あらすじ
独自の捜査方針を貫く切れ者ロヤコーノ警部は、ピッツォファルコーネ署への異動を命じられる。そこはナポリでもっとも治安の悪い地区にある分署で、捜査班の大半が汚職で逮捕されたため、早急に人員を補充する必要があった。ロヤコーノのほかに送り込まれたのは、暴力沙汰を起こした男性刑事、署内で発砲した女性刑事、スピード狂の巡査と、いずれも能力はあるが各分署が持て余した者たち。彼らは着任早々、スノードーム蒐集が趣味の女性資産家殺しをはじめ、いくつもの事件に直面する。イタリア発の警察小説、21世紀の〈87分署〉シリーズ始動。/解説=吉野仁
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
各分署でクセツヨで持て余されていた者たちが、不祥事を起こして閉鎖間際のピッツォファルコーネ署に集められて……というシリーズ作品の一作目。
これ好き!大好き!キャラがみんな魅力的で最高!!
21世紀の87分署らしいが、87分署を未読なのでどちらかというと「はみ出し者警察小説」という文言で特捜部Q的な感じかと読み始めたら、雰囲気が全然違う!これがイタリア小説!(笑)北欧のあの重苦しいのも好きだけど、イタリアのカラッとした感じも好き!愛と情熱、とてもいい!シリーズ追いかける!
女にモテモテなロヤコーノ警部と親のすねかじりスピード狂のアラゴーナ一等巡査とのコンビも最高だけど、いまんとこ良いところしか見当たらないパルマ署長とシゴデキ影ありワーママのカラブレーゼ副巡査部長とのペアもいいし、DV気質のロマーノ巡査長と意外な趣味を持つディ・ナルド巡査長補はお互いこれからいい感じで変わりそうだしピザネッリ副署長の今後に目が離せないだろ???
うわぁぁぁ!最高のメンバー!!
事件がややこしくないのもいい!事件の謎とキャラの人物造形との配分がとても好み。
いいシリーズと出会えたなぁ。これから読んでいくのが楽しみすぎる!
Posted by ブクログ
シリーズの始まりということもあって各人の背景描写のボリュームが多すぎるような気もするが、次につながる伏線もあり、シリーズを追いかけようと思う。
Posted by ブクログ
21世紀の87分署シリーズなどと言う声があれば読まざるを得まい、ということで手にとったイタリアの警察小説。一応主人公めいた設定の人物はいるもののほぼ全ての警官が主人公になり得る形式の警察小説。本作品では押収した麻薬を横流しした結果、刑事の全員が逮捕、解雇され引責で署長も辞任したナポリの治安の悪い地域~いちおう架空となっている~にある警察署を舞台としている。そのような理由なので名前を聞くだけでも皆が顔をしかめるような状況。若手でやる気のあるキャリアが志願して署長として赴任してきたが穴埋めに異動してきたのは全員が曲者というか元いた署では持て余されていた者~反社勢力とつながりがあると噂され有能だが浮いている警部、スピード狂で派手好きな若者、暴力衝動を抑えられない男、警察署内で発砲事件を起こした女性刑事~だらけという設定。そこに複雑な個人の事情を抱える元からいた年配の副署長と女性警官という6人が現時点では中核となる登場人物らしい。いきなり寄せ集められた警官達が直面する2つの事件~殺人事件と若い女性の監禁~の謎解きと登場人物それぞれの背景事情が語られる。どのエピソードも今後が楽しみな感じでシリーズの第一作目としてはかなり上出来。観光都市ナポリが舞台で汚らしい犯罪と美しい景観の対比なども面白い。これは是非ずっと邦訳を出していってほしいシリーズだ。面白かった。
Posted by ブクログ
イタリアミステリーがたくさん読めるようになってきた。
『パードレはそこにいる』がとても面白かったし、カルチョと自転車ロードレースを通してイタリア好きなのでうれしいのだが、
ミステリーとしてはどうも解決編が雑に思えるものが多く、またすぐに男女目線で相手をみて、即恋に落ちるという場面がご愛敬というか特徴的でこれは仕方ないのかと思っていたら、わりと英米北欧好きにも読みやすいものがでてきた感がある。よしよし。
