あらすじ
討論会の帰り道、ふと立ち寄ったバー〈スリーバレー〉。そこでの女性バーテンダーとの会話から、彼女が以前から感じていた夏目漱石の『こころ』に関する疑問点に答える羽目に。文学部教授である私が、こんな場末のバーで講義することになるとは。しかも、途中からやってきた宮田という男が、あろうことか『こころ』を百合小説と断言したことで議論は白熱し……。太宰治『走れメロス』はセリヌンティウスの夢だった? 『銀河鉄道の夜』は宮沢賢治と父親の物語? 芥川龍之介『籔の中』の真犯人は誰? 文学談義4編で贈る、『邪馬台国はどこですか?』シリーズ第5弾!
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Posted by ブクログ
『邪馬台国はどこですか?』では歴史だったけど、こちらは文学の新解釈。ここで紹介されている作品は読んだことがある作品ばかりだし楽しく読めた。『走れメロス』『こころ』の新解釈が良かった。たまたま『こころ』を読みたくなって買ってきたところなので、今までとは違った感じで読めそうで楽しみだ。
Posted by ブクログ
バー「スリーバレー」に雇われバーテンダー「ミサキ」が
ほほえみながら、(今回は妙に冴えている)異説を唱える「宮田」と共に屁理屈をかます相手を待ち構える
今回の犠牲者は文学部教授曽根原尚貴、素人の文学論など歯牙にもかけずぶった切る気持ちなのに、美人のミサキによる達人的な間を詰める妙技にズルズルと奇天烈な文学論に引きずり込まれる
(1)夏目漱石「こころ」がミステリ小説でモブである下女が百合心から「静」を巡る連続殺人を巧妙な遺書の偽造で自殺に見せかける
(2)太宰治「走れメロス」が革命家セリヌンティウスの処刑前の夢だ
(3)宮沢賢治「銀河鉄道の夜」は妹への追墓であるとともに反発しあう父親を許す手紙である
(4)芥川龍之介「藪の中」3人の自供で犯人が異なるミステリ、かつ謎のまま終わる”ラショーモン・シチェーション”と思わせておいて、真犯人を見事に特定する
Posted by ブクログ
有名文学にこんな一面が?たら思うような説が盛り沢山。自分が無知なだけだけど、こんな読み方がどのくらいされているのだろう。鯨作品では、バーと談義の相性が良すぎる。バーテンダーのノリがいいことと、疑問が的を得ていることも。こういう視点でもう一度4作品を読むと、読みやすくなったり印象が変わったりして楽しいだろうなー。 『こころ』が百合小説って!と思ったけど、宮田説を聞いていると、そうかも…って思ってしまう。 これは作者の考え?凄いです。 鯨作品、読み返そう。『走れメロス』と『銀河鉄道な夜』、特に、『藪の中』!
Posted by ブクログ
登録前
子どもの頃に読んだ桜川東子シリーズが面白すぎて期待をしすぎてしまった感が否めない。
面白いことは面白かったけど桜川東子シリーズを読んでしまうと個人的に星5までは付け難い。
Posted by ブクログ
『邪馬台国はどこですか?』シリーズと同じバー「スリーバレー」を舞台に、有名な文学作品に新たな解釈が加えられる。
『こころ』は百合小説、『走れメロス』はセリヌンティウスが見た夢、『銀河鉄道の夜』は健司と父親の物語、『藪の中』は犯人が特定できる。
バーテンダーは松永に代わり、『歴史はバーで作られる』のミサキに交代。
急角度から切り込んでくる宮田の新説は面白い。しかし、相手の文学者で語り手でもある曽根原は居丈高で、端々にミサキを意識した心情をつぶやくのは余計。
(地の文が中立のものと曽根原のものとが入れ替わりながら物語が進む)
Posted by ブクログ
「こころ」はクライムノベル。
では犯人は?その動機は?なぜ一人だけ名前があるのか?
収録作の中ではこれが一番面白かった。
「銀河鉄道の夜」は前々から現実で衝撃の事実を知った主人公があっけなく気持ちを切り替えて家路を急ぐのが不思議に思っていたのでそこを突っ込んでほしかった。