あらすじ
2019年春、パワハラに関する法律を改正する法案が提出されました。こういった話題を聞くと、世の中では、「え、ふだんの会話もなくなっちゃうよ。もう女性とは話せないな」「もうなんでもハラスメント、ハラスメントって、嫌になっちゃうよね!」「広告や発言もすぐ炎上するし、言葉狩りじゃない?」「上司が萎縮して適切な指導ができない」などといった声があがります。本書は、そうした環境を是正し、個人のキャリアや企業の新しいリスクマネジメント、生産性が高く働きやすい職場づくりのために欠かせない「セクハラ、パワハラの意識と行動のアップデート」を促す本です。「働き方改革実現会議」の一員として、法改正などの議論の渦中にいる著者の実態調査と最新対策事情。今現在働く男女や、企業の法務担当として活躍する弁護士へのインタビュー、ITでできる最新ハラスメント対策など、“これからの働きやすい会社のかたち”を提案します。ハラスメント対策が問われる時代。雇用する側される側の正しい未来像とはなんなのでしょう。「どうすればハラスメントの加害者・被害者にならずに済むのか」を知りたい人必読の1冊です。
【本書構成】
第1章 ハラスメントを気にする男たち
第2章 女性から見たハラスメント
第3章 財務省セクハラ事件とは何だったのか?
第4章 企業の懲戒はどう決まるのか?
第5章 #MeToo以降のハラスメント対策最新事情
第6章 同質性のリスクは組織のリスク
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Posted by ブクログ
セクハラ、パワハラについて書かれた本。
ハラスメントはなぜ起きるのか、ハラスメントはなぜ問題なのか、どこからがハラスメントなのか等が語られている。
* セクハラ問題は、一部の「ひどいやつ」とそれ以外の人間の問題である
* セクハラを「男VS女の問題」として捉えてはいけない
* ハラスメントの基準を知ることが大事。怯える必要はない
* 「セクハラ扱いされたら嫌だから話しかけるのはやめよう」というのは逆差別になってしまう
* 現代では、仕事ができるというメリットよりも、ハラスメントをするというリスクのほうがずっと大きい
* 仕事が出来てもハラスメントをする人はNG
* 「業績はすべてを癒す」という考えはもう通じない
* ハラスメントをする人は、自分では「このくらいは大丈夫」と思っている
* つまり無自覚にハラスメントを行っていると言える
* 実際、一度の発言で問題になることは少ない。だがそれを無自覚で繰り返していると、耐え難いハラスメントになっていく
* パワーを持つ立場になったら、特に意識して気をつける必要がある
* ハラスメントは、それを許す空気を作ってしまう組織・風土の問題である
* セクハラがある場所にはパワハラもあることが、データ上わかっている。なぜならそれを許してしまうから
* セクハラを防ぐことでパワハラも減り、生産性も上がる
* 男性にとっても無関係ではない!
* 同質性が高い組織には大きなリスクがある → 経営層が同じ年代・同じ性別など
* 意思決定に多様性がないと、致命的な見落としをしてしまう
* 例:女性は運転が下手なのが当たり前だよね → トヨタ炎上
自分はあまりこの手の問題について深く考えたことがなかったが、とても勉強になった。
特に「ハラスメントは組織の問題である」という点。
自分はやらないから関係ない、ではない。
それが起きたら、止める立場に回らなければならない、ということだ。
大変ためになった。読んで良かった。
Posted by ブクログ
近年、#MeTooムーブメントを境に、ハラスメントにおける考え方や意識が変化してきているのを感じたため、職場での女性社員との接し方を見直すためにも読んでみた。
セクハラがある職場の傾向として、40代以上の男性が多く、バブル世代の働き方の慣習になっていることが分かった。うちの職場は若い社員が多い分、ハラスメントが起きにくい方だと感じた。
セクハラの加害者になりやすい特徴として、①共感力の欠如、②性差別的な考えがあり、③権威主義の3つがあげられていた。まずは、自分がこの特徴に当てはまらないようにしていくことが大事だと思う。
セクハラのない職場というのは、女性のためだけではなく、男性の働きやすさにも繋がるはずなので、ハラスメントの境界線には気をつけていきたい。
女性差別や性的な内容を思わせる広告などは炎上していく傾向があり、軽率な発言も差別的な考え方になっていないか、気をつけなければならないと思った。
Posted by ブクログ
ハラスメントの例に挙がった中に、私から子供に対しての声掛けで多用している言葉がたくさんあって、冷や汗が…。
職場でも気を付ける必要がありますが、一番小さい社会の単位である家庭内でも気を付けないと…と思いました。反省。
Posted by ブクログ
2015年以降のハラスメントへの認識の変化がわかり易く書かれており、誰もがアウトと思える事例以外に、無意識的にラーニングされてしまったステレオタイプからの誤った報道や広告の事例を幅広く取り上げている。もしかしたら明日は我が身かもしれないと、言動に注意喚起をしてくれる、ステレオタイプからの脱却(アンラーニング)を指導してくれる良書と思います。
Posted by ブクログ
4月からパワハラ防止法が施行される、
社内の女性社員からの声もあり、
ハラスメント研修の企画を進めるなかで
手に取った一冊です。
研修用のDVDを見て、外部セミナーにも行ったんですが、基本的なことはもちろん変わらず。
本書でメモしたのは下記です。
『セクハラをする人には3つの共通した特徴があると述べている。3つとは、①共感力の欠如、②伝統的な性別の役割分担を信じている、③優越感・権威主義だ。』
『それは「業績はすべてを癒す」という考え方があったからです。』
『パワハラの判断は、両者の関係性、行為に至る経緯、行為の期間、回数、表現、(指導)目的との関連性、行為の具体的状況といった客観的事実が重視されます。』
無意識のバイアスと、客観性をもって判断、というのは認識してましたが、業績はすべてを癒すという言葉には、うーんとなる部分が多々。
営業の人から似たようなニュアンスの言葉を聞いたことがあり、環境や人間関係とのバランスを意識してくれている責任者は社内にどれぐらいいるだろうと思いました。
さらに言えば、トップの方針や明言、という部分は、私のいる会社でも難しい…という感じです。
さらに長時間労働や、失敗が許されない環境、短期的に成果を求められる環境はハラスメントを生み出しやすく、さらにパワハラがある場所にはセクハラも存在することが多い。
笑ってるのは喜んでるわけでも受け入れているわけでもなく、社員としてそうせざるを得ないから。
正しく適正な範囲内というのは、なかなか難しいですが、そこを意識して接することを忘れないように心がけたいです。