あらすじ
第54回メフィスト賞受賞作! わたしは1年しか生きられない。毎年、わたしの記憶は両親の事故死直後に戻ってしまう。空白の3年を抱えたわたしの前に現われた見知らぬ小説家は、ある賭けを持ちかける。「1ヵ月デートして、ぼくの正体がわかったら君の勝ち。わからなかったらぼくの勝ち」事故以来、他人に心を閉ざしていたけれど、デートを重ねるうち彼の優しさに惹かれていき――。この恋の秘密に、あなたは必ず涙する。
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Posted by ブクログ
タイトルに惹かれて手に取った。主人公は尾崎千鳥。両親の事故から約一年。「解離性健忘」という記憶喪失が起こる。そんな中、千鳥は天津真人という不思議な男性と出会い、ある賭けが始まる。
デートはいつも夜で、よくケータイをいじる真人。
注意深く文章を読むと伏線がたくさんあることに気づく。自分のことを顧みず、ただ千鳥の幸せを願って行動する真人の姿に感動した。何か秘密があるのはわかっていたが、まさかそんなことが…
現実味がなくて物足りなく感じる人もいるかもしれないが、私はこういう恋愛小説結構好き!
記憶を失っても感情が覚えてる…とっても素敵だと思った。最後の終わり方も私好み。
Posted by ブクログ
1年で記憶が無くなったしまう、主人公と突如現れた謎の男。彼が持ちかけた内容は”1ヶ月で正体が分かれば君の勝ち”
美しく装飾された伏線は、蔦のように絡まり、彼女たちを結びつける。大きな盛り上がりとカタルシスが心に残留する。
Posted by ブクログ
1年経つと記憶を失う女性のどんな物語かと読み始めましたが、謎の男性の登場に誰なんだ?何なんだ?で休日の午後を費やすほどの面白さでした。
ファンタジーものか?と思ったら全く違っていて、主人公の千鳥さんの感情に自分の心がひっぱられ色々な事を考えさせられました。
今回は記憶を無くさずにハッピーエンドかと思いましたが、話はそんな簡単には終わらなかった。
真人も記憶障害の持ち主だった。
それも千鳥よりも過酷な…けれどそれを悲観せずに、
千鳥への愛の深さに生かされ生きて貫ぬく姿にうるうるとなりました。
ラスト、次は千鳥の真人への愛が彼女自身を生かしていくのだと思いました。
Posted by ブクログ
静岡県西部住みなので読んでいてわかる地名やら店名やらが多くて楽しかった。
こういう現代恋愛小説みたいな作品は好みではなく読んだこともあまりないが、友人にすすめられて読んでみた。改行が多く、内容のわりに(物理的に)厚い本だと思った。
まさか天津も記憶障害持ちとは。全く予想してなかったので驚いた。終わり方はあれが1番美しくてさっぱりしてるんだろうけど、その後的な話も読みたかった。
Posted by ブクログ
娘が買った。面白かった。
事故で毎年記憶を失う主人公。
謎の男が、デートしようと現れる
疑問が次々に出てきて終始面白かった。
備忘録
前に会ったことある?信頼できる?と思った矢先
自分の部屋から、この男を信用するなとのメモが出てくる。
でも続くデートの日々。
クライマックスで倒れる彼。
彼も記憶障害を持っていた!
少々薄っぺらい感もあるけど読書として楽しい時間だった。
Posted by ブクログ
2017年。第54回。
自動車事故で両親を失い、ひとり助かった娘。だが、記憶が1年しかもたない。浜松の病院に通っている。そこで、ひとりの小説家と出会い、彼の提案によりデートを重ねていく。デートしてもいいかな、と思ったのは、彼がイヤな感じではなかったから。記憶なくても、感情は覚えているのかもしれない。
彼との過去が少しずつ明らかになっていく。最終的にはえー。それはせつないなぁ。びっくりしたから、あえて書かない。
Posted by ブクログ
浜松のご当地グルメみたいな作品でした。
内容は1年しか記憶が持続しないヒロインが、自分を知っている男性と出会って、成長していくお話です。
さすがいに展開が単純すぎた気がします。
Posted by ブクログ
千鳥・天津はときにすれ違いもするが、
なくてはならない存在であり、そして両者にとって
(天津にとって千鳥は、千鳥にとって天津は)
まぎれもなく「生きがい」なのである。
「彼はこうなってしまうことも覚悟していた。その上で、君に進んでもうことを考えて生きてきた。君は本当に進んでいない?」
この医者の言葉に、
天津の千鳥に対する絶対的な決心というものを感じ
それと同時に、
彼が過去にどれほど苦悩してきたか、そして彼女の言動にどれだけ救われたかがみてとれる。
千鳥は天津の「生きがい」である、過去を知り未来を見据えることができた(家具を作るという決心)。そして、彼女の最後の“賭け”は愛を超えたもはや「使命」である。表紙の挿絵のように次は“千鳥が助ける番”なのである。
しかし、千鳥はいづれまた記憶喪失をするだろう。そこで、彼がどのような行動をとるのか。そして、千鳥はどれほど彼を覚えているのか。
けれども、そのような終わりのない物語に成長の兆しを与えたのがこの2017年であり、千鳥にとって三回目の記憶喪失だったのであろう。
積読してみたい。