【感想・ネタバレ】今和次郎 思い出の品の整理学のレビュー

あらすじ

考現学は未来を考える立場だ──。ジャンパーを着て日本中を歩き回り、民家、服装、都市文化、世相など現代風俗研究に前人未到の足跡を遺した第一人者が綴る生活者の視線。

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Posted by ブクログ

関東大震災(1923年)の焼け野原に生まれた仮住まい「バラック」を研究した方だという話に興味を引かれて読んでみた。

今和次郎氏がはじめられた考現学については初耳だったが非常に面白い学問だと思った。大昔の生活や、想像もつかない異国の生活、あるいは貴族や最下層民など極端な生活ぶりは人の興味を引くから記録に残りやすいが、自分たちの生活は当たり前すぎて研究対象にもならないまま変化し消えてゆく。実は資料が1番豊富なのにもかかわらず。だからそれをあえて記録してやろうというわけだ。

もちろん学問としてはすでに民俗学があるけれど、どっちかというと目線は懐かしい過去に向いていて、わざわざ自分の家に散らばる生活用品などを記録したりはしない。一方、考現学は現在から未来を志向しているそうで、対象との距離がないような、あるような、不思議な目線で、すべてを克明に記録してゆく。

ある意味で距離がゼロ、でも距離がある。言うなれば「地球を視察にきた宇宙人」のような視線だ。しかも、今和次郎氏が残した考現学の資料は 、100年後の私たちにとっては正真正銘の「知らない世界」だから、より一層面白く見れてしまう。たぶん500年後の読者ですら今和次郎氏の視線に共感できるのではなかろうか。そういった意味では、まるでタイムマシンかVRのようでもある。私たちは彼の視点から当時を体験することができるのだ。民俗学ではここまでの解像度は出ないと思う。

今和次郎氏による味のある図解つきの「下宿住み学生持物調べ」など、部屋の匂いまでただよってくるようだった。

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2023年05月21日

Posted by ブクログ

今和次郎さんのバラエティブック。考現学を始めた頃の文章もよかったが、歳を経てからの文章もまたよい。民俗学から生活学(家政学?)への変化というのも、なんとなく飲み込めた気がする。
個人的には、「ジャンパーを着て四十年」が最高。

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2019年10月17日

Posted by ブクログ

全く知らない人物だった。恥ずかしながら、考現学というのも初めて知った。
とても面白い人だと、その面白さが文章にも感じられる。
今、目に映っているもの、それを収拾せずにはいられない人だったのだろうな。ただ、データを集めることに力が注がれているので、そこからの考察という部分において少し弱い。
もちろん、研究をするには、まずは蓄積されたデータがなければいけない。復興する東京を記録したという功績は大きいし、新しい学問を立ち上げるとはそういうことなのだろう。
でも、ちょっととっちらかっている感じがする。
しかし、そこが愛嬌で、そういう人柄だったのだろうとの想像に難くない。

しかし、今期はかなり民俗学に偏っている気がする。
ちょっと科学的な部分が足りないのでは?

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2020年01月21日

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