あらすじ
本はどう読んだらいいのか? 速読は本当に効果があるのか? 闇雲に活字を追うだけの貧しい読書から、深く感じる豊かな読書へ。『マチネの終わりに』の平野啓一郎が、自身も実践している、「速読コンプレックス」から解放される、差がつく読書術を大公開。 「スロー・リーディング」でも、必要な本は十分に読めるし、少なくとも、生きていく上で使える本が増えることは確かであり、それは思考や会話に着実に反映される。決して、私に特別な能力ではない。ただ、本書で書いたようなことに気をつけながら、ゆっくり読めば、誰でも自ずとそうなるのである。(中略)読書は何よりも楽しみであり、慌てることはないのである。(「文庫版に寄せて」より)情報が氾濫している現代社会だからこそ、著者は「スロー・リーディング」を提唱する。「量」より「質」を重視した読書経験は、5年後、10年後にも役立つ教養を授け、人生を豊かにしてくれるだろう。夏目漱石、森鴎外、フランツ・カフカ、川端康成、三島由紀夫など不朽の名作から自作の『葬送』まで――。深く理解することが可能になる、知的で実践的な読み方を紹介する。新書版を加筆・修正し再編集。 ●「速読コンプレックス」からの解放 ●「量」の読書から「質」の読書へ ●なぜ小説は速読できないのか ●5年後、10年後のための読書 ●小説には様々なノイズがある ●書き手の視点で読んでみる
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Posted by ブクログ
数年前、某書評サイトに参加していた時期がありました。そこではみなさん競うように書評を上げていて、中には毎日3冊から4冊もの本の書評を上げる人も。私はそのスピードにまったくついていけず、大好きなはずの読書がちっとも楽しくなくなってきてしまい、これはいかんもうここにはいられない、と一年足らずで退会しました。
そんな私にとってこの本は、天から差し込まれたひと筋の光、「大丈夫だよ」とやさしく手を差し伸べてくれる、救世本です。まさに我が意を得たりな一冊で、読みながら「そうそうそうなんですよ!」、「ほんっとまさしくこれ!」と心の中で叫びどおし。
本書は、徹底的に〈アンチ速読〉。〈一年間に何冊読んだ、といった類の大食い競争のような読書量の誇示にも辟易していた〉著者は、速読はもはや〈読書ではなく、情報処理〉であると喝破し、〈読書は何よりも楽しみであり、慌てることはない〉、〈本くらいはゆっくり、時間をかけて読みたいものだ〉と述べています。
そこで提唱されているのが、スロー・リーディング。ゆっくり時間をかけて、〈味わい、考え、深く感じる豊かな読書〉を楽しもう、というもの。それにはやはりコツがある、ということで、そのコツをこの本で教えてくれています。「基礎編」と「テクニック編」でその理論を解説、「実践編」で、夏目漱石の『こころ』やカフカの『橋』、金原ひとみ『蛇にピアス』など、古今の作品をスロー・リーディングしていきます。
すごく本を読みたくなるし、読むのが楽しみになりますね。これからは自信を持って、焦らずゆっくり読書を楽しんでいけそう。〈「ページを捲りたくない、いつまでもこの世界に浸っていたい。」と感じてもらえるような作品を書きたいといつも思ってい〉るという著者の作品も、ぜひこれからゆっくり読ませていただこうと思っております。
最後に、ここに宣言いたします。わたしは、スロー・リーダーです!
