あらすじ
消費増税は悪ではない!
「貯蓄ゼロでも不安ゼロの社会」は実現できる
慶大人気教授による白熱討論を書籍化!
【主な内容】
・「勤労国家」日本 ~行き過ぎた「自己責任社会」の形成
・「働かざる者食うべからず」の本当の意味
・90年代に大転換した日本社会 ~家族、会社、地域という共同体の喪失
・「成長」から「分配」に方向転換した安倍政権
・国民が優先すべきは「経済成長」よりも「将来不安の解消」
・2040年の社会保障給付は190兆円 ~ビビり過ぎのメディアと国民
・「頼りあえる社会」を実現するために、いくら必要なのか
・増税を「悪」と捉える左派・リベラルの限界
・なぜ消費増税が正しいのか ~所得税、法人税、相続税を上げても数千億円
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Posted by ブクログ
SNSでは年収マウントを取ったり、弱者を見下したり踏み台にする論調を展開する人が散見されて、悲しくなっていた。しかし日本は日本国憲法の「勤労の義務」、「納税の義務」のもとの自己責任社会、強者の理論がベースになっているので、「働かざる者食うべからず」の思想が根底にあり、不公平感に嫉妬するのは当然の感情なのだ。社会構造が要因であり、彼らを一概に否定できないと本書で気付かされた。そして人口減少と経済衰退が既定路線の日本では、助けを求めたくても求められず貧しさから絶望の淵に立たされる人がますます増える。この構造に本書で気付かされ、強い危機感を覚えた。
「成長は成長でいいんだけれど、成長が止まったら絶望するしかない社会は変えるという発想がほしい。」足りないのはシンプルにこれだと感じる。年収制限を設けるなどして下流階級だけを救済するのではなく、中流階級も対象とすることで不公平感を与えないという論理には納得感があった。
現に、幼児教育・保育の無償化やコロナ禍での特別定額給付金、持続化給付金など公平な政策も増えている。
著者の井手先生はもともと民進党・前原氏のブレーンで、自民党はこの思想をパクったと批判しているが…(本書に感銘を受けて映画「なぜ君は総理大臣になれないのか」を見た。井手先生本人がスピーチでそうはっきり言っている)
民主党の経済政策の失敗によって、もう今後50年は政権交代は起きないと言われていた。しかし自民党の元でも経済衰退に歯止めがかからず、経済を立て直す見通しが立たなくなって貧しく暗い雰囲気が日本を覆う将来には、また野党リベラルに白羽の矢が立つのだろうと思った。それはもしかするとそんなに遠くない未来なのかもしれない。その際には経済成長だけを目指すのが解ではないという本書を思い出して再読したい。