あらすじ
離職率13%(業界平均30% )、9期 連続既存店売上前年比増
異色の外食チェーンの躍進を支えるのは
「個の尊厳」と「多様性」を尊重する人材力だった。
「焼肉きんぐ」「丸源ラーメン」「ゆず庵」などを全国展開する物語コーポレーションは14期 連続増収増益、既存店売上も9期 連続前年比プラスという驚異の成長を続けている。そのなかで注目されるのが業界平均を大きく下回る離職率に象徴されるユニークな人材育成、経営スタイルで、それを実践してきた実質創業者・小林佳雄 は「カンブリア宮殿」にも登壇、今や講演・執筆依頼が殺到。また小林 による就活生向けセミナー(会社説明会ではない)は大変な人気を博している。
小林経営の最大の特徴は、人間の本能に根ざした「Smile & Sexy」という概念を理念に掲げ、人の本性に直接働きかける具体的実践的な取り組みを行っていること。その結果、人が本来持つ潜在能力が発現していると考えられ、モチベーション向上やダイバーシティ実現の面でも進捗がみられるのだ。さらに社員の自主的な行動を尊重・奨励することで集団としての機能を高め、持続的な高業績をもたらしているといえる。
本書は、人事・労務、組織開発コンサルタントとして同社をウォッチしてきた著者が、「働き方改革」が問われるいま、制度的取り組みだけではなし得ないモチベーション、ダイバーシティ、組織形態、意思決定、マネジメントスタイルといった経営上の重要テーマをどのように考えるべきかについてのひとつのあり方を、同社の具体的取り組みを示し、業界注目の企業でありながらあまりマスコミ等に登場しない小林の哲学、ナマの言葉を織り込みながら解説するもの。
日本企業の全般的な機能低下が危惧されている一方で、そこで働く人間の非効率な長時間労働は依然として解消されず、しかもそれが能力向上や企業成果に結びついていない現状を改善するヒントを提供することを目指す。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
想像以上に面白かった。バイク乗ってる時に、しょっちゅうみるものの、このチェーンの飲食店で食べたことないけど。
・著者はてっきり社長かと思いきや、社外取締役。でもしほんとにこんなに会社の内実に詳しいなら、東証もモデルとしてクローズアップしてもよさげ。
・狩猟採集時代の特性を活用する企業経営
・(建前やお仕着せじゃない)意思決定、自己開示
・個の尊厳が組織のそれよりも重要(上位にあるのが個の尊厳)
・人間の能力に蓋をしてしまいがちなマネジメントスタイル
マイクロマネジメント(指示待ちになる)
ダブルバインド(相矛盾する指示)
狂犬型(暴君・独裁者型。恐怖と絶対服従)
不作為(何もしないので、不信感・無力感が生じる))
・明言をしていく(p.111)
・いいミームを増殖させる。ジャンクミームに気を付ける
・店長第一主義
Posted by ブクログ
最近食べに行こうとお店へ事前電話したら、「2時間半待ちです」と言われ断念した焼肉きんぐ。
行ったことがなかったので気になっていたが、コロナ禍にも関わらずさすがの人気ぶりに驚きました。
そんな企業、物語コーポレーションとは?と、ふと気になり本書を手にとりました。
経営理念や企業・店舗運営において、社長や担当者の実際の声やメール内容が記載されていて、具体性・信憑性があり面白かったし、読んでいて納得感もあった。
特に第5章以降が、その具体性に触れらていて読み応えがあった。
社員や社員家族との関わり方、自己開示を促す仕組み、役割モデルからの理念や取組の浸透など、成長し続ける企業のその要因について理解する事ができた。
営業会社に所属する自分にとって、細かな予算や数値で縛らないというのは共感できた。まずは、前期比を上回る、というシンプルな目標はわかりやすく自由度があり、その反面責任感も醸成され、社員の達成感やモチベーションも維持向上されるのかと思う。
Posted by ブクログ
丸源ラーメンや焼肉きんぐなどの飲食店を展開する物語コーポレーションの小林佳雄氏の生い立ちや同社の歴史、施策などを通じて経営コンサルタントの著者が同社の強みに迫った一冊。
経営理念であるスマイル&セクシーやおせっかい、ミーム、掟など他社には無い人間の本能に根ざして施策が作られており、他社とは一線を画していると感じました。
小林氏が30歳までに感じたことがスマイル&セクシーという理念に繋がり、それによって現在の社風につながる様々な考えや施策が生まれたことも感じました。
また子供を同社には入社させないことなどのこだわりのルーツも知ることができました。
また、リーダーとして行う意思決定の本物と偽物の違いや自分の意見を明言することや亜僑という考えを中心として多様性を認めることなど同社が具体的に事業を行なっていく中で行っていることを確認できました。
そして、新入社員の家族を巻き込んだ入社式やミームを通じた社風の形成など社員に対しての取り組みやフランチャイジーに対して誠実に向き合う清正会やおせっかいを競う合う文化なども同社の成長を後押ししてきたことを感じました。
本書を読んで他店舗展開やFC事業、株式上場、中国進出と様々な挑戦を成功させてきた同社の裏側には小林氏や加治氏の考えや今まで同社が作り上げてきた社風などが要因となりここまでの成長を遂げてきたと感じました。
また次のフェーズに向かう同社がスマイル&セクシーの文化を受け継いだ次代の世代がどのように同社を発展に導いていくのか楽しみになる一冊でした。
Posted by ブクログ
途中までは良かった、企業の成り立ちや説明は。第4章以降は、著者の語りになっていて、私には読めなかった。
P22 理念
企業の中で埋もれがちな、
生き物としての他者に対する魅力や、
利他行動、自己主張、自己開示行動、積極的な意思決定
などを引き出し、社員の生命力が躍動することを目指す。
人材の活性化の面では、
・社員が元気で活力に満ち溢れていること
・自発的かつノリがよく仕事に取り組んでいること
・新入社員を含めて社員がどのような場でも
正々堂々と自分の言葉で意見を言えること
・社員が皆それぞれおしゃれであり、おしゃべりであること
・他者にポジティブに働きかけている
などの特徴がある。
P65 リーダーシップの根源
リーダーシップの根源は、
「自分はこうしたい」という意志と
実行していく覚悟が明確ではない人間には
客であれ部下であれついていかない。
自分たちがどこへ行くのか
決めてくれる存在がリーダーであり、
リーダーシップの根源。
P73 上司と部下
上司と意見が違う時に、自分はこちらの方が
いいと思ったら言うのは当然である。
会社の組織としてのつながりは重要だが、
個人と個人の結びつきはもっと重要。
部下への上司としての指導は当然だが、
人間としてどう部下をとらえるか
という考えに至らないと、
本当の意味での幸せは手に入らない。
104 リーダーは朝令暮改をためらうな。