【感想・ネタバレ】ルポ ニッポン絶望工場のレビュー

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ルポ ニッポン絶望工場。出井康博先生の著書。日本の外国人労働者の実態を解説した良書。外国人移民問題は日本人労働者の都合で語られることが多いけれど、立場の弱い外国人労働者を守るための制度が不可欠です。せっかく日本に来て絶望な日々を過ごして、日本絶望工場だなんて揶揄されてしまうのは日本の恥。

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2018年11月29日

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現代の奴隷労働。先進国で行われて、しかも見過ごされて良いことじゃない。
なぜまともな移民政策を打ち立てないんだ?
どうして人を物より粗末に扱う社会になってしまった?
日本はあまり魅力のない国だ。残念だ。
どうしてこんな社会になってしまったんだろう?

日本は資源のない国だ。
だから江戸時代には厳格な階級制度で資源の流通を制限した。
日本には「人」しかいない。この島国の地理的条件と、積み重ねた歴史や文化があるからこそ生みだされるスタイルやアイデアを輸出して外貨を稼いで、生きていくために必要な物や、新たなアイデアを引きだしてくれそうな文化を輸入する。
そうしなければ社会が成立しない。そのためには人を大切にするしかない。なのにこの社会は優先順位を間違えている。
生まれ育った社会なので愛着はある。でも失望している。どうしてこんなことになったんだろう?

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2017年12月17日

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 コンビニやレストランで、店員として働く外国人を見かけることは珍しくないが、実は彼ら、彼女らの多くは「留学生」「実習生」であり、名目上は働くために日本に来たのではない。
 先進国の一つに数えられる日本で働き、母国の家族のために金を貯めたい外国人は多い。一方、日本の企業は、人気のない仕事を引き受けてくれる人間が欲しい。両者の利害は一致しても、就業ビザは目的が研究、教育等、狭い範囲に限定されている。
 そこで、とりあえず日本語を学ぶ留学生として、或いは日本の技術を学び、母国にそれを伝える実習生として来日して、留学生は学業の傍らアルバイトとして働く、実習生は農場等、技術を学ぶためのそれぞれの場所で働くという形が定着することになった。これがうまく機能していれば、何も問題はないはずだが、実際は、これが外国人に奴隷労働を強制するシステムになってしまっている。本書は、何年もこの問題を追い続けた著者の実状報告である。
 詳しくは是非本書を読んでほしいが。留学や実習で来日するためには、外国人は本国、日本双方のブローカーに仲介料を支払わなければならない。特に本国の組織に支払う金は莫大であり、年収の7~8年分にもなる。それでも彼ら、彼女らは、金銭価値の全く異なる日本で働きさえすれば、数年で元手を遥かに上回る収入があると信じ、土地を売り、借金をして何とか金を調達し、日本に来る。
 しかし、こうして来日した外国人は、あくまで「留学生」「実習生」であるため、労働には様々な条件がつく。例えば、留学生の場合、アルバイトは週28時間までと決められている。滞在費、光熱費、授業料等はもちろん支払わなければならないため、これでは貯金はおろか、生活も覚束ない。そこで留学生の多くは、無届で夜間のアルバイトを2つ、場合によっては3つ、かけもちすることになる。冒頭に「コンビニやレストランで」と書いたが、実際は24時間稼働の食品工場等で朝まで働く例が多い。(篠田節子の小説「ブラックボックス」では、こうした職場での外国人の労働風景が描かれている)
 実習生にいたっては、時間外労働は時給に換算すると300円程度にしかならない。実習生の多くはパスポートを強制的に預けさせられていて、自分の意志で行動することもできない状態になっている。(こうした事情は、本書より前に書かれた安田浩一の「外国人研修生殺人事件」に詳しい)
 彼ら、彼女らが最も恐れるのは本国への強制送還である。本国には来日のために負った莫大な借金があり、途中で帰国させられれば、待っているのは一家の破滅である。その意味で、こうして来日する外国人は人質をとられているのである。
 本書にはその他、留学生の部屋代、アルバイトの紹介料等、何から何まで吸い上げ、大した授業は行わない悪質な日本語学校の実状なども報告されている。安倍政権の成長戦略とかの1つ「留学生30万人計画」とやらも、連動しているようだ。読んでいて、いつの時代の話だろうと驚き、この国の悪しき労働観、差別観に暗澹たる思いにとらわれる。
 もちろん、本来の目的で留学生、実習生を受け入れ、成果を収めているケースもあるだろうが、本書にはそうした例は出てこない。それを「偏向」と見る向きもあるかもしれないが。本書の目的は、あってはならないことが横行している事実を知らしめることである。我々は事実から目を背けてはいけない。私は本書を高く評価する。
 最後に余談だが、本書には留学生をクイモノにする悪徳大学が出てくる。九州のN大学とイニシャルになっているが、これは都筑学園が経営する日本経済大学のことである。かつては第一経済大学という名称だった。著者は保護者を装ってこの大学の入学式に潜入するのだが、式では、安倍晋三、下村博文からの祝電が読み上げられた。また、安倍・加計問題で物議を醸している今治市の市長菅良二は、都筑学園グループ第一薬科大学を卒業している。教育というものに対する認識が違っているというより、間違っている人間が、ついてはいけない地位に居座っているようだ。