Posted by ブクログ
これまでレビューを書いたことはありませんでしたが、「人に説明することを前提に読む」(93頁以下)ことを意識し、1冊読み通した今感じたことを卑見ながら公にしたいと思いました。
法学部の教授で、問題演習などは一度もせず、基本書一冊だけで司法試験に合格をしたという天才の話を聞いたことがあります。単に「問題集を何冊をやるな」というような話ではなく、一文一文に疑問を持ち、それを解消するためにほかの本にあたるということを繰り返し、そうした読み方をしたために1冊読み切るのに何年もかかり、それだけで終わってしまった、という事情です。
そのような天才には到底なれないことは承知の上で、ここで重要なのは、「どうしてその言葉を選択したのか」「突然この発言をさせたのはなぜだろうか」という違和感をキャッチできるような余裕を持つことだと思います。少なくとも名著として残り続けている文章を残した著者は、言葉の選択、文章のつながり、全体の構造に推敲に推敲を重ねたものだと推測されます。それを読む私は、言葉一つ読み飛ばしてよいはずがありません。人並みに文字を読んできた自負はありましたが、「実践編」で平野氏の感じた違和感には気づけませんでした。
「より「先に」ではなく、より「奥に」」(82頁)は理想的な読み手の姿勢を端的に表した言葉だと感じました。いま隣にある本棚には多くの書籍が並んでいますが、読んだ実績を並べたものではなく、背後の広がりを持った奥行きのある世界となるかは私次第であると確信しました。
Posted by ブクログ
今まで、様々な読書本を読んできましたが、1番自分に合っていると感じた本でした。私も速読や「とにかく本の冊数を多く読む」という考え方に違和感があったのですが、その理由がうまく言語化できずにいましたが、その正体がわかった気がします。本と対話したい方にオススメです
Posted by ブクログ
・速読は脂肪をつける読書、読んだ後に内容を覚えてないことも多々ある
・自分が登場人物の立場だったらどうするを想像してみる
・人に説明する前提で読む
・助動詞、助詞に着目する。
・書いた人の目線で考える
Posted by ブクログ
現代社会では、私たちの意志と関係なく膨大な情報に晒されている。だからこそ、自分が選び、情報を得たり、楽しむことができる「本」は、私にとって貴重なツールである。
これまで色々な本を読む中で、読みやすい本とそうでない本があり、それを理由に普段から複数の本を同時進行で読んでいた。積読を減らすために急いで本を読んだり、この読み方で本当に良いのだろうかと、どこかモヤモヤしていた。
そんな時にこの本を出会って衝撃を受けた。本を読むスピードが遅いことは、決して改善すべきことではない。筆者の伝えたいことをじっくりと読み解き、深く楽しむためには必要なことなのだと、考えを改めさせてくれた。
本書には、実際の書籍を引用した具体的な毒手術が提示されており、今後の読書生活に新たな視点を与えてくれた。読書の奥深さを再認識させてくれる、思索を深めるための良書と感じた。
Posted by ブクログ
スローリーディングとはなんぞやというところから始まり、スローリーディングを実践することで、豊かな読書体験を得られる、ひいては読む人の人生がより豊かになる、ということを作家の平野啓一郎さんが丁寧に語られています。
本書の構成は、基礎編、テクニック編、実践編からの三部構成となっており、特に、わたしは実践編を楽しく読めた。
実践編は古典作品を通じてスローリーディングの実践を講義形式で書かれている。平野さんが、まるで国語か小論文の先生のように出題し、丁寧に解説してくれている。
わたし自身、ものすごく遅読者で、人生のことあるごとに速読できる人に憧れ、たびたび試みるべく速読術の本を何冊も買ったし実践も実際試みてきたが、正直うまくできたことは一度もない。
いまだ本を読むのは遅いし、一度読んだくらいでは頭に入らないので、大抵は二度は目を通す。
が、平野さんが推すスローリーディングは、そんなわたしのあり方を勇気づけてくれたし、なにより、スローリーディングとはただ読むのが遅いだけのわたしの読書法とは違い、より深く作品を理解する方法の一つで、本書を読むうちそれを実践してみたいと思えたのは大きな収穫だった。
ここに書かれる古典作品をさっそく読んでみたいと思う。
Posted by ブクログ
作者の意図をいかに読み解くか、という事を解説する後半は非常に面白い。
