【感想・ネタバレ】レイシズムのレビュー

あらすじ

日本人論の「古典」として読み継がれる『菊と刀』の著者で、アメリカの文化人類学者、ルース・ベネディクトが、1940年に発表し、今もロングセラーとなっている RACE AND RACISMの新訳。
ヨーロッパではナチスが台頭し、ファシズムが世界に吹き荒れる中で、「人種とは何か」「レイシズム(人種主義)には根拠はあるのか」と鋭く問いかけ、その迷妄を明らかにしていく。「レイシズム」という語は、本書によって広く知られ、現代まで使われるようになった。
「白人」「黒人」「黄色人種」といった「人種」にとどまらず、国家や言語、宗教など、出生地や遺伝、さらに文化による「人間のまとまり」にも優劣があるかのように宣伝するレイシストたちの言説を、一つ一つ論破してみせる本書は、70年以上を経た現在の私たちへの警鐘にもなっている。
訳者は、今年30歳の精神科医で、自らの診療体験などから本書の価値を再発見し、現代の読者に広く読まれるよう、平易な言葉で新たに訳し下ろした。グローバル化が急速に進み、社会の断絶と不寛容がますます深刻になりつつある現在、あらためて読みなおすべきベネディクトの代表作。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

レイシズムが錦の御旗にされたのは、ヨーロッパによる大航海時代からナショナリズムにかけてと説明があったと思うが、それではアジアにおける中華思想や日本国防における神風や鎖国主義は何だったのであろうか。さらに、おそらくイスラームは、コテンラジオで聞いてNETFLIXのメフメト2世のイスタンブール陥落のドラマを観たが異民族を取り込みイスラームの制度のもと寛容な社会。中世のキリスト教からルネッサンス、大航海時代という「歴史は勝者のもの」という価値観で書かれた本ではないかと感じた。もちろんレイシズムという言葉を現代社会に定着させた功績は疑う余地がなく、「菊と刀」は余りにも有名。ヒトラーのアーリア人至上主義に対する批判は、この本を記した後に同氏が米軍に徴用され日本文化に対する研究分析を担ったというような説明がしてあり納得。ユダヤ人の悲劇に対しては理解が深まった(中産階級が多く資産の没収というレイシズム以外の財政的利益の裏書もあった)。ルースベネディクトは、「甘えの構造」で土居健郎が話した時に、本人の日本文化への理解が一面的であると喝破してあり、その時の印象がこのような感想につながったかも知れない。

0
2021年04月30日

「雑学・エンタメ」ランキング