【感想・ネタバレ】ふしぎな鉄道路線 「戦争」と「地形」で解きほぐすのレビュー

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Posted by ブクログ

電車に乗っていると不思議なことがある。




例えば、東武浅草駅から出発するあるいは到着する電車に乗ると、急カーブに出くわす。




あのような窮屈な形になったのは地形が関係しているとブラタモリだったどこかの番組で言っていたと思う。




東海道と言えば、日本の大動脈で1872年に日本初の路線として開通した新橋〜横浜間は、東海道本線の一部としてあるものだと思っていた。





しかし、明治時代前半の頃は事情が違っていた。東海道よりも中山道を東京〜西京(京都)を結ぶ「両京幹線」として構想していたルートだったというからビックリ。





東海道をルートにすると、鉄道が外敵の侵略する際に利用される可能性のある、築地居留地付近に停車場を設けると、外国人がやってきて日本人との間で、不測の事態が起きる可能性があり、そこから外国軍隊の介入への口実を与える懸念があったからだ。




さらに東海道だと、険しい箱根や富士川、大井川などの大河があり、工事に手間取るといった理由で中山道ルートが進められた。




しかし、現実はそう甘くなかった。中山道ルートが思ったよりも険しかった。群馬と長野県境にある横川〜軽井沢間にある碓氷峠(うすいとうげ)は、標高差552メートルにもなる。この他にも馬籠峠(まごめとうげ)など難所が待ち構えていた。





その後もいろいろあったが、1889年7月1日から新橋から神戸まで1日1往復の直通列車が運転された。この当時の所要時間は20時間あまり。





路線を整備しようとしたらお金がかかるし、地形や政治も関わってくる。

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2022年12月14日

Posted by ブクログ

タイトルは「鉄道路線決定と陸軍」とでもしたほうが良い感じで、鉄道路線を作るにあたってどれだけ陸軍が海岸を嫌って捻じ曲げたかを示す本でした。その視点で通しで見たことがなかったので、参考になります。
竹内さんは地形といいながらお屋敷の話を延々とするとか、タイトルと違うことに脱線しがちな作風ですが、この本は陸軍の軍行動にページを割きすぎな気もしますが、珍しく脱線が少なかったような。

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2021年07月11日

Posted by ブクログ

鉄道路線の不思議な線形。東京-新宿の中央線、新京成など鉄道と軍隊の関係を指摘した楽しい作品。

人の多く住む海岸、勾配も少なく建設費も抑えられるという立場と敵軍の艦砲射撃を恐れる軍部。国内の多くの鉄道で内陸を通るように軍部が強固に主張した線形が各地に見られるようだ。

東北本線の八戸から北、それを避けるべく建設された奥羽本線、それも途中で議決が変わり能代の海岸沿いに。せっかく急勾配を避けた山陽鉄道も三原以東では財政難等から方針変更されセノハチ経由になったり、多くの路線で軍の圧力が働いているという。

日本の鉄道史における軍の影響を指摘した力作。

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2020年11月08日

Posted by ブクログ

<目次>
第1章  西南戦争と両京幹線~なぜ中山道ではなく東海道だったか
第2章  海岸線問題と奥羽の鉄道~なぜ奥羽本線は福島から分かれているか
第3章  軍港と短距離路線~なぜ横須賀線はトンネルが多いか
第4章  陸軍用地と都心延伸~なぜ中央線は御料地を通ることができたか
第5章  日清戦争と山陽鉄道~なぜ山陽本線に急勾配の難所があるか
第6章  日露戦争と仮線路~なぜ九州の巨大駅は幻と消えたか
第7章  鉄道聯隊と演習線~なぜ新京成線は曲がりくねっているか
第8章  総力戦と鉄道構想~なぜ弾丸列車は新幹線として蘇ったか

<内容>
新書だが、学術書のような本。地図があり、地形のことも触れているが、基本的には文献を駆使して、「鉄道から見る近代史」になっている(ちょっと引用が長すぎるけど…。要約しているなら、それでよかったかも?)。

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2019年08月09日

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