本を読んでいて、脳が知的興奮を感じているのが自覚出来た。
助詞の使い方、表現の違和感から伝えたい事を読み解く等は、今まではなんとなくやっていた。
しかし、これを意識するとしないでは今後の読書体験そのものが大きく変わるだろうと思う。
個人的に今年(2024年)読んだ本の中では、ベスト。
まずは今読んでいる本を、そしてその後は森鴎外の本を、ゆっくり読み解いてみようか。
Posted by ブクログ
速読が推奨されていることをよく見かけるのもあり、読むのが遅いことが悪いことかと思っていました。
紹介されているスローリーディングのテクニックをすぐに習得することは難しいが、本を自分のペースで楽しんでいこうと前向きになれました。
Posted by ブクログ
自分は本を読むスピードが遅い方なのでこの本を読んで、今までは読むスピードを早くして色々な本を読みたいと思っていたが、それよりも本の理解度や深く考える時間に費やしたほうが、より読書を楽しめて為になると思えた。
再読について書かれていたが、これは小説に限った話じゃなくて漫画、ドラマ、映画、アニメにも当てはまることだと思ったので、基本的に1回しか見ないので試してみたいと思う。
この本も再読しようと思う。
「自分だったらどうするだろう」と考えるのは元々、自然とやっていたので良い事だと知って嬉しかった。
「辞書癖」をつける、と書かれているがこれは前から実践してはいるが難しい言葉や読めない漢字が続くと調べることに一生懸命になり、話の内容が入ってこないということがあるので、今後の課題。
後半の実践編は全部を理解するのは難しかったが、できる事から実践しようと思う。
Posted by ブクログ
著者の本は「マチネの終わりに」を読みましたが、とても魅力的な本だったので本作品も読んでみました。
この本は「本の読み方」の本ですが、本を書く作家さんの視点から、どのように本を読むべきかを丁寧に考察してあり、とても理解が深まり、益々好きな作家さんになりました。
本が読みたくなる本です!!
Posted by ブクログ
読書について、今までの自分は活字を追って、本を読み終わる毎に満足感や達成感を抱いてました。
この本を読んで、読書とは、速く読むことではなく、1文1文丁寧に深く読み、自分の想像力や思考力を使って楽しむことが読書の醍醐味であり、正しい読書であるということを学びました。
この本もそうですが、1回限りではなく、時間を於いてまた読んで、そこで新しい発見や過去の想像とは違ったイメージが浮かんでくるかもしれない。
1冊1冊丁寧に読書をしていこうと思いました。
Posted by ブクログ
再読・遅読推奨派の私には、とても頷ける内容。ここ最近の読み方はサブスク料金と読書アプリによる可視化のせいで速読寄りになってきていたな、と反省。選本もタイパ重視になりがちだった。速読が悪い訳ではないけれど、せっかく読んだからにはきちんと内容を理解して読みたい。読メの謎の棒グラフや連続読書日数など気にしてないつもりが、知らずに意識していたり、さほど読みたくもない本も無料だからと読んだり、もっと楽しく主体的に読まなければ。
Posted by ブクログ
スローリーディングを訴える、今の時代にこそ必要な良書。自分自身、早く読まないとと焦って読んでしまったことが何度もあった。それは、速読とか多読といった情報をいかに早く要点だけに絞って取り入れるかという観点のもの。一方で、スローリーディング、とりわけなぜ作者はこの一文を入れたんだろうか、なぜこんな表現なんだろうか、と立ち止まって自分なりの考えと照らし合わせてみたり、思考をさらに深めてみたりしてみてはどうだろうか?というススメである。長い時間をかけてじっくりと読んでいく、量ではなく質こそ大事、その人となりを大きく、豊かにしてくれる。そんな読書をしたいものだと思うから、じっくり腰を据えて本と向き合う。特に内容を、センテンスを選び、色々仕掛けている小説においては。
自分自身、忙しい日々だから、この行為がいかに贅沢で、幸せなんだろうかと思いながら読んでいるのだけれど、改めて平野氏の速読へのアンチテーゼはグッとくるものがあった。読書を無駄にしない、時間の浪費にしない、これは逆をいうと早く読めば読むほど、無駄だと感じてより速読しなければならなくなるのかもしれない。どんなフレーズが、どんな風に感じたが、それは何を意味するのか、筆者の意図を考えながら読み進めていくことが作者との対話そのものなんだという考え方であり、本を先に進めるのではなく奥に進んでいくことで、人生を豊かにしてくれるはずだと説く。
