【感想・ネタバレ】真贋のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

抜き書き。

いじめるほうもいじめられるほうも問題児。

誰もが生死をかけて自分の人生を生きている。当たり前なようで誰も当たり前に思っていないのかもしれない。

いつも明るいところばかり見ていたら、暗いところにあるものが見えなくなってしまう。そもそも、暗いところにこそ真実が隠されているのではないでしょうか。

「ひょっとしたら全滅だ」というところに競い合っていこうとしているのを、日本が真似することはないし、また、そんなものをいいと言う必要はない。核兵器を持つことについては、どちらの国が悪い、どちらの陣営がいいではなくて、全部悪いんだというのが正しいと思います。

自分自身の問題として、時にはどういう毒が自分にまわっているかということも冷静に考えることをしないと、大きく間違ってしまうこともあるのではないでしょうか。

聖職者の職業の毒として、もっとも問題なのは、「教える毒」ではないでしょうか。「教える毒」とは、わかりにくいかもしれませんが、僕らの商売でもそれとちょっと似たようなところがあります。「教える毒」に対して僕が一番気をつけているところは、いいことを言うときには、何気なく言うということです。

でも、いいことをいいこととして言うと、みんなが道徳家になってしまいます。これはよい、これは悪い、こうするのはよい、こうするのはよくないぞと断じていくようになり、いつももっともらしい口ぶりになっていくわけです。それはある種の毒です。

文句なしにいい作品というのは、そこに表現されている心の動きや人間関係というのが、俺だけにしかわからない、と読者に思わせる作品です。

僕は一般的な情報を新聞やテレビからとっていると言いましたが、一番大事にしているのは自分の肌感覚というか、身の回りの印象です。

ちょっと変な大人を見たら、この人は前思春期までの育ち方、親子関係に問題があったんだなと思うと合点がいくと思います。親に愛されていなかったり、不幸なことがあったりという事実が、間違いなくあったはずです。

僕は、男女関係に限らず、一般の人間関係においても、いい関係かどうかを判断する基準というものを持っています。それは、とてもシンプルなものですが、お互いが言いにくいことをきちんと言えるかどうかです。

東洋人に属するけれども、大陸の荒波にもまれたことがないから日本人というのは何となくこぢんまりしているのです。大陸の人から見ると、日本というのは、ばかに頭もいいし、科学・技術もヨーロッパ並みに発達して、アジアでは先進国のはずなのに、どこか包容力がない、と思われているところがあるような気がします。

日本人はふだんはおとなしいのに、変なことになってくると、もともと包容力がないものだから、カッとして人をいじめたり荒々しく振る舞ってしまう。

役職では上下があるのは当然としても、その上下はあくまでも仕事上のものであって、人間としては対等であるという意識が身についていないのではないでしょうか。

ただ気をつけなければならないのは、計算高さは、顔や挙措振る舞いの中に自然に出てきてしまうということです。恋愛関係であろうと、一般的な人間と人間の関係であろうと、それはあまりいい印象を相手に与えません。利害関係を自分の中でどういう心がけで持っていたらいいのかは、その人の全体の人格に関することだと思います。利害ばかり考えていたり、言っていたりすると何となくそれが全体ににじみ出てきて、相手にもあまりいい印象を与えないかもしれません。

「経済的にも豊かだし、物騒なこともなくて、日本のほうがずっといいですよ。ただ、フランスには何ともいえない自由さがあるんです。国とか人種とかには何のお構いもなく、誰とも自由につきあえる。それは、日本で言う自由さとか差別のなさというのとはまるで次元がちがう」と。

大切なことはその都度変わっていきます。だから何が人生で重要だというふうに言われたら、ずっと一貫して、大切なものと現状の自分との距離について考えていくことだと思うのです。

いまの日本は、道徳的にもよくないから、品格とか愛国心とか武士道精神といったものを復活させようという考え方がブームになっているようです。しかし、僕はそういうことは無駄である、初めから無駄なんだと考えています。そういう復古的ないし懐古的なやり方が、このかつてない新しい社会の状態に対して通用するでしょうか。僕は、復古的な考え方は通用しないと思っています。

一つはっきり言えるのは、いいことをいいと言ったところで無駄だということです。それは歴史が何回も証明してきました。いいか悪いかではなく、考え方の筋道を深く追わなければ、問題の本質が見えてきません。考え方の微細な筋道をたどっていかないと、解決の糸口を見失ってしまうでしょう。

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2012年12月19日

Posted by ブクログ

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北海道文学館の展示鑑賞後、何か一冊と思い、書店で平積みされてたのを購入。
文学であってもどんな職業であっても毒と利があり、どういう毒が自分に回っているか自覚的にならねばいけないということは職業人生の中盤にさしかかり始め、本を読むことを趣味とする私には深く刺さった。
一方で人格形成を思春期までの母子関係に還元するなどやや??と思うこともある。
内容丸のみの読み方よりも、自分の価値観や時代性を踏まえ考えながら読むことに適した一冊。

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2022年10月31日

Posted by ブクログ

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高校の頃にはずいぶんとかぶれていた。ま、例の共同幻想論に。
大学以降は肩の力の抜けた語りに魅せられた。
生活する知識人、知識人的生活者、に。
そんな吉本隆明による、大・放・言!
きっと女性には受け容れがたいであろう母親責任論、戦中派の持つマチズモ、には苦笑い。
そう、つい苦笑いしながら、またあの偉い爺さんがねぇ、と。
ビジネス書的切り口の多さには辟易したが、やはりこの人の文芸評論は再度見直さなければ。
・物事の両面。
・人間の精神は悪くなる一方。
・本の毒。
・運命すなわち性格に素直に生きる。
・親鸞の逆説。天国は実体としてはない。宗教にとどめ。
・欲望自体が懐かしい。
・俺だけにしかわからない、と思わせるのがいい作品。
・起源をとらえる。
・天皇はもとは神主さん。
・言いにくいことを言うということ自体が自己解放。

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2018年02月20日

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善悪二元論批判等、物事の見極めについての氏の持論を展開。エッセイ風で読み易い内容。何か特別印象に残ったものがあるかといえば、そうでもないんですが…。

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2013年04月21日

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追悼で一読。吉本にしては、読みやすい。解りやすいなかで、吉本思想にふれることができる。本格的に読んでみたくなる。

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2012年12月21日

Posted by ブクログ

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世の中のすべてには、善悪二面性がある。 どちらか一方にしか目を向けずに判断、理解する事の危険性を知る。清濁飲み込み、自分の毒と向き合い続ける。 やがてその生き様は顔に現れる

いいことしか言わないのは、世に中に悪いことがたくさん現れて来たため。釈迦、親鸞、キリスト、孔子。 確かに、いずれも乱世に登場している。

読書も利を得ると同時に、毒もまた得る。

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2012年10月01日

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