あらすじ
最先進国イギリスに匹敵する経済成長をとげた「江戸日本」。巨大市場の成立は、安定政権、貨幣制度の整備、農商工分離だけでは説明できない。〈株仲間〉こそが、全国市場の形成・発展の立役者だった。歴史制度分析という最新の方法を駆使し、株仲間のポジティブな役割に光をあてる。(講談社選書メチエ)
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
江戸時代にだのような物流、市場経済ができていて、その質、量の担保含む信頼取引を株仲間が担保していたという話。
株仲間と聞くと既得権益者の巣窟のようなイメージを持っていた。その意味も一定あったが、松平定信機に株仲間を廃止して自由取引にしたときに、質を誤魔化すものの目利きができなかったり、物流の担保ができなかったりと色々不具合が起きた。また、株仲間による業界内の制裁がないために、信用取引コストが高まったという課題が起きた。
当時は国家による経済裁定、法の執行があまりなかったため、株仲間がそれを代替していたという点は興味深い。奉公先に迷惑をかけた使用人は株仲間内の再就職は基本元雇用主が了承しない限り認められない、あるいは了承にかかわらず認めないという点は不正防止の一つともいえそう。ただ、雇用市場の流動性はなく、使用人は搾取される存在といえそう…
Posted by ブクログ
市場経済の生成は、自明のプロセスではない。新古典派経済学の外に置かれてきたテーマについての考察であります。技術革新、教育、資本の蓄積、人口の増加等は、成長そのものが顕在化したものであり、成長の原因でない。それは何なのか。江戸時代の株仲間の活動に何らかの機能があったのではないか、と。制度としての株仲間についての考察であります。☆3つです
Posted by ブクログ
江戸時代の市場経済に株仲間が果たした役割を新制度派、比較歴史分析の観点から明らかにしようという意欲的な 一冊。
株仲間というのは、座やギルドのような同業者集団。こうした集団が一定の力を得て、集団外の業者の取引を制限したりと、みずからの利益を守っていた。これは今でいうカルテルに近くて一見望ましいものではない。
一方で、株仲間があることで、幕府は商品流通の統制を行うことができた。そして、さらに重要なのは、国家としての司法制度や財産権保護が今ほど期待できない江戸時代においては、株仲間が制度の補完的役割を果たしていたこと。正規の制度+株仲間の非正規の制度という二段構えの制度によって、安心して取引ができる環境ができ、それが経済成長に貢献したという。
株仲間のアイデア自体はグライフのマグリブ商人の例を元にしているようだけど、経済成長への貢献を実証的に裏付けたことは意義のあることだと思う。
しかし、現代人の想像以上に、江戸時代には高度な市場機構が存在していたというその事実に素直に驚く。