カフカの橋、川端康成、三島由紀夫の作品を通して、スローリーディングを実践していく。5W1Hに気をつけながら、なぜ筆者がこの話を出してきているのかを考えると、橋が示すのは官僚だったりする訳だけど、そして高瀬舟が高い関心を今でも集めるテーマを含むのは、殺人と自殺の正しさか、悪かという問いだからである。これをすっ飛ばして読んで、理解できるのか、それがどういう構成で導かれているか、じっくり読まずして、その奥深さがわかるわけがないではないか、という筆者からのメッセージである。
Posted by ブクログ
読むの遅いのがずっとコンプレックスだったけど、ゆっくりじっくり読んで、着実に自分の中に生かしていく読み方もありだと思った。能動的に読もうと思う
Posted by ブクログ
今まで、いわゆる純文学が苦手で、難しいと感じてきたが、読み方が雑だったからなんだと、この本を読んで改めて悟った。なんとなくわかってはいたけど。
先へ先へと読んでしまいがちだけど、改めよう。
この本に書かれている方法を取り入れながら、手持ちの本を、ゆっくり味わって再読してみよう。
Posted by ブクログ
スローリーディングのすすめ
『本当の読書は、単に表面的な知識で人を飾り立てるのではなく、内面から人を変え、思慮深さと賢明さとをもたらし、人間性に深みを与えるものである。そして何よりも、ゆっくり時間をかけさえすれば、読書は楽しい。私が伝えたいことは、これに尽きると言っていい。』
Recommendation for Slow Reading
"True reading is not about adorning oneself with superficial knowledge, but about transforming oneself from within, bringing about thoughtfulness and wisdom, and adding depth to one’s humanity. Above all, reading is enjoyable if you simply take your time. This, more than anything, is what I wish to convey."
Posted by ブクログ
本書は作家・平野啓一郎氏が提唱する「スロー・リーディング」を解説したものです。夏目漱石『こころ』や三島由紀夫『金閣寺』から自作の『葬送』まで、古今の名作を題材に実践的な手法の数々を 教えてくれます。
この記事を書くために先ほど何度目かの再読をいたしました。本書は作家・平野啓一郎氏による「本の読み方」をいわばマンツーマンで指導してくれるといった趣旨のもので、3回ほど再読すると味の出るつくりになっております。
作中で平野氏が「もっと早く本が読めるといいんだけどなぁ」と嘆きつつ、先輩の作家に「自分は本を読むのが遅いんですが、どうすればいいのでしょうか?」と尋ね、「実は自分もなんだ」と回答を得て、ほっとしたという箇所を見ていると、彼ほどの才能があっても、こういうところは悩みどころなんだと、正直さとほほえましさに思わずニヤリとしてしまいました。
「速読家の知識は単なる脂肪である」などのずいぶんアグレッシブなタイトルの元に自分もいくつか速読に関する本を買って読み、「これは自己啓発本だ」と一刀の下に切り捨てる箇所はなんとも思い切った筆致だなぁと思うとともに、『スローリーディングは「五年後、十年後のための読書である」』といい切る部分は確かにそのとおりで、自分自身も必要に迫られてビジネス書を読む場合は『実践する』という観点に則って読むために即効性を求め、これが5年後10年後の自分にどう影響を与えるか? という観点では確かに読んでおりませんでした。
ビジネス書の大半は正直、さらりと読めるものがほとんどで、ここに書かれているようなテクニックを遣わなくてもいいと思うのですが、例外というものは確かにあって、たとえばドラッカーの『マネジメント』やマイケル・ポーターの『競争の戦略』なんかは何度も読まないとわかりません。それ以外の本はたいてい斜め読みしても十分だと思います。