署長がいいやつでよかったのと、犯人が意外性があってよかった。心情的に納得できる結論でした。
ナポリといえば荒っぽいことで有名。マラドーナは永遠のアイドル。
神父さま、おゆるしを。。
Posted by ブクログ
刑事小説の金字塔として今も燦然と輝き続けるエド・マクベインの87分署シリーズは、後世の作家に影響を与えるものと想像しているが、本書により日本デビューしたイタリア人作家マウリツィオ・デ・ジョバンニはシリーズの開始にあたって、最初にマクベインへの謝辞を捧げている。
本書はイタリアはナポリを舞台にして現代の87分署とも言うべきものを意図した新しい作家による新しい警察シリーズである。実は87分署シリーズは、1956年でぼく自身と同じ誕生年となる。マクベインと直にお会いできた幸運により当時の新作『ララバイ』と『ダウンタウン』にサインを頂きお話させて頂いたのは早川書房の社屋でのことだった。なので、こういう動機だけで本シリーズにぼくはやはり入れ込む。
もちろん本シリーズは、ニューヨークをモデルとした架空の巨大都市アイソラとは全く異なるナポリに展開する。しかし、人種の坩堝、国家経済の中心地、風光明媚な観光都市といった個性を持つこの都市は、物語を展開させるには十分な条件を満たしているようだし、警察小説のシリーズ展開にはうってつけの街であるように見える。
また集団小説という中で87分署のスティーヴ・キャレラ的主人公刑事を添えたのも、またその風貌がどこかキャレラに似ていることにも、なんとなく87分署愛を感じさせてくれ、嬉しいことこの上ない。
改めて落ちこぼれ刑事ばかりを集めたP分署の捜査活動再スタートという珍しい展開の中で、刑事たちは分散して二つの事件に当たる。二つの事件のミステリー性という面白さは未だ成熟を迎えていないようにぼくには思えたが、今回は刑事たちそれぞれの個性表現に重きを置くということに徹しているようで、事件の縦軸としたら刑事たち個々の物語を横軸と見ることができるので、その分、人間的には厚みのあるシリーズになり得ると期待感が高まる。
昨年同時期に『パリ警視庁迷宮捜査班』というこれまたパリを舞台にした新しい刑事チームが発足してこちらも個性的な刑事たちを配したシリーズとして楽しみなので、今この時期に世界中でチームワークと個人たちの活躍を描くハイテンポなエンターテインメントがシリーズ化されている様子は日本の片隅から眺めていても、警察小説好きには浮き浮きする気分である。
そんな新警察シリーズ、間を置かずどんどん翻訳されることを願ってやまない。刑事たちとナポリへの愛情が高まるには、スウェーデンのマルティン・ベック・シリーズのように、少なくとも10作は読ませて頂きたいように思う。
Posted by ブクログ
シリーズ化している書籍は、最初にググッと来ると続けて読むのだがインパクトが無いと続けて読むのはきついです。新聞の書籍欄でお薦めでしたがこの書籍欄で当たった試しが無い。
はみ出し者の寄せ集め
こういう設定、好きな人多いよね。まさに、そんな人うってつけ。でも、なんか解き明かすって感じじゃない。結末への持ってきかたも今ひとつで盛り上がらない
Posted by ブクログ
警察小説。
87分署(読んでない)の流れをくむ?謝辞に「とても真似のできない理想像 エド・マクベイン」とある)
同じ系統の作品とされるマルティン・ベック シリーズに比べると、あっさり。日本の小説雑誌に連載で掲載される警察小説の風味。軽くて読みやすかったが、メインとなった殺人事件の結末はちょっと物足りなかった。
主人公のロヤコーノが魅力的な女性たちにモテているところはいい。中国人みたいなアーモンドアイというのも、想像するとかっこいい。
ナポリが舞台というのもいい。イタリア好きとして、風景・情景描写、人物描写、人物の心理描写、つまりどこを読んでも心ときめく。
