになってくる年齢のころ。
楽しい、悲しい、不安、希望といった感情を抱えて必死に前へ進む少年の姿が、読んでるだけで体温があがってくる夏の描写の中で鮮やかに描かれていて、これは少年と同じ年頃の人たちにも読んでほしいと思いました。
何十年前の中学生だって、悩んでいたよ、と。

「雨傘」。主人公が中学生だった表題作から、こちらは社会人として働く別の主人公へ。
思うのは、年齢があがっても、いや年齢があがって行儀よく飲み込むすべを知っている年齢だからこそ、
大人の悩みは面倒くさいな、と。
最後にとてつもない余韻を残しつつ、こちらも主人公なりに自分と対話し進もうとしています。
仕事パートと家族パートがパッ、パッと切り替わっても混乱しないすばらしい構成でした。
少し、女性側の話をもっと聞きたかった。二人は似ていると感じました。

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2019年07月02日

Posted by ブクログ

二編の短編小説。一文の文字数も少なめ。読みやすい。
デジタルでない形態で小説を読むのが久々で、読破できるか心配だったけど、二、三時間で一気に読み終えられた。
特に二番目の「雨傘」の方が、お話に引き込まれて一気に読んだ。
あとがきまで読んで、今の藤澤さんが書く小説が読みたくなった。

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2019年07月21日

Posted by ブクログ

表題作の「夏の呼吸」
少年のいろんな思いがちょっと胸にくる
ネタバレ無いままに書くとなると少し難しい…
少年の気持ちも家族の思いもちょっとわかる
すれ違うものなんだよね…
成長していく上でしか塗り替えられないものもあるし…
ちょうどその羽化の時を見た気分。

2作目の「雨傘」
コンピューターウィルスのお話
と、一つの家族のお話
昔のウィルス、最初見つけた人とかは大変だったんだろうなと…
基本作ってる人は悪意しか無いわけで…
それが商売のためな人もいるのも
理解できるけど
したくないね…
そういう系統のは全くよくわからないなりにも面白かった
そして、合間に家族のお話
自覚しない時と自覚した後というのは
やはり変わる…
なんとも心がざわざわする読書後。
二作とも、とても心のありかた、葛藤が垣間見れる
素敵な作品でした。

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2019年06月30日

Posted by ブクログ

ドラクエ等のシナリオ、ディレクターを務めた著者がゲーム業界に入る前に執筆した二編の小説。

表題作はマウンテンバイク乗りの中学生が、その体験を経て弟の死を乗り越えようとする青春小説。まっすぐな展開で、思春期の迷いとひと夏の成長を鮮やかに描いている。

もう一編の「雨傘」は、離散した家族とコンピューターウイルスを通じた出会いと別れの物語。1995年執筆とのことで当時としては先鋭的なネタだったのでは。タイトルをキーワードに突きつけられる“親子の繋がり”が、哀しくも泥臭く美しく描写されていた。個人的にはラストが残念。

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2019年08月13日

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