さらに、古今東西のテクストや古典を通して平野啓一郎氏の「本の読み方」というのは自身が高校時代に現代文の試験が苦手だったという経験から、スローリーディングの読み方を生かして出題者の『意図』を知るという読み方に変えたところ、成績が尻上がりに上がっていったというエピソードや、小説家ならではの『小説の読み方』。というもの参考になるかと思われます。
僕自身が最近見落としていることのひとつに『辞書癖をつける』というものがあって、『わからないことは辞書を引いて調べる』ということをグーグルなどに頼って、ついおろそかにしてしまうことも自戒しなければならないな、と思いながらページをめくっておりました。
ただ、平野氏の推奨する読書方法は古典や小説において、最大限の効果を発揮するものであろうと思われますので、それ以外のものに関してはほかのやり方を適用しようかと考えております。
※追記
本書は2019年6月4日、新書版を加筆・修正し再編集し『本の読み方 スロー・リーディングの実践 (PHP文芸文庫)』として文庫化されました。
Posted by ブクログ
自分では『もっと速く読みたい』と思っていたこと、
全く気にしなくて良い!と、むしろゆっくり読んで、
『先に先にではなく、奥へ奥へ』読むと。
後半のケース・スタディみたいなのはとてもわかりやすいし、
例として使用しているそれらの本を読んでみたくなる。
ご本人が仰る様な『スロー・リーディング』を実現するには、
膨大な読書量と理解力・記憶力が必要になると思うし、
そこに自分が到達できるとは到底思えないけど、
自分のペースでゆっくりと、奥へ奥へ読み続けていきたい…と思える様、背中を押してもらった本になりした。
Posted by ブクログ
最近読書の勢いが増していたが、速く読むことを意識し過ぎているのではないかと自省し、本書を手に取ってみた。面白かった小説などは内容が映像として頭に残っているが、ふむふむと納得しながら読んでいると思っていた新書などは思い出せないものが多い。そんな中で「著者が長年書いたものを短時間に、ましてや速読法などで理解するのはおこがましい」というメッセージは心に突き刺さりました...
後半は古典作品から抜粋した文章を用いて本の読み方を説明していたが、自分が興味のあるところだけを読みました。本棚に残しておきたい本ではあるので、また気になったタイミングで読破したい。
Posted by ブクログ
多読•速読を目標に日々読書に励んでいる身だが、非常に勉強になった。
世界的に評価されている小説を沢山スローリーディングしたい。特に、下記の部分は心に留めておきたい。
外国人は相手の教養を重視するので、読書をして会話の準備をしておくことが重要である。
知的に洗練されている人ほど、食事の席などではシリアスな仕事の話や、政治や宗教、教育問題といった話題は避け、小説や映画の話を好む。そのときに、何でもいいから自分の好きな本について手短に内容が説明でき、感想がうまく表現できれば、信頼感もグッと増す。
Posted by ブクログ
漠然と「こんな感じかな」とやっていた本の読み方だが、改めて言語化されてみるとなるほど、まだまだ世界が広がりそうだ。読み込めるということは、より深く理解ができるということだから、おそらく日常のさまざまな場面でも活用できるテクニックにもなり得るだろう。
読みながら、どうしてもっとこういう力を高めなかったのかと後悔しながら、今回それを知れたことで何か変わるかもしれない、なんて期待感も生まれた。
Posted by ブクログ
スローリーディングをしても読んだ内容を忘れてしまいます。読書の意味と最後のフーコーの章、一般論→しかし→自説しか覚えていません。丁寧に読めるようになった。
なので、スローリーディングを実践しつつ、もっと印象に残る読書法を模索していきたい。
読書の意味 自分なりに考え感じたことをこれからの生活にどう生かしていくか
Posted by ブクログ
「スロー·リーディング」とは、焦らずゆっくりと自分の読書ペースで読むことで、作品への理解が深まるとのことだった。速読も魅力的だと思っていたが、この「スロー·リーディング」もなかなかいいと思った。実践編での、森鷗外の「高瀬舟」の解説は、真に迫っていたように感じた。読書の量ではなく、質にこだわってみたいと思った。
Posted by ブクログ
⚫︎受け取ったメッセージ
※引用
「一冊の本を価値あるものにするかどうかは、
読み方次第」
「読者が本を選ぶように、本も読者を選ぶ」
⚫︎あらすじ(本概要より転載)
"本はどう読んだらいいのか? 速読は本当に効果があるのか?