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2017年08月14日

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ほんっとうに絶望する…!!!
「国を開けば、いくらでも外国人がやってくる」という前提が勘違いである、という指摘にハッとする日本人が大半なんじゃないかな。私もこの本を読むまで全く現状を認識で来ておらず、そう勘違いしてた…。
弱者を搾取する経済構造をなんとか改善するには、どうしたらいいんだろう。朝からたくさんの種類の弁当が並んでいるコンビニの異様さだって、ちょっと考えれば分かるはずなのにそれが当たり前になっているし…。文化や習慣が異なっても、人の心は同じって篠田節子の小説にもあったよなぁ…。

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2016年12月14日

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■「留学生30万人計画」も2020年を待たずにに達成されそうな勢い。
・「30万人計画」のモデルは中曽根政権下で進められた「留学生10万人計画」で「10万人」の理由は,当時フランスが12万人の留学生を受け入れていたため参考にされたもの
・2000年時点で6万4000人程度に留まっていたため,政府は留学ビザ発給基準を緩め「10万人計画」を強引に達成しようとした
・「10万人計画」は2003年に無事達成したが留学ビザの発給基準を緩めたため出稼ぎ目的の「偽装留学生」が増加した
・1位は米国78万人,以下英国42万人,オーストラリア25万人,フランス24万人で「30万人」はかなり高いハードル
■日本でベトナム人が働こうとすれば,実習生と留学生の二つの方法がある。留学生は実習生と違い仕事が選べるしうまくいけば日本に残って就職できるかも知れない。
■全国的にもベトナム人実習生は中国人にとって代わりつつある。2015年末現在で約5万8000人とわずか3年で3.5倍近くになった。
■実習生たちは「出稼ぎ」,受け入れ先は「労働者」を欲しているというのに,それぞれが「実習」を装わなければならない。誰もが嘘だとわかっていても官僚が強いる数々の虚構に付き合わなければ実習生の受け入れは許されない。
■FPAによる外国人介護士の受入が決まった当初介護業界の期待は大きかったが,すぐに失望へと変わっていった。理由は難関の「国家試験」。
・多くの施設はせっかく育成した人材を失いたくないので最初から外国人介護士を採用しないでおこうと考えた
・介護士たちが仕事を始める前にあっせん手数料や日本語研修費などで一人につき約80万円が必要となり賃金も「日本人と同等以上」という決まりがある
・外国人介護士の受入が少なかったため厚労省は受け入れた施設に対し一人につき23万5000円を国費負担する「バラマキ」を始めた
・2008年からの4年間で80億円にも上ったが,この間の介護士・看護師の合格者は104人
■ドイツがフィリピンなどとの間で2013年から始めた「トリプル・ウィン」という看護師の受入プロジェクト。
・受入の対象国はフィリピンに加え,セルビアとボスニア・ヘルツェゴビナで1年に2000人の受入を目標とした
・ドイツがフィリピンに注目したのは訓練されたプロに余剰人員がいることやドイツの資格システムと共通性があることなど理由が明確であり,目的もあいまいなままで意味不明な受け入れをしている日本とは大違い
■日本における外国人看護師の国家試験は筆記試験でドイツの場合は口答試験。しかも受け入れるのは母国での有資格者。
・ドイツが合格を前提に外国人看護師を受け入れているのに対し日本は意図的に不合格にしている
■台湾の人口は約2400万人と日本の5分の1程度だが25万人もの外国人介護士が働いている。
・国籍はインドネシアを筆頭にベトナムやフィリピンなどが中心
・ビザは3年ごとの更新で最長12年まで働けるが永住は認めていない

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2016年10月08日

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30万人の留学生を受け入れるという大義のもと、
ベトナム側ブローカーと日本側の既得権益者のために人身売買が行われており、本来受け入れ水準に満たない語学力なし債務ありのベトナム留学生、および虚無な国策に税が使われている日本国民が絶望的だという話だった

