あらすじ
日本人の九九%はキリスト教を信じていない。世界最大の宗教は、なぜ日本では広まらなかったのか。宣教師たちは慈善事業や教育の一方、貿易、軍事にも関与し、仏教弾圧も指導した。禁教期を経て明治時代には日本の近代化にも貢献したが、結局その「信仰」が定着することはなかった。宗教を「信じる」とはどういうことか? そもそも「宗教」とは何か? 宣教師たちの言動や、日本人のキリスト教に対する複雑な眼差しを糸口に、宗教についての固定観念を問い直す。
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Posted by ブクログ
プロテスタント系クリスチャンです。
とても良かった。こういう本が読みたかった。
母方がクリスチャンで父方は一般的な日本人家庭、キリスト教と一般的な日本の文化のミックスの中で育ってきた。キリスト教は宗教ではあるが、私の中では宗教というより文化。自分はキリスト教と日本文化のハーフだという感覚だ。世間で考えられているキリスト教のイメージで見られるのはすごく抵抗がある。
一般的イメージのクリスチャンと実際のクリスチャンとの間には多少なりともギャップがあり、そのギャップにモヤモヤしてきたし、苦しんだりもした。そのギャップがなぜ起こるのかの考察を日本のキリスト教史を通して丁寧に解説された本だ。
しばしばクリスチャンに「敬虔な」という枕詞が使われるが、もちろんクリスチャンは全員敬虔ではない。キリスト教圏の国の人が皆敬虔であるはずがない。そういうことを、宗教について深く考えたことがない人は気づかないのかなあと思う。
「信じる」ことだけが宗教なのか。「キリスト教」ではなく「キリスト道」だったら日本でもキリスト教はもっと受け入れられていたのか。マザーテレサのいう「神の不在」は、深い。
私個人的にはモヤモヤがスッキリして腑に落ちた本。しかし宗教という言葉が持つ胡散臭さは、その言葉が別の言葉に変わらない限りは変えられないのだろうか。