闇雲に活字を追うだけの貧しい読書から、深く感じる豊かな読書へ。
『マチネの終わりに』の平野啓一郎が、自身も実践している、
「速読コンプレックス」から解放される、差がつく読書術を大公開。
「スロー・リーディング」でも、必要な本は十分に読めるし、
少なくとも、生きていく上で使える本が増えることは確かであり、
それは思考や会話に着実に反映される。
決して、私に特別な能力ではない。
ただ、本書で書いたようなことに気をつけながら、
ゆっくり読めば、誰でも自ずとそうなるのである。(中略)
読書は何よりも楽しみであり、慌てることはないのである。
⚫︎感想
夏目漱石のこころ、森鴎外の高瀬舟、三島由紀夫の金閣寺カフカの橋、金原ひとみの蛇にピアスなど、一部分を取り上げて、小説家がどのような工夫やテクニックを凝らして書いているか、いかに気付きながら読むことができるか、実践を交えて丁寧に解説してくれる。
・作中で登場人物が疑問を発した時、
その答えは特に重要
・成功している比喩は重奏的
・作中の唐突に起きる違和感は注意喚起=主題に関わる
・「不自然さ」は場面転換の印
・「お茶を飲む」という何気ない動作→緊張しているから→この先重要な言葉が語られるかも
・ポリフォニー小説…登場人物がそれぞれに完全に独立した思想を持ち、彼らが対話を通じて対決するタイプの小説
・書き出しの一文に意味がある
・形容詞、形容動詞、副詞に着目する
・間を取るための風景描写や心理描写の挿入。
一般的に、こうした間の後には重要な発言が控えている。
など、たくさんの書く側の配慮を知ることができた。このようなタイプの本は初めて読んだので、このように書く側からのテクニックを知って、もっと深く小説を味わいたいと思った。
(以下引用)
小説というのは、マジックミラーのようなものである。しっかりと目を凝らせば、向こう側に作者が見えるかもしれない。しかし同時に、そこに映し出された自分自身を見てしまうのかもしれない。
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軽薄な「速読」テクニックへの痛烈な批判本。
本人も作家である立場から、物書きがいかに言葉選びを熟慮しているか、またそれを自分で読み取り感じることが著書に触れる喜びの一つであることが、作例を交えて書かれている。(勿論、本を読む目的は人それぞれだが。)「速読=脂肪。役に立たず、頭の回転を鈍らせる。知ってることの補完でしかなく、何なら歪曲させて読み取ってしまう。」→すごく納得。
Posted by ブクログ
作家による読書法の紹介本。
わかりやすく、理にかなっていて面白かった。本来、個人が楽しみながら進める読書を、国語の時間が妨害している面はたしかにあるよなぁと思う。試験における作者の意図は、出題者の意図なのだと割り切って説明されていて、少しすっきりした。
また、気持ちがいいほどのアンチ速読で、読んでいて楽しかった。もちろん、ただこき下ろしているわけではなく、速読の危険性や罠について論理的に説明しているので、内容は頷けるものばかりだった。
実践編では実際の小説の一部を取り上げながら、スローリーディングを進めていく。
私はこの職業についていながら『こころ』の中編にあまり価値を置いていなかったけれど、もう一度読み返すときには、ちゃんと中編の意味について考えながら読みたいと思った。
カフカも難解で面白そうなので、短編集を探してみようかな。
本の読み方のテクニックが詰まっているし、本を読む意義もたくさん載っている。比喩などもあってとてもわかりやすいので、本を読みたいけれど、どうしたらいいかわからない人におすすめしたい。
Posted by ブクログ
作家が語る、スローリーディングを語った本。
書き手の視点で読む、精読し読んだものを自分のものにしていく、どちらかといえば速読気味な私には耳の痛い話も。
書き手の産み出す文章を、読者は一言一句、噛みしめるように糧にしていかなければと思った。
