あらすじ
片田舎に暮らす少年・江都日向(えとひなた)は劣悪な家庭環境のせいで将来に希望を抱けずにいた。
そんな彼の前に現れたのは身体が金塊に変わる致死の病「金塊病」を患う女子大生・都村弥子(つむらやこ)だった。彼女は死後三億で売れる『自分』の相続を突如彼に持ち掛ける。
相続の条件として提示されたチェッカーという古い盤上ゲームを通じ、二人の距離は徐々に縮まっていく。しかし、彼女の死に紐づく大金が二人の運命を狂わせる──。
壁に描かれた52Hzの鯨、チェッカーに込めた祈り、互いに抱えていた秘密が解かれるそのとき、二人が選ぶ『正解』とは?
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Posted by ブクログ
tiktokで流れてきたので普段小説読まないんですがこの機会にと、読んでみました。
個人的に印象が強かったのはやっぱり一籠晴充です。
前日譚を読んだ後だと晴充の「だから、きっとまた見つけるよ」という言葉にものすごく納得が行きました。
晴充は江都のファンでしかなかったんだなぁ...
と勝手に納得しておきます笑
斜線堂先生の作品をもっと読みたいと思える作品でした。
Posted by ブクログ
寂れた町で話題を呼ぶのは、奇病患者を受け入れるサナトリウムのみ。体が硬化して金塊になる病に罹る患者・弥子さんと知り合った少年エト。
去年私がいちばん心を揺り動かされた曲は、藤井風の『満ちてゆく』です。本作の終盤、エトが「捨てること」で証明しようとするシーンでは「手を放す、軽くなる、満ちてゆく」という歌詞が頭をよぎってしんみりしました。
だけど、中盤の北上さんの「お母さんには内緒でね」という台詞には、テンダラーの「母さんには内緒だぞ」というネタを思い出して笑ってしまった私を許してください。
エト、きっとこれは正解。生きろ。
Posted by ブクログ
読みやすく、一気読み。
お金は人を狂わせる。そのことをただただ痛感する。
最後までお互いがお互いを想った結果の結末だと思う。
そして、弥子さんと出会わなければ目を逸らしていたであろう自分の未来に江都くんが迎えたことがよかった。
Posted by ブクログ
人間の感情は証明できるのか。あなたが大切、ずっと忘れないという言葉も、証明は出来ないけれど、それでも灯台になる…。作者のあとがきに涙しました。海のシーンも情緒的で好き。52ヘルツの鯨のくだり、わたし的には今作の方がしっくりきたな〜