【感想・ネタバレ】通信の世紀―情報技術と国家戦略の一五〇年史―(新潮選書)のレビュー

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Posted by ブクログ 2023年08月30日

【国際通信史の研究は、外交や国際関係、戦争のみならず経済、国際交流の歴史研究にも新たな知見をもたらす可能性を秘めているのである】(文中より引用)

主に日本の近現代における国際通信の歴史を振り返りながら、技術やインフラの発展が時の安全保障や経済にどういった影響を与えたかを概観していく作品。著者は、国...続きを読む際電信電話株式会社(KDD)で自身も通信の歴史の形成に関与した大野哲弥。

「通信」という目に見えないものを上手く歴史に落とし込んだナラティブ力にまず関心してしまいました。そしてそこから浮かび上がってくる通信が歴史に果たした役割の大きさにも驚愕。新たな側面から歴史に光を当てた佳作と言えるのではないかと思います。

渋い内容ですが味わい深さがありました☆5つ

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Posted by ブクログ 2019年07月02日

「国際」という言葉は文字通り「国」の「際」で「国境線」をイメージさせますが、その線を垂直に横切る線が海底ケーブルで、その存在が「国際」という概念を作っているのだと知りました。5Gの時代の訪れに通信の未来を感じたりしますが、国際通信そのものは明治4年にデンマーク国籍のグレートノーザン電信会社の海底ケー...続きを読むブルを陸揚げしたところから始まっています。開国はヒト、モノの行き来がオープンになる、ということだけじゃなくて通信網が引かれ情報が開かれたことも意味するのですね。もちろんそこには国家の利害も密接に結びついていて、いかに日本がその不平等性に苦しんできたかも書かれています。またそこにはテクノロジーの影響も大きく、有線、無線、海底ケーブルと人工衛星の主役の移り変わりが繰り返されていたことも初めて知りました。また国家戦略という意味で暗号についても大きく章を割いていて、日米開戦の際の告知の遅れと暗号解読のくだりはものすごい力を込めて検証されています。実はこの本、国際線の飛行機の中で読んだのですが、目的地に到着後、すぐスマホ使える、その凄さを身に染みて感じました。グローバルって海の底と空の上で作られているのですね。あまり表に出てこないけど、ものすごい大きな歴史に触れた読書でした。

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Posted by ブクログ 2021年04月08日

通信インフラという着眼点がユニーク。最初の電信を巡るエピソードは興味深かったし、太平洋戦争開戦時の「宣戦布告の遅れ」についての分析は秀逸。

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Posted by ブクログ 2019年09月02日

国際通信の歴史が俯瞰できておもしろかった。技術が世界を変えたってのが良くわかる。海底電信ケーブル→短波無線→海底同軸ケーブル→衛星通信→光ファイバーと進歩してきたのを、「有線と無線がまるで源平の盛衰のように交互に主役を務めてきた」ってまとめてたのうまい。それにしても明治4年の岩倉使節団の時にはすでに...続きを読む海底ケーブルが世界一周してたとは。イギリスの国力がすごすぎる。 
日米開戦時の開戦通告の話はかなり細かいが、あとがきに書いているミクロ的検証も必要との自らの主張を実行している。不安定な短波無線でしかも暗号なのに電文が長すぎという指摘はなるほど。

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Posted by ブクログ 2019年05月08日

約150年に渡る「通信」の歴史を詳細に記している。膨大な資料から綿密な内容となっており、とても論理的でわかりやすい。

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Posted by ブクログ 2019年02月18日

第四章 そして対米通告は遅れた を書きたくてこの本を書いたのだろうという印象。時系列的に多くの資料、裁判記録、手記から当時の状況を追う作業は敬服に値する。

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