【感想・ネタバレ】日曜日の人々のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

90年代、ココロ系と呼ばれるウェブサイト群があり、BBSで悩み相談や薬の情報交換をしていた。
当時は確か匿名が当然という感覚は薄く、各々ハンドルネームをつけていた。
おそらくそんなふうな「REM」が、ゼロ年代になってセルフケア手前の集会を開いて……という。
まず押さえておくべきは、少し昔の話だということだ。

決してリアルとは感じなかった。
いちいちモノを書くなんてまだるっこしくて。
また話の運びも結構都合に拠るところがあるし。
しかし、漱石「こころ」(の草稿の分量!)や春樹の持って廻った台詞に、リアルではないと知りつつもリアリティを感じてしまう、感じ方がある。
要は小説内での確かな手ごたえというものがある。
この小説にも、ある。

春樹をつい引き合いに出してしまったが、道具立ては結構似ている。
語り手の流され具合。開幕直前に同年代の女の子を自殺で失くしている(「風の歌を聴け」や「ノルウェイの森」)。無闇に好かれる。
ただし書き方は違うのではないか。
春樹は暗い洞窟を手探りしながら書いていくので、まだるっこしいし停滞している、そこが良くも悪くも特徴。
高橋弘希はおそらく、きちっと全体を見通した上で、描写していく。
だから時に計算っぽくなるが、それもまた個性。

話の筋はまあそういうものとして、細部が好きなのだ。
送られたダイエットシェイクとか、摂食障害者がなぜか買ってきてくれたロースカツ弁当とか、ピザとか、あんぱんとか、なんでもないぬいぐるみとか、熱くなったアスファルトとか、数珠のような葡萄とか、チョコレートパフェとか、海苔に歯痕の窪みができたおにぎりとか、丸っこい小ぶりのおにぎりとか、傷痕に張った薄皮とか。
思い付く限り書いてみたが、うーん結構食べ物が多いな。
ということは、ひなのという女の子が、好きなんだな。
あとはなんでもない遊びをする場面が好き(「指の骨」では地面に絵を描くとか。「送り火」の花札はちと違うか)。
バドミントンとか、フリスビーとか、マイムマイムとか。

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2020年02月06日

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