あらすじ
生きるとは意思決定の連続だ。本書は心理学と脳科学の最新の研究から、さまざまな具体的事例や実験の結果を紹介しながら、意思決定のメカニズムを探る。情動と理性という対立する「こころのはたらき」に注目する二重過程理論。マシュマロテスト、損失回避性、疲労、ブドウ糖、依存症などなど、意思決定のメカニズムと影響を与える要因を徹底的に検証。わかっているようで実はよくわからない、自分の「こころ」を知るための必読書。
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Posted by ブクログ
自分も生きている経験則で、直感と熟考では使っている頭が違うなと思っていたが、論文からシステム1と2に分類して本書では論じていて、信憑性が高い情報であると感じた。
導入は定義付けの面もあり多少論文チックであったが2章からはマシュマロ実験から子供でも取っ付きやすくなるわかりやすい実験をもとに話していて自分の感情を俯瞰するいい機会になる本ではないかと思った。
Posted by ブクログ
意思決定に関わる、情動的反応や直感的思考、
欲求などの自動的な「速いこころ」と
合理的判断や論理的思考、自制心といった
主に意志の力による「遅いこころ」の
「二重過程理論」が取り上げられている。
例えば、マシュマロテスト(マシュマロをいま1個
もらうか20分待って2個もらうか)をクリアした幼児は
将来のSATの成績も良いという結果があるけれど、
欲求に対して気をそらすことができれば待てるように
なるので、待てない子でも訓練で自制心を学ぶことが
できる。
第六章『意思決定と人間の本性ー性善か性悪かを
科学的に読む』では他者に協力するのは、
速いこころか遅いこころかを取り上げ、協力は
素早い決断によっていること、寄付は脳の
報酬処理によって支えられている。
正直さには「自然な正直さ」と「意図的な正直さ」
の2種類があり、人は性善か性悪かという
議論は引き分けである、としている。
最終章『「遅いこころ」は「速いこころ」を
コントロールできるのか?』では工夫により、
この2つのこころのバランスを保ち、
「俯瞰的に二つの心のはたらきをとらえ、
遅いこころをサポートすることで、
多くの場面ではコントロールが可能」(P185)
とまとめられている。