英語版からの重訳。ときどきイタリア語のままで意味がよくわからないことばが出てくる(説明文を読み落としたのかもしれないが)。バッソとか(「低い」って、何?どうやら低所得層が住むエリアか集合住宅のことらしいのだけど)
クリフハンガー形式。つまり、次のテーマとなるであろう話の展開がチラ見せされる(それは、あまり好きではない。1作のなかでとりあえず完結させてほしい)
Posted by ブクログ
「おすすめ文庫王国2022」の「冬休みに読みたい!おすすめシリーズ(ミステリー)」で推されていたので買ってみた(とっくに冬休みは終わっているけどね)。
ナポリでも治安最悪の地区にあるピッツォファルコーネ分署で、汚職により捜査課に大量欠員が発生。そこで各地から腕利きだが問題のある警官たちが送り込まれ、急造で捜査チームが結成される…というところから始まるお話。
敏腕であるが独自の捜査方針を貫いて左遷されたロコヤーノ警部、暴力衝動を抑えられないロマーノ巡査長、度を超えた銃器好きのディ・ナルド巡査長補、コネ就職でスピード狂のアラゴーナ一等巡査という面々に、新任のパルマ署長、不審な自殺を調査し続けるピザネッリ副署長とコンピュータに詳しいカラブレーゼ副巡査部長が彼らを支える。
シリーズ物の最初の巻なので、登場人物の背景について語られる頁が多いのだが、彼らの個人的な事情、悩みや心の闇を読んでいるだけでなかなかに面白い。捜査はおまけみたいな感じだが、イタリアの市井の暮らしが良く知れる。
Posted by ブクログ
イタリア市警のロヤコーノ警部は、単独捜査だが凄腕刑事で上司から疎まれ閉鎖寸前のナポリ、ピッツォファルコーネ署、通称P分署に飛ばされた。捜査班の面々は、スピード狂で市長の縁故アラゴーナ・拳銃マニアの女性刑事アレックス・不祥事を起こした刑事の元同僚でコンピュータに詳しい女性刑事オッタヴィア・暴力的なロマーノ刑事と定年間際の副署長ピザネッリだ。
早速事件発生、公証人フェスタの妻が自宅で殺された。妻のコレクションのスノードームで殴り殺された。
一方で半身不随の老婆から不審な家が有ると P分署に通報が入った。不審なアパートは老婆の向かいで女性が監禁されている様だと。
本作は、イタリアではP分署シリーズとして2017年からTVドラマ化されてます。緊迫した追撃や銃撃戦の派手さは有りませんが個性的な4人の問題刑事達が結束して捜査するストーリーは地道に足で稼ぐ刑事然として親しみが湧きます。殺人事件と監禁事件の二つがどこで交錯するのか読みながら期待が膨らみます。
Posted by ブクログ
解説の吉野仁ほか、信頼できる書評家たちの評価も高いナポリを舞台にした刑事物語。主役であるロヤコーノ警部に想いを寄せるトラットリアの女主人とか判事とかが、いかにも色気があって魅力的。それと比較するとロヤコーノをはじめとする刑事達の魅力が今ひとつ。そして最大の問題は2時間ドラマ的強引な真犯人とその動機…。
次作はいいかな。3.0
Posted by ブクログ
ああ、ほんとだ!
帯通りだったわ…イタリアの87分署!
昔、好きだったなぁ、あのシリーズ。
そもそも「はみだしものばかり」
集められた分署が舞台で
ボスがちょっといい人という
このパターン大好きだし(笑)
そうか〜、イタリアでもアリか〜。
並行して起きた二つの事件に
コンビ組んだばかりの2チームが
それぞれ捜査に当たるんだけど
最終的に二つが一つに!
…つながりません(-〜-)
そうくるかぁ。
今回は人物紹介編ってとこですかね。
シリーズ、出るといいな。
Posted by ブクログ
「パリ警視庁迷宮捜査班」を彷彿させるメンバー。ナポリを舞台にしたはみ出し刑事達が活躍する警察ミステリー。今回はそれぞれの紹介にページ数を費やしていて、捜査の仕方にメンバーの性格や特徴を滲ませている。シリーズ化されるようなので次回を期待したい。先日読んだ「汚れた雪」などイタリアミステリが翻訳されだしたのが嬉しい。それにしても、イタリア男性の惚れやすい性質が面白い。