あらすじ
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1,2,3,‥‥といった「自然数」、自然数に、0,-1,-2,-3‥‥を加えた「整数」、分数の形で表すことができる「有理数」、有理数と無理数を合わせた「実数」、そして虚数単位のiを用いた「複素数」と、数学の発展とともに数の世界は広がってきました。
本書では、19世紀のイギリスの数学者ハミルトンによって導入された「四元数」と、同時期にグレイヴスやケイリーによって発見された「八元数」をみることによって、次々と数の世界が広がっていく不思議を解説します。
ハミルトンが発見した四元数の世界は複素数を含む数の体系とも考えられますが、交換法則が成り立たない世界です。しかし、その導入の経緯から3次元の回転を記述するのに優れていて、現在のコンピュータ・グラフィックスへの応用があります。さらに数を広げようと考えられたのが八元数です。複素数が2つの実数の組、四元数が4つの実数の組だと考えられるのと同じく、八元数は8つの実数の組だと考えることができます。四元数では交換法則が成り立たなくなりましたが、八元数では、交換法則と結合法則が成り立たなくなりますが、物理学の究極の理論といわれている超弦理論やM理論と結びついていることがわかっています。
数を拡張していくという視点から、自然数から実数、複素数、そして四元数や八元数の世界やその性質を見ていきます。はてしなく広がる数の不思議を実感できる一冊です。
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感情タグBEST3
Posted by ブクログ
ブルーバックスは後半に進むにつれて、急激に難しく、本格的になるものがある。本書も名著として長く学ばれるだろう。
数の構成、拡張、終焉。代数と解析と幾何の結びつき。古代と現代の数学の違い、発展。超弦理論まで学んだからこそ味わえる領域。真剣に取り組んだ分だけ得られるものが大きい。
Posted by ブクログ
数学の代数学の分野になるのかな?非常にわかりやすい文体で難しいところはうまく省いてくれる。通常後半になるといきなり難しくなる本が多い中、うまく構成してあるように思いました。四元数は知っていたが八元数まであるとびっくり。
0章 はるか古代の道
省略
1章 現代に続く道
自然数から実数までの数の拡張について解説。各数が演算について閉じているという代数学の性質はおもしろい。単位元というのがある。加法の単元を零元と特別に言う。逆元というのもある。(逆元=逆数でいいのかな)
交換法則が成り立つことを可換という。行列は非可換なのかな。「環」「体」でこれまでの演算に関して閉じているとか可換であるとかをまとめて言い表す言葉。
2章 複素数の草原
実数までだった数を拡張して複素数まで広げる話。けっこう複素数は数とは認められていなかった歴史が見えて面白いです。
3章 複素数の庭園
複素数をベクトルとし考える方法で、複素平面での回転であると説明してある。ここであのオラリーの公式が出てくる。
4章 四元数の池
ここがメインの章です。四元数は非可換です、なんか行列に似てます。四元数の積、割り算について定義してあります。
5章 四元数の森
四元数を用いた鏡映、回転を解説。x軸を中心にxz平面が回転する。これはベクトルで表現するとかなり面倒なのですが四元数ではかなり省略できる。この辺が応用分野で利活用されている側面なのです。
6章 八元数
ここから難易度が上がります。この辺の分野は余り進んでいないこともあるらしい。
7章 大海へ
八元数が物理のミンコフスキー時空との関係とかゲージ理論、超弦理論、M理論(?)との融合など。
章のタイトルがなんかいいです。視界が広がることを見事に言い表している。読み終わるのに1カ月かかったこんなにゆっくり読めたのは久しぶり。