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2022年08月28日

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日本への移民について考えるための基礎知識が得られる書。実習生や留学生という名の下に日本に働きにきて、官僚が作る外郭組織にピンハネされている様子は、聞くに耐えない話だ。なんとか、日本人、外国人双方にとってもう少し良い制度にならないのだろうか?欧州でも解決できていない問題だが、考えていかねばならない。

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2018年11月12日

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「コンビニ外国人」に続いて読んだ。
技能実習生より留学生の方が過酷だというのは、この本を読んで知ったことだ。借金をして来日し、学費も払っていかなければいけない。確かに大変だ。
アルバイト目的の「留学生」、底辺の仕事をする労働者として働かされる「実習生」。名前と中身が完全にずれている。正々堂々と実態に合わせろ、と思う。
ブローカーや日本語学校や企業に搾取されるだけではなく、官僚の天下りのため、低賃金で働かされる外国人。
日本自体がブラック化してるとしたら、いつかそのツケが回ってくるだろう。
大きな視野で考えてくれる政治家と、自分たちの問題として考える国民。両方とも不在なのだから、いつか酷い目に合うだろう。

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2018年08月25日

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実習生や留学生という形で日本に出稼ぎに来ている人たちの実態を取材した一冊。
とくに留学生という形で来ている人たちの実態が凄まじいなと感じました。こういう話を読み聞きしたことは多かったですが、悪徳ブローカーや悪徳日本語学校によって騙されて、借金を返すためにからだがボロボロになるまで働かざるを得ないという。
著者のいうとおり、大きな原因は、いろんな方面にいい顔をしようとして支離滅裂な政策をとっている日本の行政にあると思いました。移民へのアレルギーの強いひとたちに対しては「移民ではなく実習生・留学生ですよ」と、人手不足の企業に対しては「実習生・留学生という形でくる彼らをうまく使ってくださいよ」と。日本でしっかり働きたいという前向きな人たち向けにも、フォローをきちんと行わず。本当にひどい政策だと思います。
本書を読むと実習生の勤務先や、日本語学校は悪徳なところばかりのような書き方ですが、実際にはそうでなく良心的なところもあるとは思っています。ちょっと全体的な筆致は週刊誌的な感じが過ぎるかなとは思いました。

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2017年05月05日

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ネタバレ

著者は取材して事実を書いているスタンスである。もちろんいかなる事象であれ事実を完全に描き出すことは困難であろう。見る方向や立ち位置が変われば事実は同じでも、表現は異なってしまうでしょう。それでも、この本に書かれていることが半分でも真実であれば、ゆゆしきことだと思われます。〇〇という企業はブラックだ等と言われるが、日本政府と官僚、そして天下りシステムが最悪のブラックであり、大賞間違いなしである。個人や一般企業がどんなに誠実に世界と向き合ったとしても、政府のスタンスが改まらない限りは、国際貢献を大義名分に私腹を肥やすことにひたすら専念するのであれば、世の中の日本と日本人に対する印象は悪くなる一方でしょうし、旅行中に襲われる邦人も後を絶たないでしょう。
多くの事象で共通して言えることは、集団化、匿名化した日本人の暴走しやすさと、それに対する主権者の無関心さですね。どのような世の中にしたいのか考えさせないように操作しているのでしょうか。

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2016年12月05日

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一人でも多くの人に読んで欲しい。

留学生30万人計画。。。
日本政府は単に、外国人留学生や実習生を沢山受け入れている国際的な先進国だという見栄を張りたいだけの気がする。出稼ぎを目的とした外国人労働者なのに、とにかく沢山、彼らを留学生や実習生として入国許可する。数字達成のために。
実状を把握しようという考えはないのか。入国後の実態は「奴隷制度」と言っても過言ではないのでは?

