あらすじ
5Gはいつ、どんな形で産業に変革をもたらすのか?
気鋭の情報通信コンサルタントが明かす5Gの未来
次世代通信規格「5G」の商用サービス開始を2020年に控え、
産業界のみならず社会全体の関心が高まりつつある。
しかし、5Gは規制当局である総務省での検討を含め、
普及に向けた各種整備が始まったばかりだ。
メディアが喧伝する「夢の通信サービス」はすぐには実現しない。
ならば、5Gはいつ、どんな形でビジネスに変革をもたらすのか?
本書は、コンサルタントとしてIT・通信業界の事業開発や
通信政策の策定に携わっている筆者が、
5Gが普及・発展していくフェーズを4つに分けて詳細解説する。
【黎明期+ピーク期】2017~2019年
この時期は「4Gとの違い」を正しく理解せよ
【幻滅期】2020~2022年
モバイル利用より先に屋内向けサービスが変化
【啓蒙活動期】2023~2025年
社会の構造変化に合わせた事業開発が必要
【安定期】 2026~2029年
5Gならではの「フルコネクテッド」が本領発揮
5Gを使った新規ビジネスの企画に使える!
「普及タイムライン」に沿って事業開発のコツを学ぶ
3G時代のiモードや、4G時代のスマートフォンアプリのように
5Gは各産業のビジネスに大きなインパクトを与えるだろう。
しかもその影響は、PCやスマートフォンの「窓」(画面)の外側、
つまり家や職場、街、社会といった「空間」全体に表れる。
問題は、そんな大変革をもたらす新事業を
どんなプレーヤーが、どんなタイミングで生み出すかだ。
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Posted by ブクログ
購入したのはかなり前だったのだが、年末は引っ越しで忙しくてなかなか読み進めることが出来ず、読み終わった後はその意味づけをしばらく考えていたせいで感想をかけずにいたのが本書だ。
通信領域で長年にわたって政策提言やコンサルティングを従事されていただけあり、5Gビジネスに関連する内容を網羅的に取り扱っている。IoTと5Gに関する知見を手っ取り早く、かつ全体感を持って手に入れたいというなら、間違いなく本書を最初にオススメする。
各領域のビジネス開発や展望については本書で網羅されている一方で、極めて重要だけど本書にかかれていないことがある。本書の射程ではないということで、クロサカさんはあえて本書から外したのだろうと確信しているのだけど、一方で5Gからのユーザーメリットを享受するためには極めて重要な視点だ。
それは、端的にいうと「センサーは壊れる」ということだ。センサーが壊れると、当然ながらデータを取得することが出来ない。そして、壊れたものは誰かが直さなければならない。
本書では、この辺りの問題を「利用に関する費用をどのように分配するのか」といった問題としてまとめているが、主に問題の焦点をビジネス開発時 == 導入時に限定しているように見える。しかし工学的な観点からは、むしろ運用がスタートしてからのほうが重大な問題になるのではないかと思っている。また保守がしっかり行われたとしても、サービス提供者自体がサービスを終了したり、潰れてしまっては意味がない。
5GとIoTの組み合わせのように、統合して、かつ長く運用することにより初めて価値が出せるような領域というのは、長期に渡って持続的なビジネスを設計する必要がある・・・というのは、いうは易しで実際にはすごく難しい。実際に日本では、(そういう意味で使ったわけではないという反応があるだろうが)「100年使える」はずのauのメールがわずか6年でサービス終了という実例があるのだ。
この辺りの解決策はなかなか事前に想定はできないのだけど、データという観点から、なんとか標準化が望ましいのだろうね。