Posted by ブクログ
【読もうと思った理由】
最近、一度読むだけだと難解で理解しにくい本を徐々に読むようになり、「もっと読解力があったらなぁ」と思うことが多くなっていた。そんな折、この本とたまたま出会い読むに至る。
【読後の感想】
プロの作家の方は、「ここまで考えて本を読んでいるのか」と脱帽し、恐れ入った。
(以下、感銘を受けた箇所を記載。)
読書を今よりも楽しいものにしたいと思うなら、書き手の仕掛けや工夫を見落とさないというところから始めなければいけない。
作家のタイプにもよるが、たとえば、三島由紀夫などは、様々な技巧に非常に自覚的な作家だったので、スロー・リーディングをすると、ここまで気を使うのか!というほど、細かな仕掛けがいくつも見えてくる。しかし、その多くは、実はほとんどの読者に気づかれないまま、埋蔵金のように今も小説の至るところに眠っているのである。
本当に読書を楽しむために、「量」の読書から「質」の読書へ、網羅的な読書から選択的な読書へと発想を転換してゆかなければならない。
文章の上手い人と下手な人との違いは、ボキャブラリーの多さというより、助詞、助動詞の使い方にかかっている。やたらとたくさんの単語が使われていても、ちっとも胸に響かない文章もあれば、「ボキャ貧」であっても、妙に説得力のある文章もある。動詞や名詞を生かすも殺すも、助詞、助動詞次第である。
人間のワーキングメモリは少しづつしか情報処理できないから、本を読むときに速読で大量に情報をインプットしようとしても、そもそも無理がある。スロー・リーディングによって、小分けにして、その都度長期記憶の間を往復しながら情報を処理していかないと、理解は進まないのである。ドストエフスキーの名前のややこしい登場人物が大勢出てくるような小説を読むときには、しょっちゅうページをさかのぼって、「なんだったけ?」と確認し直している。
(筆者が読書にハマったきっかけ)
筆者がそもそも読書にのめり込むようになったきっかけは、三島由紀夫の「金閣寺」だったそうだ。最初に読んだときは、「なんだこりゃ?」的な衝撃で、内容がどこまで理解できたか、怪しいものだったそうだが、だからこそ、ひどく興味をそそられたそうだ。
そこからは、しばらく三島の本ばかりを読みあさり、気づけばすっかり、ファンになっていたんだそうだ。今度は三島が好きだとエッセイで言っていた作家である、マン、ゲーテ、シラー、ドストエフスキー、ゴーゴリー等等、まさしく三島は、筆者にとって読書の正確なルートを示してくれた優秀なナビだったんだそうだ。そして三島が影響を受けた様々な作家の小説を読んだあと、もう一度金閣寺をはじめとする三島の作品を読むと、最初に読んだ時よりも、はるかに作品の内容を深く理解出来るようになったことが、嬉しかったとのこと。
そこから学んだことは、作家の作品の背後には、さらに途方もなく広大な言葉の世界が広がっているという事実。
【本書を読んで得た気づき】
本を読むことは、相手とコミュニケーションを取ることと、ある種似ているなぁと感じた。作者がその本の中で訴えたいことがある中で、極力読み飛ばされない様に、工夫を凝らして、何度も何度も推敲して、作品を作り上げているんだと。そこまで時間を掛けて作った作品を、数時間で、たった一回読んだだけで、すぐに全てを解るわけもないということが、肌身に染みてよく理解できた。
一回読んで理解できなかった作品は2度、3度と何回でも理解できるまで読もうと思った。
今後は今まで読んだことのない作家の作品を、極力読むよう意識をしていこうと思う。色々なタイプの作家を知ることで、読解力、理解力も上がっていくはずだと思うからだ。
Posted by ブクログ
スローリーディングのススメ。じっくりと読み込むことで、その本が持つ真の姿を知り、味わうことができる。とても魅力的な読み方。一方で、読みたい本が増殖している現状があり、多読したいという欲求も捨てきれない。答えなんかない。一生迷ってそう