本書が「奴隷制度」犠牲者の状況改善につながることを切に願う。

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2016年11月20日

Posted by ブクログ

英字新聞THE NIKKEI WEEKLYの記者などを務めたフリーのジャーナリストが、日本で暮らす外国人労働者の実態について、約10年に亘る取材をもとに明らかにしたもの。
私がほぼ毎日利用するコンビニでも、店員の大半はアジア出身の外国人であるが、そうした外国人の多くは、著者によれば、「実習生」(2015年現在で約19万人)や「留学生」(同約25万人)として入国した人々なのだという。つまり、「実習生」とは、公には「外国人技能実習制度」に基づいて日本に技能を学びに来ている外国人であるが、実態は短期の出稼ぎ労働者であり、「留学生」とは、2008年に政府が作り、現安倍政権も成長戦略の一つに掲げる「留学生30万人計画」に基づいて勉強をするために受け入れられた若者であるが、実態は勉強よりも出稼ぎを目的とする人々が多く含まれているのだという。そして、彼らはコンビニや外食チェーンの店員ばかりでなく、コンビニやスーパーで売られる弁当やサンドイッチの製造工場、宅配便の仕分け現場、新聞配達など、日本人が嫌がる夜勤の肉体労働を行っているのである。
何故このような事態になっているのか。それは、「留学生」については、現地のブローカーが「日本に留学すれば、アルバイトで月20~30万円稼げる」と高額の手数料で盛んに勧誘する一方で、多額の借金をして来日した留学生は過酷な労働を余儀なくされ、稼いだアルバイト代も留学先の日本語学校・専門学校などに吸い上げられているのであり、「実習生」については、巷で言われる人権侵害よりも、官民による様々なピンハネの結果手取り賃金が不当に低くなることに嫌気がさして、実習先から逃げ出して不法就労をしているのだという。
そして、そもそもの原因として、少子高齢化が進み、低賃金・重労働の仕事の担い手が絶対的に不足する中で、単純労働を目的に外国人が入国することを法律が認めていないため、「実習生」や「留学生」が実質的に単純労働者として受け入れられていることを、政府が黙認していることを指摘している。このような政府の“嘘と建て前”に塗り固められた姿勢は、2009年に始まったEPA(経済連携協定)に基づく外国人介護士の受入れの失敗や、1990年代に始められた南米諸国からの日系人の移民が結局定着しなかったことにも、如実に表れている。
そして著者は、「今やるべきことは、将来「移民」となる可能性を秘めた外国人労働者、留学生の受け入れ政策について、一から見直すことだ。・・・移民の受け入れとは、単に労働力を補充することではない。日本という国を構成するメンバーとして、生まれ育った環境や文化の違う人たちを社会に迎え入れることなのだ。言語の習得、就職、さらには子弟の教育などへの支援を通じ、日本社会に適応してもらえるよう、私たちの努力も求められる」と、政府のスタンスだけでなく、我々一人ひとりの心構えを変えねばならないと提言している。
我々日本人が、外国人労働者、ひいては移民問題と如何に向き合うべきかを考えさせるルポである。
(2016年10月了)

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2016年12月24日

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ニッポンの何が「絶望」工場なのだろう。と思いをめぐらせたところ、以前読んだ『絶望の裁判所』を思いだし、また法曹界の話か……。と半ばやけくそ気味に手に取ったところ、それは外国人実習生の実態についての本であった。
ベトナム人がヤギを盗んで食べたという事件にも触れているが、これが2014年のことらしい。
これを含めて外国人実習生による犯罪が増加していること、それには政府、外郭団体なども加担しているらしいこと、が指摘されている。
本書の発行が2016年。8年程度経過しているが、その後の状況に変化はあったのだろうか?
日本の動きの悪さには、相変わらず「絶望」するしかないように感じる。

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2024年03月05日

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ネタバレ

・外国人介護士受け入れ「人手不足」ではなく「EPAでフィリピンに産業廃棄物を持ち込む」ため
・厚労省「送り出し国の要請に日本が応じたもの」
・外国人が移民として日本に馴染むことは簡単ではない、結果犯罪に手を染める難民がいたとしても不思議ではない。
・週28時間以内という法律を守っていれば留学生は日本で生活できない。借金をして日本へ来るが返済できず→不法滞在

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2019年07月15日

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「留学生30万人計画」という表面的な数字だけの留学生招致による歪みがよくわかる。
そうして日本のイメージが毀損していく状況は見直さないと、誰も幸せになれない。

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2019年06月12日

Posted by ブクログ

多くの人が知るべき。著者が書いていることが全てではないだろうし議論の持っていき方に違和感も感じるが、それでも私たちの生活が非人道的な労働に支えられているのは事実。制度や施作ができた経緯、その裏にあった官民双方の思惑にまで踏み込んだ内容で、実態がよくわかる。(ただそういった現状を受け入れ、もしくは知らぬふりをしていた消費者の私たちも同罪)

『そのときになってようやく、私たちは気づくのかもしれない。「人手不足」を言い訳にして、いかに私たちがニッポンという“絶望工場”で彼らを搾取し、食いものにしてきたのかということにー。』

そこまでして私たちが守りたい生活の質って何なんだろう。

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2019年02月02日

Posted by ブクログ

主にベトナム人研修生・留学生が日本語学校に入りながら週28時間以上の労働、低賃金の実態をレポート。今後の移民政策を考えるうえで参考になるだろう。

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2019年01月20日

Posted by ブクログ

知らないことは罪だと思う。
単純な議論に集結してしまってはいけないが、
いろいろな観点から
物事を知ろうとし続けたい。

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2018年07月16日

Posted by ブクログ

コンビニは244時間営業しており、すぐに食べられるサンドイッチや
おにぎりが並んでいる。雨の日も、風の日も、台風の日も、雪の日も
宅配の新聞は必ずポストに配達される。ネットなどの通信販売で
購入した商品は指定時間内にきちんと届く。

