【感想・ネタバレ】詩学のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

「悲劇(叙事詩)はどのようなもので、どんなストーリーが素晴らしいのか、どう作ればいいのか」を説いたアリストテレスの創作論みたいな話。訳が分かりやすくて、ホメロスやギリシア悲劇全集、プラトンを読んでいたのもあって前に読んだ「心とは何か」より格段に楽な読書だった。さらに解説がものすごく充実していて至れり尽くせりといった感じ。プラトンの詩人追放論との対比や、カタルシスの解釈の解説が特にありがたかった。

「悲劇とは、真面目な行為の、それも一定の大きさを持ちながら完結した行為の模倣であり、作品の部分事に別々の種類の快く響く言葉を用いて、叙述して伝えるのではなく演じる仕方により、憐れみと恐れを通じ、そうした諸感情からのカタルシスをなし遂げるものである」という長々した定義を作り、悲劇の肝はストーリーにありとして作劇の話を中心に書いてある。ご都合主義はいけないとか、キャラクターの性格を一貫させろとか、現代でもありがちな話があって面白い。
プラトンとアリストテレスの詩に対するスタンスの違いを読んで思ったが、全てを善のイデア、理想の国家などに還元していくプラトンと違ってアリストテレスは一個一個の物事を突き詰めて考えていくのが好きなんだな。あと実践的なハウツーも重視する。師であるプラトンの理論や定義をところどころ受け継ぎつつ、全く違う世界観を提示するのはやっぱりものすごいなと思った。

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2024年05月25日

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