【感想・ネタバレ】レオナルド・ダ・ヴィンチ ミラノ宮廷のエンターテイナーのレビュー

あらすじ

ルネサンス期の天才、レオナルド・ダ・ヴィンチ。芸術家、科学者として有名な彼だが、その素顔は人嫌いで、生涯、鏡文字を使い、若いころは未完作品ばかりで、実力はあるけれども「画家失格」の烙印を押されるほどであった。そのレオナルドが、軍事技術者として自らを売り込み、君主の権謀術数の手先として壮大な宮廷イベントの総合演出を取り仕切り、さらに『白貂を抱く貴婦人』『美しき姫君』『最後の晩餐』などの名画を作った約20年間のミラノ時代の活躍を検証する。同時に彼の残した手稿から、天才の秘めた闇の部分も描き出す。(本書より抜粋)「彼は多くの点で異常な人間であると思う。天才的な直観力、豊かな想像力、卓越したアイデア、頭脳の明敏さ、驚くべき集中力など、褒め言葉はいくらでも思い浮かぶ。だが、それと同時に暗い面での彼の異常さも目につく。社会との奇妙な隔離意識と、善悪の彼岸に立ってこの世を眺めているような態度、密かな孤独癖と、愛想のよさに隠された厭人癖などである。本書の狙いは、ある意味でレオナルドという偉大な偶像を破壊することであり、彼を「万能人」とか「時代を超越した天才」としてではなく、われわれと同じ弱点、いや、われわれよりはるかに大きな人間的弱点を持つ人間として捉え直すことであった。

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Posted by ブクログ

レオナルド・ダ・ヴィンチのミラノ時代をまとめている。
フィレンツェ時代は途中で絵画を放り出してしまうことの多いレオナルドだが、ミラノでは「白豹を抱く貴婦人」「美しき姫君」「音楽家の肖像」「最後の晩餐」等の名画を完成させているの。またミラノ公国お抱えの軍事技師・宮廷芸術家として多くのイベント・エンタメをプロデュースしていたらしい。
描く技術は誰にも負けないのに未完に終わることの多かった絵画も(フィレンツェ時代)、斬新なアイディアながら現実的では使えない兵器もファンタスティックな祝祭の舞台や娯楽の考案のためのネタ集も、天才レオナルドらしいエピソード。
著者はレオナルド・ダ・ヴィンチも手稿研究の第一者。フィレンツェ時代と晩年のレオナルドに関する著作もあるので読んでみたい。
手稿の実物も見てみたい(鏡文字なので読めないだろうけど)。

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2025年06月29日

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