【感想・ネタバレ】フィリピンBC級戦犯裁判のレビュー

あらすじ

独立国家として歩み出したフィリピン政府は、戦後の国際状況と対日関係、そして激しい国民の怒りを前に、この裁きに、どのような意義を見出し、困難に直面したか。一五一名の被告は、いかにして裁かれ、獄中を過ごし、そして処刑、恩赦に至ったか。日比両国の数多くの資料と当事者たちの証言を丹念に検証し、これまで様々に語られてきた戦犯裁判という問題に、実証の光を当てる試み。(講談社選書メチエ)

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Posted by ブクログ

最近、電車の中かどこかで他人の会話が聞こえてきて、フィリピンは親日的だからどうのこうのという話であった。フィリピンで日本が戦時中に何をしたかはあまり意識されなくなってきているのかもしれない。

終戦直後はフィリピンは対日感情がもっとも厳しい国だった。それは日本軍が、特に敗戦間際にメチャクチャをやったから。おもにA級戦犯をさばいた米軍管轄の裁判に引き続いて、多くのBC級戦犯は新独立国フィリピンの裁判にかけられた。ちなみにA級は戦争指導者の戦犯で、BC級は戦争中の非人道的行為などの戦争犯罪を指した。他の国々での裁判と比べても有罪率、死刑判決の率ももっとも高い裁判だったが、結局は一部の死刑が執行された後、多くは特赦されて日本に帰ることができた。本書はその経緯を日本側だけでなくフィリピン側の資料・証言にも多くあたりながら追う。

キリスト教精神などが特赦の理由としてあげられるが、共産主義勢力への対抗、復興のための賠償・経済協力など現実的な状況から迫られた面もあった。日本による大統領周辺の買収工作もあったようだ。特赦をきめた大統領自身も我が子らを日本軍に殺されており、容易な判断ではなかったろうが、政治的にはだからできたとも言えるだろう。この特赦は間違いなく日比両国のためにプラスであったとは思うが、どの国にしろ今日の政治にはむしろ同じ判断はできないのではとも感じる。

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2019年08月26日

Posted by ブクログ

セブ島へ旅行に行くにあたり、予習のため読んでみた。

戦争裁判というものがよく分からないのだが、悲惨な状況があったのだろうということは改めて分かった。


勝者が敗者を裁き、戦地となり蹂躙された地がその裁きを引き継ぐ話。

戦地では、確かに様々な犠牲があったことは事実だろう。

しかし、その原因が、責任が、どこにあるかということは、本質的には誰にも判断できないことではないだろうか。
少なくとも、勝者が、勝者の正義でそれを決めたところで、心から納得できる人ばかりではないだろう。

だがしかし、それで上手く収まれば、全体としてはそれはそれで一つの収まりどころではあるのかもしれない。

収まりがつかないところが、テロなどとなって噴き出しているのではないだろうか。
善悪はおいておくとして、噴き上がる気持ちには、共感できる部分もある。

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2016年03月23日

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