便利であることを便利であると感じないほどに、私たちの生活の便利
になっている。だが、その「便利な生活」を見えないところで支えいる
人たちがいる。

そんな人たちのなかに含まれるのが本書で取り上げられている外国
人労働者だ。みんながみんな、就労ビザで日本にやって来るのでは
ない。技能実習制度や日本語学校や大学への留学を名目とし、来日
した彼ら・彼女らが働いている。

技能実習制度の問題点については数年前からメディアが取り上げるよ
うになったが、留学名目での来日も実態は勉強することではなく日本へ
の出稼ぎが主な目的なのだと著者は言う。

実際、借金までして自国で斡旋業者に多額の手数料を支払い「勉強し
ながら20~30万円を稼ぐことが出来る」と言われ、夢を希望に来日した
はいいが、現実との乖離に直面しにっちもさっちも行かなくなった留学生
の生活を追っている。

基本的な問題として受け入れる側である日本の制度自体に問題がある。
それは鳴り物入りで始まったインドネシアとフィリピンからの看護師・介護
士の受け入れだろう。本書でもこの件は取り上げているのだが、私はこの
精度が始まった当初、日本語での国会試験合格というハードルの高さが
気になっていた。

まず日本語という高い壁がある。本国では看護師・介護士として働き、既
に専門知識を有しているであろう人たちを目の細かいふるいにかけること
が受け入れ制度になるはずがないではないか。

本書は在日外国人が晒されている厳しい環境を知るにはいいのだが、同じ
問題点の指摘の繰り返しが多く少々残念。受け入れる日本側の問題点も
あるのだが、現地の斡旋業者の取材は出来なかったのかな。この視点が
あるともっとよかった。

日本政府は外国人による家事サービスを解禁しようとしている。看護師・
介護士の受け入れさえまともに出来ないこの国が、人手不足を理由に
新たな外国人受け入れを始めて大丈夫なのだろうかと思う。

実習生や留学生のように、描いた夢と現実の落差に直面し、不法就労に
走る外国人が増える原因になりはしないだろうか。まずは受け入れ準備を
周到にする必要があるんじゃないだろうか。

関東の地方都市にある24時間操業の化粧品工場で夜勤のアルバイトをする
外国人女性。その彼女は同じ職場に外国人に混じって高齢の日本人が働い
ていることに対して「かわいそう」と言っていた。

外国人のみならず、日本人にとっても日本は「絶望列島」なのかもしれない。

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2017年08月24日

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外国人技能実習制度で来日した実習生が、実習という名目で低賃金・重労働の仕事に就き、残業代の未払いやパスポートの取り上げといった人権侵害を受けている。欧米の人権団体などには、日本の実習生を「現代の奴隷」と呼ぶところまである。しかし、この実習生より酷い待遇を受けているが、出稼ぎ目的で来日した留学生たち。彼らは多額の借金を背負い入国し、実習生もやらない徹夜の重労働に明け暮れる。そうして稼いだアルバイト代も、留学生の日本語学校に吸い上げられる。日本で最底辺の仕事に就き、最も悲惨な暮らしを強いられている。新聞やテレビが決して触れない留学生たちの悲痛な叫びと怨嗟。変質していく来日外国人との向き合い方を深く考えさせられた。

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2017年04月22日

Posted by ブクログ

日本人がやりたがらない仕事に就くために来日した外国人の現実をルポ。正直,移民や難民はもちろん彼らのような労働力受け入れはどうかと思う。日本人と同等の権利や生活を保証できない日本に受け入れる資格はないと思うから。余裕があるか自分たちを彼らに合わせる気持ちがないのにきれいごとを言っても仕方ない。親日の彼らが反日になって帰っていく現実は耐えられない。

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2017年03月06日

Posted by ブクログ

せっかく、親日派で日本を訪れた人たちに、より日本を好きになってから自国へ帰って欲しいけれど。

しかし、この現実は、ひどいなあ。

特に、新聞配達という奴隷労働を、新聞が報道しないという、日本のジャーナリズムのダメさ加減が絶望的。

日本の新聞の言説なんて、ホント信用できないよな。
政府与党や警察権力やスポンサーに屈服しない、真のジャーナリズムは、日本の新聞には、無い。

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2017年01月08日

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